もやもや病

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もやもや病のデータ
ICD-10 I675
統計 出典:WHO
世界の患者数
日本の患者数 3,900
(1994年)
○○学会
日本 日本脳神経外科学会
世界 アジア脳神経外科学会
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もやもや病
分類及び外部参照情報
ICD-10 I67.5
ICD-9 437.5
OMIM 252350
DiseasesDB 8384
eMedicine neuro/616 
MeSH D009072
脳底の動脈の模式図

もやもや病(もやもやびょう、英称moyamoya disease)は、脳底部に異常血管網がみられる脳血管障害。脳血管造影の画像において、異常血管網が煙草のようにモヤモヤして見えることから[1]日本人研究者により「もやもや病」と命名された。

日本でのかつての正式名称は、ウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)。

目次

[編集] 定義(概念)

典型的には、脳血管造影で以下の所見を呈するものをいう。

  • 内頸動脈終末部、中大脳動脈近位部の狭窄または閉塞がある
  • 狭窄または閉塞部分より末梢側に異常血管網が発達している
  • このような現象が両側性に見られる

[編集] 症状・病態

脳の動脈に狭窄があると、当該血管支配領域の脳は血液不足(虚血)に陥る。そこで代償的に新たな血管(もやもや血管)が構築される。しかしこれらの血管は細く、脳虚血・または脳出血に起因する種々の発作の原因となる。

虚血の発作は過換気が原因で起こる。過換気状態になると血液中の二酸化炭素分圧が低下する。二酸化炭素は血管を拡張させる働きがあるので、これが減少すると血管が収縮する。すると、元々細い異常血管網(もやもや血管)はさらに収縮を起こして脳に送るべき酸素の供給が不足する状態になる。こうして失神や脱力発作が起こる。典型的な過換気状態は、熱い蕎麦ラーメンなどを冷ます「吹き冷まし」行為や、啼泣、リコーダーピアニカなどの吹奏楽器演奏時など、必要以上の呼吸を伴う動作で発生するため、注意を要する。また、成人発症例では動脈硬化が関与して狭窄を引き起こすものと考えられている。

一方出血の発作は、脳の血液需要に応じるための大量の血液を送る血管(もやもや血管)が細いために破綻するものと考えられている。成人発症例に多い。

出血箇所が悪い場合、致命傷となる。 また、成人に近い成長期に出血すると脳全体に脳浮腫(加速的な腫れ)を発症し、多くの場合、助からない。 最も留意すべきは補助的に作られた即席・もやもや血管は壁が薄く破れやすい所にある。

本疾患は原則両側性に起こるが、その程度は様々である。一方の内頸動脈の狭窄は重度であるがもう一方は極めて軽度であるということもある。

以下に小児と成人の初発症状で多いものを示す。

[編集] 小児例

  • 反復性の頭痛
  • 脱力発作
  • 痙攣
  • 失神

[編集] 成人例

[編集] 合併症

小児例では知能障害、成人例では脳出血

[編集] 原因

発見から数十年が経っているにも関わらず、未だ原因は断定されていない。まずウィリス動脈輪部の閉塞が徐々に起き、虚血を補うために側副血行路として異常血管網が形成されるというのが有力な説である(注:ウィリス動脈輪部の閉塞が一気に起きた場合は脳梗塞になる)。

一方で、家族性発症も10~15%あることが知られており、遺伝が関与することが示唆されている。実際3番、6番、17番の染色体に高い連鎖のあることが知られているが、原因遺伝子の解明までには至っていない。

[編集] 統計

年間発症率は10万人あたり0.35と推定されている。男女比は1:1.7、好発年齢は5歳と30~40歳の2峰性を示す。

[編集] 疫学

アジアに多い疾患であり、中でも日本が最も患者数が多い。

[編集] 予防

原因が不明である以上一次予防は不可能であり、合併症を防ぐための二次予防と三次予防が重要となる。

[編集] 二次予防

片頭痛癲癇として見逃されている例が多いため、繰り返す頭痛や痙攣発作がある場合はもやもや病を疑い、MRIやMRAを受ける。

[編集] 三次予防

激しい運動は脳虚血脳出血を誘発する恐れがあるため、極力避けるようにする。

[編集] 検査

血流の途絶や櫛状の信号所見が見られる。
血管造影と同様の所見
定義に述べた所見が見られる。

[編集] 診断

MRIとMRAで診断する。以上の検査で明らかになれば、脳血管造影は必ずしも行う必要はない。

[編集] 治療

脳血行再建術を行う。これには直接的にバイパスを作る術式(浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術が一般的)と、間接的にバイパスを作る術式(直接血管を吻合するのではなく、近接する大血管からの自然な血管新生を期待する)がある。内科的には抗血小板療法を行い、虚血発作を予防する。

[編集] 予後

小児例での急速進行例では、重篤な知能障害が後遺症として残ることが多いが、適切な治療が行われれば予後は比較的良好。

成人例でも比較的良好であるが、脳出血を起こした後に再出血した場合では死亡率が高い。

[編集] 診療科

脳神経外科、小児神経科、神経内科

[編集] 各国において

日本人を中心にアジア人に多い疾患であるため、日本での研究が世界をリードした。

日本で脳神経外科学が発達し始めた1950年代血管造影において1953年昭和28年)に選択的血管造影法が創始された。同法は脳の血管造影にも導入され、未知の疾患が様々な日本語英語の呼称で報告された。その未知の疾患の中には当疾患も含まれ、海外では日本の研究者の苗字をとった名称も用いられた。いくつもの名称があった当疾患に対し、脳神経外科学会会長(当時)であった工藤達之教授(慶応義塾大学)が提唱した「ウィリス動脈輪閉塞症」を厚生省(当時)は標準病名として採用した。しかし、1965年昭和40年)に鈴木二郎教授(東北大学)が命名した「もやもや病」が海外では広く受け入れられ、疾病及び関連保健問題の国際統計分類でも標準病名となってしまった。そのため、日本でも2001年平成13年)に厚生労働省が「もやもや病」を標準病名とした。同年、シンガーソングライター徳永英明が当疾患に罹患したことが報じられ、日本の一般市民にも知られるようになった。

なお、各国語で「もやもや」を“moyamoya”と綴るが、この綴り英語では「モィヤモィヤ」、フランス語では「モワイヤモワイヤ」、スペイン語では「モヤモヤ」「モジャモジャ」などと発音する綴り方であるため、正しく「もやもや」と発音出来ない外国人が見られる。

[編集] 脚注

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  1. ^ もやもや病北里大学医学部脳神経外科)

[編集] 外部リンク