勃起

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勃起(ぼっき)とは、陰茎(ペニス)、陰核(クリトリス)、または乳首が硬くなって起(た)つ生理現象。以下には、主に陰茎の勃起について述べる。勃起は心理、神経、血管系、内分泌系などの要因の相互作用により引き起こされ、必ずではないが大抵、性的興奮に関係している。尿膀胱にたまったときにも起こりうる。日中、自然に起きる人もいる。レム睡眠中に起きるのは朝立ちと言われる[要出典]

概要[編集]

陰茎は通常状態では柔軟で、男性の股間に懸下しているが、勃起状態で太く長く硬くなることで、性行為の時に女性器に挿入することが可能となる。常に不十分な勃起状態にしかならないのを勃起不全(旧称インポテンツ)と言い、性行為が不能となるため治療が必要である。 ヒトの勃起は、陰茎内部の海綿体に血液が溜まり、血液を排出する静脈が調節され、内部の圧力が上昇することによって支えられる。これは陰茎内圧の上昇によって行われるため、当然伸縮性のある陰茎は内圧の高まりに拠って非勃起時よりも太くなる。普段の血圧では内部構造の関係で鬱血しないようになっている。

ヒト以外の動物については、陰茎骨という骨を持ち、この骨が筋肉の働きに拠って陰茎を伸ばすものも見られる。クジラなどの海洋哺乳類では、普段陰茎は皮下にS字状にしまいこまれた状態で埋没しており、性交時にはこの陰茎骨が陰茎を突き出させるのである。 陰茎への機械的刺激の他、視覚刺激や想像などにより大脳皮質から引き起こされることもある。

主に思春期に入り第二次性徴が始まると、性に対する知識や興味が増え頻繁に勃起するようになるが、思春期前でも、触るなどの外的刺激を受ければ陰茎は勃起する。

形状と大きさ[編集]

勃起時の陰茎の長さには、個人差があるが、ドイツ人研究者[誰?]の統計[要出典]によると平均で13.6cm程度、ダイヤグラム・グループの調査によれば平均15.6cm程度で、90%の男性は12.5cm - 17.5cmの範囲に収まるとなっている[1]。詳細はヒトの陰茎のサイズを参照。ただ、平均より小さくとも女性の膣の長さは7~10cmほどなので、生殖行為としての性行為には支障はない。勃起時の太さ・膨張率は人によってまちまちで、非勃起時の太さが同じでも、勃起時の太さが同じだとは限らない。一般に、若いほど勃起時の陰茎の角度が急となり、加齢とともに角度が緩やかになっていく傾向がある。角度は以下のような統計がある。真上を向き腹につくのを0°とし、水平が90°、真下を向くのが180°である。

勃起の角度の統計[2]
角度 (º)  %
0–30 5
30–60 30
60–85 31
85–95 10
95–120 20
120–180 5

また、日本においては平常時亀頭包皮が被っていても、勃起により包皮が反転し亀頭が露出するものを「仮性包茎」と呼ぶが、性行為の上では全く問題はない。

陰茎折症[編集]

ヒト陰茎は勃起時に強い衝撃を受けると内部の圧力を支える白膜が「裂ける」ことがある。これを陰茎折症または陰茎骨折という。その過半数程度は自慰性交時に急に折り曲げたりなど無理な圧力が掛かることで発生するが、骨折一般と違い骨が損傷しているわけではないものの、白膜が裂ける瞬間はそれと分かる「何かが折れる」ような音がする場合もあるという。この場合は外科的に手術で治療しないと勃起障害などの原因となる[3]

その他の勃起[編集]

女性の勃起[編集]

陰茎の相同器官でもある、女性の陰核(クリトリス)にも男性の陰茎と同様に勃起が起こることがある。女性が性的興奮をした際に通常、陰核亀頭が膨張し陰核包皮から僅かに突出する。ただし、個人差がある。一方には勃起しても陰核亀頭が陰核包皮に覆われたままの女性もいれば、他方には陰核亀頭が勃起せずに引っ込んだままの女性もいる。

