ゆふ (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ゆふ / ゆふいんの森
キハ71系「ゆふいんの森」
キハ71系「ゆふいんの森」
運行事業者 九州旅客鉄道(JR九州)
列車種別 特急列車
運行区間 ゆふ博多駅 - 大分駅別府駅
ゆふいんの森:博多駅 - 由布院駅・別府駅
経由線区 鹿児島本線久大本線日豊本線
使用車両
(所属区所)
ゆふキハ185系気動車大分車両センター
ゆふいんの森キハ71系気動車キハ72系気動車直方車両センター
運行開始日 ゆふ1992年7月15日
ゆふいんの森1989年3月11日
備考 2004年3月13日から2011年1月10日まで「ゆふ」の一部は「ゆふDX」として運行

ゆふは、九州旅客鉄道(JR九州)が博多駅 - 大分駅別府駅間を、鹿児島本線久大本線日豊本線経由で運転する特急列車である。

本項では、博多駅 - 由布院駅・別府駅間で運行される特急「ゆふいんの森」、ならびに久大本線で運転されていた優等列車の沿革についても記述する。

概要[編集]

特急「ゆふ」は、1992年7月15日にそれまで博多駅 - 別府駅間で運行されていた急行「由布」(ゆふ)を、四国旅客鉄道(JR四国)から購入したキハ185系気動車を投入の上で特急に格上げする形で運行を開始した。「由布」自体が運行開始したのは1961年10月1日に博多駅 - 由布院駅 - 別府駅 - 門司港駅間で運転開始した準急列車としてで、この運転区間から分かるように循環列車に近い性格を持った列車であったが、1968年10月1日に博多駅を起終点とする循環急行「ゆのか」を吸収して2往復体制となった際に博多駅 - 別府駅間運転の急行に改められた。

1980年10月1日には別府駅 - 長崎駅佐世保駅間を運行していた急行「西九州」を博多駅発着に変更のうえで「由布」に編入し、「由布」は3往復体制となった。以降、「ゆふ」への変更を経て2013年現在まで3往復体制で推移している。なお2004年3月13日から2011年1月10日まで、「ゆふ」の一部はキハ183系気動車を充当した「ゆふDX」(ゆふデラックス)として運行されていた。

特急「ゆふいんの森」は1989年3月11日に運転開始した観光特急であるが、当初から専用編成に予備がない関係で臨時列車として運行されている。

列車名の由来[編集]

「由布」→「ゆふ」は、豊後富士とも呼ばれる大分県由布市にある由布岳が由来となっている。「ゆふいんの森」は由布岳と湯布院町(当時)にちなんでおり、牧歌的な風景をイメージしたものである。

運行概況[編集]

基本的には「ゆふ」、「ゆふいんの森」と2系統の特急列車として運転されているが、「ゆふいんの森」の運休時には同一ダイヤで「ゆふ」が運転されている。由布院駅・大分駅方面への列車が下り、博多駅方面への列車が上りとして扱われている。

九州新幹線鹿児島ルートの全線開業以降は、日中に鹿児島本線鳥栖駅 - 久留米駅間を運行する唯一の特急列車になっている。

ゆふ[編集]

キハ185系「ゆふ」

博多駅 - 別府駅間に2往復、博多駅 - 大分駅間に1往復の計3往復が運行されている。列車番号は号数+80Dである。

1992年の特急格上げ時点では3往復とも別府駅発着で運行されていたが、2001年に1往復が大分駅発着に変更され、さらに2008年3月15日からは大分駅高架化事業に伴い大分駅 - 別府駅間が臨時列車扱いになり、同年8月24日からは運行自体を休止していた。しかし高架化事業の進捗により、2008年3月ダイヤ改正以前に別府駅発着だった列車に関しては、2012年3月17日のダイヤ改正で別府駅発着に戻されている。

停車駅[編集]

博多駅 - 二日市駅 - 鳥栖駅 - 久留米駅 - (久留米大学前駅) - (田主丸駅) - 筑後吉井駅 - (うきは駅) - 日田駅 - 天ヶ瀬駅 - 豊後森駅 - 豊後中村駅 - 由布院駅 - 湯平駅 - 向之原駅 - 大分駅 - 別府駅

  • ( )は一部の列車のみ停車

使用車両・編成[編集]

2012年3月17日現在の編成図
ゆふ
← 別府・大分
博多 →
1 2 3
指自
  • 全車禁煙
凡例
指=普通車座席指定席
自=自由席

大分鉄道事業部大分車両センターに所属するキハ185系気動車の3両編成が充当されている。グリーン車は連結されていない。同じキハ185系で運行される豊肥本線特急「九州横断特急」とは基本的に運用は分けられている。

