やまゆり型巡視艇

やまゆり型巡視艇
	CL-231「えぞぎく」
基本情報
艦種	15メートル型CL
就役期間	1978年 - 2011年 (やまゆり型)
前級	のげかぜ型
次級	すずかぜ型 (20m型)
要目（やまゆり型）
総トン数	37トン
全長	18.00 m
水線長	16.60 m
最大幅	4.3 m
深さ	2.4 m
主機	ディーゼルエンジン×2基
推進器	スクリュープロペラ×2軸
出力	900馬力
速力	20.7ノット
航続距離	180海里 (19kt巡航時)
乗員	6名
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やまゆり型巡視艇（英語: Yamayuri-class patrol crafts）は、海上保安庁の巡視艇の船級^[1]。また改正型のいそかぜ型（2隻）、いそかぜ型の主機強化型のなだかぜ型（2隻）についても別型ではあるが、本項で扱う。

設計[編集]

海上保安庁創設当時の船艇は戦時急造船や老朽船であったことから、求められる任務を適切に果たすため、昭和24年（1949年）度計画より新規建造を開始した。同年度計画で建造したそよかぜ型ののち、昭和32年度計画から新規設計によるはるかぜ型、昭和39年度からはこれをもとに速力の向上と消防能力の付与をはかったやかぜ型、昭和43年度計画からはこれを鋼製化したちよかぜ型と、順次に15メートル型巡視艇を整備してきた。しかし多様化する業務ニーズに対応するには、ちよかぜ型でも船型過小となったことから、これらの運用実績を加味して新規設計されたのが本型である^[1]^[2]^[3]。

主機関は日産RD10T-A06ディーゼルエンジン2基を搭載して、それぞれが両舷1軸ずつのスクリュープロペラを駆動した。またCL-250以降は主機関をS6A-MTK（450馬力）2基に、また推進器をウォータージェット推進方式に変更して、最大速力21.9ノットとしていたが、最終艇では再び従前どおりに戻された^[4]。（WJ推進CL250のみ）

配備[編集]

建造は昭和52年度計画より着手され、昭和62年度計画までの10年間にわたって64隻という多数が建造された。なお、全長が18メートルあることから、従来の15メートル型と区別するため、部内では非公式に18メートル型とも称されていた^[1]。

また改正型として、昭和63年度計画では上部構造物を刷新したいそかぜ型が、また平成2年度計画ではその主機出力を強化したなだかぜ型が建造された。なだかぜ型はちよかぜ型の更新も視野に入れていたが、船型過小と判断されて量産には至らず、20メートル型のすずかぜ型が建造されることになった^[1]。

基本塗色は灰色であったが、2000年（平成12年）以降白色塗装及びS字章とJCGロゴが船側に記載された艇がある。

同型艇一覧[編集]