乳首の勃起[編集]

勃起した女性の乳首

男女ともに性的興奮により乳首に勃起が起こる。いずれも勃起前よりも敏感に性的快感を与えるようになる(こそばゆいと感じるだけのものもおり、個人差あり)。

性的要因以外の勃起[編集]

性的興奮以外または性的以外の刺激でも勃起が起こることがある。乗り物による振動や摩擦などがそれにあたる。また思春期などでは性的な欲求や刺激が無くても、突発的に勃起してしまうことが多い。

朝立ち」は睡眠から覚めた際に勃起している状態をいう。その機序については、性的なを見ていた(ただし目覚める前に忘れてしまった)とするものや無意識に触っていて刺激を与えたのだなどとするものから、膀胱内圧力が前立腺を刺激しているなど様々な説があるものの、正確な理由はわかっていない。ただ膀胱内部の刺激説はやや否定されている模様である。勃起障害でも心因性勃起障害では朝立ちすることも知られており、これの有無で勃起障害がどのような原因で起きているかの診断にも利用される。

病的原因による勃起[編集]

陰茎はある種の病気で勃起の様な現象が起きる場合がある。この場合、本人の性的意識や興奮とは関係なく発生し、むしろ苦痛を伴うこともある。陰茎海綿体やその被膜に繊維組織が異常増殖して硬さを持ち、見かけ勃起している状態になるものをPeyronie病という。しかし、増殖した繊維組織によって引きつっているだけなので血液の流入による海綿体の膨張という真の勃起ではなく、むしろ真の勃起が起きると引きつった部分に痛みを生じてしまう。主に中高年に発症し、治療には外科手術によって繊維質を取り除く療法等が行われる。

また、他の全身疾患(白血病痛風など)に併発して持続性勃起症が起きることがある。勃起を支配する中枢神経系の腫瘍などの病的異常によっても起こる。前立腺尿路などの炎症が勃起を誘発させる神経刺激を持続し持続性勃起症を起こす場合もある。持続性勃起症は陰茎海綿体に血栓症を引き起こす。持続性勃起症は通常10日間以内とされるが、持続が更に長期に渡る場合は海綿体組織が繊維化し軟骨カルシウム沈着によって骨に移行する例もある。持続性勃起症が発現した場合は、早期に受診し原因となる病気の究明がまず優先される[4]

勃起補助具[編集]

下腹部の疾患、体調不良、疲労、連続射精、あるいは加齢などにより、陰茎が十分に勃起しなくなった時、あるいは勃起を維持することが困難になった時に使用する勃起補助具がある。

エラストマー製コックリング

コックリング[編集]

コックリングとは陰茎の根元を締め付け、陰茎を常時勃起させたままにするための用具である。柔軟性のあるエラストマーで作られており、陰茎を軽く締め付けることで勃起維持を図る。簡単な構造のものはコンドーム脱落防止リングと称して、薬局ドラッグストアで販売されているものもある。装着感は、多少きつく感じられるがそのまま射精可能である。

体外陰圧式勃起補助具[編集]

ガラス製あるいはプラスチック製などで作られた円筒に陰茎を挿入し、ポンプで円筒内の空気を抜き陰茎に負圧を掛けて血流の流入増を起こし勃起させる用具である。勃起後の陰茎にはコックバンドを装着し勃起を維持させる。

脚注[編集]

  1. ^ ダイヤグラム・グループ(編)、池上智寿子、根岸悦子(訳)、1976(原著), 1981(邦訳)、『マンズ・ボディー』、鎌倉書房
  2. ^ Sparling J (1997). “Penile erections: shape, angle, and length”. Journal of Sex & Marital Therapy 23 (3): 195–207. PMID 9292834. 
  3. ^ 参考文献「陰茎折症の6例 --本邦282例の臨床的観察--
  4. ^ Ernst Oppenheimer(編)、田崎寛、鈴木秋悦(訳)、1987、『生殖器』、日本チバガイギー

関連項目[編集]