ゆふDX[編集]

2004年3月13日のダイヤ改正からは、「ゆふ」のうち1.5往復をキハ183系気動車4両編成を充当した「ゆふDX」として運行した。車両は2003年まで大村線特急「シーボルト」に用いられていたものを改造したもので、1992年から1999年までは「ゆふいんの森」に使われていたものである。

日によって「ゆふ」と「ゆふDX」の運行を入れ替える方式を取っており、奇数日は1・4・5号が「ゆふ」、2・3・6号が「ゆふDX」として運行、偶数日はその逆となっていた。なお、毎月31日と、閏年の2月29日は全列車「ゆふ」での運行となっていた。キハ183系は予備車両がないため、検査時などの場合も3往復とも「ゆふ」として運行されていた。

「ゆふDX」は1・4号車が普通車座席指定席、2・3号車が普通車自由席として運行されていた。1・4号車の車端部には前面展望が可能なパノラマシートが設けられており、パノラマシート利用時の特急料金はJR九州の通常期特急料金の200円増しで通年同額と区別されていた。パノラマシートは座席が車端向きに固定されているため、下り列車の4号車、上り列車の1号車では進行方向と逆向きになっていた。

キハ183系は、豊肥本線熊本駅 - 宮地駅間の特急「あそぼーい!」に転用されることが決まったため(「あそぼーい!」は2011年6月4日より運行開始)、「ゆふDX」の運行は2011年1月10日をもって終了した[1]

ゆふいんの森[編集]

博多駅 - 由布院駅間2往復(1・2・5・6号)、博多駅 - 別府駅間1往復(3・4号)の計3往復が運行されている。列車番号は、号数+7000Dである。

1989年に1往復で運行を開始した時は別府駅発着で、1992年に2往復化された際に増発分の列車は博多駅 - 由布院駅 - 別府駅 - 小倉駅間で運転され、かつての準急「由布」のような循環列車に近い性格を有していたが、1995年に全列車別府駅発着となり、車両の変更があった1999年に現行の運行本数となった。なお、別府駅発着列車に関しては「ゆふ」と同様に大分駅発着で運転されていた時期がある。また、由布院駅発着列車が設定された際に、このうち1往復に接続する形で由布院駅 - 別府駅間運行の「ゆふ」が設定されたが、この「ゆふ」は2002年に廃止されている。

なお「ゆふいんの森」は予備車両がないため、車両の検査時には「ゆふ」の車両により「ゆふ8○号」(○は本来の「ゆふいんの森」の号数)として運行される。

停車駅[編集]

博多駅 - 二日市駅 - 鳥栖駅 - 久留米駅 - 日田駅 - 天ヶ瀬駅 - 豊後森駅 - 由布院駅 - 大分駅 - 別府駅

使用車両・編成[編集]

2012年3月17日現在の編成図
ゆふいんの森
← 別府・由布院
博多 →
3・4号(キハ71系)
1 2 3 4
指b
1・2・5・6号(キハ72系)
1 2 3 4
b指
  • 全車禁煙
凡例
指=普通車座席指定席
b=ビュッフェ

筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センターに所属するキハ71系気動車キハ72系気動車が充当されており、別府駅発着列車はキハ71系、由布院駅発着列車はキハ72系で運行される。運行開始以来、2001年3月から6月にかけて1両が自由席とされたのを除き、全車指定席で運行されている。またキハ71系は2号車、キハ72系は3号車にビュッフェを備えている。

なお「ゆふ」として運行される際は「ゆふ」と同様のキハ185系3両編成で運行される。その場合は自由席が連結され、ビュッフェの営業はない。


利用状況と競合交通機関[編集]

久大本線は最高速度が85km/hから95km/hへ引上げられたとはいえ、両開き分岐器による速度制限を受けているため、博多駅 - 大分駅間の所要時間は約2時間50分を要し、並行する大分自動車道を経由して福岡市大分市を結ぶ高速バス「とよのくに号」よりも遅い。また本数も3往復と少ないため、高速バス「とよのくに号」への対抗は小倉駅経由の特急「ソニック」に任されている。むしろ博多から日田市由布市九重町方面などへの観光客が主体となっている。

福岡市日田市を結ぶ高速バス「ひた号」および福岡市と由布院地区を結ぶ高速バス「ゆふいん号」とは競合関係にある。

久大本線優等列車沿革[編集]