計画年度	番号	船名	建造	竣工	解役
昭和52年度	CL-201	やまゆり	石原	1978年1月	2001年2月
昭和52年度	CL-202	たちばな		1978年2月	2001年3月
昭和53年度	CL-203	こまくさ		1979年1月
昭和53年度	CL-204	しらぎく → とさつばき		1979年2月
昭和53年度補正	CL-205	やぐるま	墨田川造船	1979年7月	2002年3月
	CL-206	はまなす → みやぎく		1979年9月	2007年3月
	CL-207	すずらん		1979年7月
	CL-208	いそぎく		1979年9月
	CL-209	いせぎく		1979年8月
	CL-210	あやめ	ヨット	1979年10月	2002年12月
	CL-211	あじさい	信貴	1979年9月	2008年3月
	CL-212	ひまわり	ヨット	1979年10月	2002年3月
	CL-213	はざくら	ヨット	1979年8月	2008年3月
	CL-214	ひなぎく	石原	1979年7月	2009年3月
	CL-215	はまぎく	ヨット	1979年9月	2008年3月
	CL-216	ふよう	石原	1979年7月	2002年3月
	CL-217	つばき		1979年8月	2002年3月
	CL-218	さざんか		1979年8月	1999年3月
	CL-219	あおい	墨田川	1979年10月
	CL-220	すいせん	ヨット	1979年10月
	CL-221	やえざくら	石原	1979年9月
	CL-222	あけび	石原	1979年10月	2002年3月
昭和54年度	CL-223	しらはぎ	墨田川	1980年1月	2002年3月
	CL-224	べにばな	墨田川	1980年1月	1999年3月
	CL-225	むらつばき	石原	1979年12月	2001年3月
	CL-226	つつじ	墨田川	1980年2月	2008年3月
	CL-227	あしび	石原	1979年12月	2002年3月
	CL-228	さとざくら		1980年2月	2008年3月
	CL-229	ゆきつばき			1999年3月
	CL-230	さつき	信貴		2001年3月
昭和55年度	CL-231	えぞぎく	ヨット	1980年11月	2007年2月
	CL-232	あかしあ → はやぎく	墨田川		2008年4月
	CL-233	こざくら	ヨット		2011年2月
	CL-234	しらうめ	石原		2008年4月
	CL-235	さるびあ	石原		2009年3月
	CL-236	すいれん	信貴	1980年12月	2002年3月
	CL-237	はつぎく	石原	1981年1月	2007年3月
	CL-238	はまゆり	石原	1981年1月	2009年3月
昭和56年度	CL-239	あいりす	ヨット	1982年2月	2011年2月
	CL-240	やまぶき	墨田川	1981年12月	2007年3月
	CL-241	しらゆり	信貴	1982年2月	2009年3月
	CL-242	からたち	石原	1981年12月	2009年3月
	CL-243	こうばい		1982年2月	2002年3月
	CL-244	はまゆう		1982年1月	2009年3月
昭和57年度	CL-245	ささゆり → いせぎく	墨田川	1983年1月	2009年11月
	CL-246	こすもす	石原	1983年2月	2009年11月
	CL-247	しおぎく → たかぎく	墨田川	1982年11月	2009年3月
	CL-248	やまはぎ	ヨット	1982年11月	2009年3月
	CL-249	もくれん	信貴	1983年1月	2009年11月
	CL-250	いそふじ	石原	1983年3月	2008年2月
昭和58年度	CL-251	たまつばき	墨田川	1984年1月	2010年2月
	CL-252	よどぎく	信貴	1983年11月	2008年4月
	CL-253	いよざくら	石原	1983年11月	2009年11月
	CL-254	ひめつばき	石原	1984年1月	2009年11月
	CL-255	ときくさ	墨田川	1984年2月	2007年3月
昭和59年度	CL-256	むつぎく → すずらん	墨田川	1984年11月	2011年3月
	CL-257	てるぎく	信貴	1984年12月	2010年3月
	CL-258	まやざくら	石原	1984年12月	2008年4月
	CL-259	やまぎく	ヨット	1985年1月	2011年2月
	CL-260	とびうめ	石原	1985年1月	2008年4月
	CL-261	ことざくら	墨田川	1985年2月	2011年2月
	CL-262	みほぎく	石原	1985年2月	2008年3月
	CL-263	くろゆり	ヨット	1984年11月	2008年3月
昭和62年度補正	CL-264	ちよぎく	信貴	1988年3月	2011年3月
昭和63年度（いそかぜ型）	CL-01	いそかぜ	ヨット	1989年3月	2016年3月
昭和63年度（いそかぜ型）	CL-02	はやかぜ		1989年3月	2016年3月
平成2年度（なだかぜ型）	CL-03	なだかぜ		1991年	2017年3月
平成2年度（なだかぜ型）	CL-04	ことかぜ		1991年	2017年3月

参考文献[編集]

^ ^a ^b ^c ^d 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、1-216頁、NAID 40005855317。
^ 『世界の艦船No.254』海人社、1978年5月。
^ 『海上保安庁船舶と航空機』財団法人平和の海協会、昭和46年12月25日改訂版。
^ Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 331. ISBN 978-0870212505

[SoW2003-1] 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、1-216頁、NAID 40005855317。

[2] 『世界の艦船No.254』海人社、1978年5月。

[3] 『海上保安庁船舶と航空機』財団法人平和の海協会、昭和46年12月25日改訂版。

[Prezelin1990-4] Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 331. ISBN 978-0870212505

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