キハ58系急行「由布」(JR九州急行用塗色変更後)
  • 1961年(昭和36年)10月1日:「ゆのか」の増便扱いで、博多駅 - 由布院駅 - 別府駅 - 門司港駅間を運転する準急「由布」(ゆふ)の運転開始。
  • 1962年(昭和37年)10月1日:「由布」を小倉駅発着とする。
  • 1963年(昭和38年)10月1日:臨時列車として、直方駅(下り)・門司港駅(上り) - 由布院駅間の準急「はんだ」、門司港駅(下り)・直方駅(上り) - 豊後中村駅間の準急「日田」(ひた)の運転開始。
  • 1964年(昭和39年)3月20日:「はんだ」「日田」を定期列車化。
    • 4月10日:別府駅 - 長崎駅佐世保駅間を日豊本線・久大本線・鹿児島本線・長崎本線佐世保線経由で運転する準急「西九州」(にしきゅうしゅう)の運転開始。
      • この「西九州」の運行形態は運転当時としては観光列車の一つとして捉えられており、大分県長崎県の観光地を広域に結ぶ列車として設定された。この点では異色ではあった。
    • 10月1日:「日田」を由布院駅まで延長。また上り列車に関しては久大本線内で「ゆのか」に併結とする。
  • 1965年(昭和40年)10月1日:このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 従来浜田駅・石見益田駅(現在の益田駅) - 博多駅間を運転していた準急「あきよし」の運転区間を、浜田駅 - 東唐津駅山口線経由)・天ヶ瀬駅(美祢線・日田彦山線経由)間に変更(浜田駅 - 石見益田駅間・厚狭駅 - 小倉駅間で併結運転)。
    2. 「西九州」の一部編成を博多駅 - 鳥栖駅 - 長崎駅間に変更。
    3. 下り「ゆのか」の別府駅 - 博多駅間を廃止。
    4. 「はんだ」「日田」の運転区間を変更。「はんだ」は門司港駅 - 黒崎駅 - 直方駅 - 日田駅 - 由布院駅間(伊田線経由)、「日田」は直方駅 - 黒崎駅 - 城野駅 - 日田駅 - 由布院駅間の運転とする。
      • 「はんだ」「日田」は北九州地方や筑豊地方の主要駅の客の利便性のため、やや遠回りの経路をとっていた。
キハ58系・キハ65系気動車急行「由布」(1987年)
キハ58系・キハ65系気動車急行「由布」九州急行色(1992年 博多駅)
キハ185系気動車「ゆふ」専用塗色車(初代)
キハ183系「ゆふDX」(初期塗色「古代漆色」)
  • 1966年(昭和41年)3月5日:準急・急行料金制度の改変に伴い、久大本線乗り入れの準急をすべて急行列車に格上げ。
  • 1967年(昭和42年)10月1日:「ゆのか」を再び上下とも博多駅発着の循環列車とする。また「由布」「日田」を上下とも久大本線内併結運転とする。
  • 1968年(昭和43年)10月1日:「ゆのか」の名称を日豊本線の急行列車に使用するため、「由布」は旧「ゆのか」を編入して2往復化。運転区間は全列車博多駅 - 別府駅間とする。旧「ゆのか」の下り列車に関しては「はんだ」を併結。また「西九州」の博多駅発着編成は「いなさ」に編入(併結は継続)。
  • 1970年(昭和45年)10月1日:「あきよし」の日田駅 - 天ヶ瀬駅間、下り「あさぎり」の豊後森駅 - 由布院駅間を普通列車に格下げ。
  • 1975年(昭和50年)3月10日: 山陽新幹線の全線開業に伴い、「あきよし」は浜田駅 - 博多駅間運転の列車が廃止となり、浜田駅 - 天ヶ瀬駅間のみの運転になる。
  • 1978年(昭和53年)10月2日:上り「西九州」の大分駅→別府駅間を普通列車に格下げ。
  • 1980年(昭和55年)10月1日:このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 「西九州」を博多駅発着に変更のうえ「由布」に編入。「由布」は3往復となる。
    2. 「はんだ」「日田」「あさぎり」を快速に格下げ。ただし、旧「日田」の下り列車に関しては当初「由布」との併結を継続し由布院駅まで乗り入れていた。
    3. 「ひこさん」および「あきよし」の日田駅 - 天ヶ瀬駅間を廃止。「あきよし」の下関駅 - 日田駅間は快速に格下げ。
  • 1985年(昭和60年)3月14日:「あきよし」廃止。また「由布」のグリーン車を普通車指定席に格下げ。
  • 1989年平成元年)
    • 3月11日:博多駅 - 別府駅間に、急行用のキハ58系キハ65系を改造したキハ71系気動車を充当する臨時特急「ゆふいんの森」の運転開始。「ゆふいんの森I世」という俗称もある。
    • この年から1991年にかけて、主に長期休暇期間中に別府駅 - 佐世保駅間運転の臨時急行「佐世保」・「べっぷ」が運転された(佐世保駅行きが「佐世保」、別府駅行きが「べっぷ」として運転、鳥栖駅 - 別府駅間は「由布2・5号」に併結)。なお、1990年は長崎駅発着の「旅博べっぷ号」として運転されることが多かった。
  • 1992年(平成4年)7月15日:以下のように変更する。
    1. JR四国から購入したキハ185系気動車を改造のうえで「由布」に投入し、特急「ゆふ」に格上げする。
    2. 「ゆふいんの森」は博多駅 - 由布院駅 - 小倉駅間の列車を増発し2往復となる。なお、増発分には「オランダ村特急」で使用していたキハ183系気動車を改造のうえで充当され、「ゆふいんの森II世」の愛称が付けられた。
  • 1995年(平成7年)4月20日:「ゆふいんの森」別府駅 - 小倉駅間の運転を終了。
  • 1999年(平成11年)3月13日:キハ183系による「ゆふいんの森II世」の使用を終了し、新造されたキハ72系気動車を投入。これの気動車は、「ゆふいんの森III世」という俗称もある。キハ71系を用いた博多駅 - 別府駅間1往復と、キハ72系を用いた博多駅 - 由布院駅間2往復の運転になる。また、由布院駅発着の「ゆふいんの森」に接続する形で、由布院駅 - 別府駅間の「ゆふ」が1往復設定された。
  • 2001年(平成13年)3月3日:「ゆふ2・5号」を大分駅発着とする。また「ゆふいんの森」の博多寄りの1両(4号車)を自由席としたが、同年の7月1日には再び全車指定席に戻された。
  • 2002年(平成14年)3月23日:由布院駅 - 別府駅間の「ゆふ」を廃止。
  • 2004年(平成16年)3月13日:「シーボルト」廃止に伴い保留車となっていたキハ183系を再改造のうえで「ゆふ」に投入。キハ183系の「ゆふ」は「ゆふDX」として運転される。当初は「古代漆色」の外観であった。
  • 2005年(平成17年)4月1日:「ゆふ(DX)」の車内販売が廃止。
  • 2008年(平成20年)3月11日:「ゆふDX」の塗装がプレミアムイエローに変更され、運転を開始。
    • 3月15日:大分駅高架化工事に伴い、「ゆふ(DX)」「ゆふいんの森」の大分駅 - 別府駅間を臨時列車扱いとする。
    • 8月24日:「ゆふ(DX)」「ゆふいんの森」、大分駅 - 別府駅間の臨時延長を終了する。
  • 2009年(平成21年)3月14日:全車禁煙となる。
  • 2011年(平成23年)1月10日:「ゆふDX」の運転が終了[1]
  • 2012年(平成24年)
    • 3月17日:「ゆふ」「ゆふいんの森」の大分駅 - 別府駅間の運転再開。別府駅への乗り入れ本数は2008年以前と同じ。
    • 7月21日:この月の11日から14日にかけて発生した平成24年7月九州北部豪雨により久大本線のうきは駅 - 日田駅間が不通となったため、「ゆふ」「ゆふいんの森」は日田駅 - 大分駅・別府駅間で以下のように暫定的に運行再開。
      1. 「ゆふ」は100 - 103号の2往復で、101・102号が別府駅発着、100・103号が大分駅発着で運転。
      2. 「ゆふいんの森」は90 - 93号の2往復で、91・92号が別府駅発着、90・93号が大分駅発着で運転。
        • なお「ゆふいんの森」は90・91号がキハ72系、92・93系がキハ71系での運転で、キハ72系は初めて大分駅・別府駅発着の「ゆふいんの森」に充当されることとなった。また車両輸送の都合上「ゆふいんの森」は通常と車両の上下方向が逆転していた。
      3. 停車駅は「ゆふ」「ゆふいんの森」とも、通常の「ゆふ」の日田駅 - 別府駅間の停車駅に準じた。
    • 8月28日:久大本線の復旧作業が完了し、「ゆふ」「ゆふいんの森」は通常ダイヤでの運行再開。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 平成23年春の観光列車新設について - 九州旅客鉄道ニュースリリース 2010年10月22日

外部リンク[編集]