ばいばい、アース

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ばいばい、アース
ジャンル ファンタジー
小説
著者 冲方丁
イラスト 天野喜孝
出版社 角川書店
発売日 2000年12月25日
巻数 全2巻
小説:角川文庫版
著者 冲方丁
イラスト キム・ヒョンテ
出版社 角川書店
レーベル 角川文庫
刊行期間 2007年9月25日 - 2008年2月25日
巻数 全4巻
漫画
原作・原案など 冲方丁
作画 麻日隆
出版社 少年画報社
掲載誌 ヤングキングアワーズ
レーベル ヤングキングコミックス
発表号 2020年3月号 - 2022年9月号
発表期間 2020年1月30日[1] - 2022年7月29日[2]
巻数 全4巻
アニメ
原作 冲方丁
監督 西片康人
シリーズ構成 吉野弘幸
キャラクターデザイン 日野優希
音楽 Kevin Penkin
アニメーション制作 ライデンフィルム
製作 WOWOW
ソニー・ピクチャーズ
クランチロール
放送局 WOWOW
放送期間 2024年7月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 文学漫画アニメ

ばいばい、アース』(Bye Bye, Earth)は、冲方丁による日本ファンタジー小説。角川書店から2000年に刊行された。2007年から2008年にかけて角川文庫版が刊行された。イラストは天野喜孝、文庫版はキム・ヒョンテ

ヤングキングアワーズ』(少年画報社)にて、2020年3月号から2022年9月号まで、麻日隆の作画によるコミカライズが連載された[1][2]

ストーリー[編集]

空には聖星(アース)が輝き、花は生き生きと動き、人々は動物の姿かたちをまとう。そんな世界にただ一人、牙も毛皮もまとわぬ無形にして異形の「のっぺらぼう」として生まれたラブラック=ベル。彼女は自分と交わることを許してくれる世界を探すため、旅の者(ノマド)になるため、〈都市〉と〈外〉の戦いに身を投じる。

重要語句[編集]

刻印(スペル)
剣にそれぞれ刻まれており、刻まれたスペルによって剣は特殊な効果を発揮する。
魚や鳥、虫のかたちをしており、普通の花と同じく種(いわゆる卵)で増える。根を下ろしてそこに定着することも可能。
都市〈パーク〉
法(テーマ)の下に統べられた〈テーマ・パーク〉が複数存在している。
〈剣の国〉シュベルトランドの文字通り都市。上から見るとヘキサクルの形をしている。中心には神の樹を祀り王の住まう城がある。
また、都市の民は〈内〉や〈正義〉と表示され、トップドッグと言われる。
都市の外
一般的に〈城外民〉と呼ばれる者が住み〈外〉や〈悪〉と記されアンダードッグと言われる。文字通り〈正義〉と対立し、戦っている。
カタコーム
〈外〉にある、死者を葬る地下洞窟。迷路のように複雑だが、ここの司祭のコリンズ一族は道の繋がりが分かる。
〈外〉にあるがあくまで中立的な聖地で、私利私欲で利用しようものなら〈悪〉であっても撃退され、逆に死者を弔うべく来た者なら〈正義〉でも丁重にもてなされる。
ニドホックと呼ばれ、神に仇なす者を指し、彼らは神言にて剣士達に撃退される。

登場人物[編集]

声の項はテレビアニメ版の声優。

ラブラック=ベル
声 - ファイルーズあい[3]
主人公。人間の少女=〈のっぺらぼう〉で異形として生まれた存在。石の卵から生まれた(この石は別名賢者の石とも言われる)。大地との関わりが希薄なため、超跳躍が可能。また、怪力。常軌を逸脱している存在なため、野蛮〈ビースティ〉と言われる。
所有する剣は〈唸る剣〉ルンディング。刻まれたスペルは無何有郷を意味するEREHWON。超重量の剣。普段はくすんだ刀身だがベルの感応に反応し、白銀の刃を現す。また、折れてもまた新しい刃が生まれる、生まれ続ける剣。名前のベルとは小さき者と言う意味。
旅の呪いで斬れないものが出るようになった。
別称止揚者神を止揚する者
ラブラック=シアン
声 - 諏訪部順一[4]
月瞳族(キャッツアイズ)、教示者(エノーラ)。ベルの養父にして師匠の存在。最後の教示をしたため、ベルには彼の記憶が薄くしか残っていない。教え子には他にもアドニスやガフがいる。
所持する剣は青燐色(ラピスラズリ)の剣で、刻まれた刻印はENOLA(教示する者)
先代の弟王(ファタール)として〈剣の国〉最強の剣士だったが、自らの意思で自由に剣を振るうことが出来ず、神の奴隷として生きることに絶望。教示者となることで軛から逃れようとするが、自らの過ちで次の弟王候補であったガフの弟を殺害してしまう。剣作家ドランブイとの出会いから神への懐疑を覚え、神の法から解放された旅の者となり、太古の秩序を滅ぼし、新たな世界を創造する「理由の少女」ベルを育てることになる。
シャンディ=ガフ
声 - 日野聡[4]
城に住む主族の月瞳族の者で金の体毛を持つ。黄の(アイボリー)神官団の頭。王亡き後は兄王(フォルチュネ)となる。真面目で厳格な性格。だが頑固では無い。周りの人望も厚い。
所持する剣は〈王国の剣〉。刻印はEMOCLEW(王国)。緋色の諸刃の剣だが、金色に輝く時がある。
弟がいた。
クエスティオン=アドニス
声 - 内山昂輝[4]
〈懐疑する者〉の刻印を持つ。月瞳族の青年。銀髪で赤いバンダナがトレードマーク。
自分の剣を持たず死人の剣を使うことから剣盗人とも呼ばれる。
真相は生まれながらにして旅の呪いを持っていて、その呪いが触ったものへの感応が大きいほどそのものを腐敗させると言うものだったので自分の剣が持てない。
通常剣士は感応をこめ刻印の力を発揮、剣を振るがアドニスはそれをせず、剣を消耗品として使う。また獣花のバンブーを使い魔としている。この獣の体内は異次元になっておりそこに住居や剣の保管場所を構えている。城の剣士だったがあることをきっかけに飢餓同盟に入り、ドランブイと出会う。そこで初めて自分の剣を入手する。
剣の名は錆びた爪(ラスティネール)。刻印はNOWHERE(無何無郷)。死してなお死に続ける剣で、刃を折っても折られた箇所が修復される。〈撓う剣〉レーピアの形だが、刀身は異様にささくれている。
ギネス
声 - 榎木淳弥[4]
 剣楽隊(バンド)の脚本者(リブレット)。弓瞳族の青年。元々才能はあるのだが、気が弱いために人の言に左右され易く、鬱屈した戦術しか取れない。ある戦で出会った〈悪〉のミストの叱咤激励、ジンバックの教えを受け、才能を開花。この戦いで失ったものは大きかったが、脚本者として鬼才の評価を得る。ジンバック亡き後、彼の指揮剣を受け継ぎ、指揮者としても卓越した才能を発揮。同時に、民が神に束縛されない生き方を模索し始める。
ベネティクティン
声 - 小清水亜美[4]
 剣楽隊(バンド)の演出者(エディター)。雌雄同体の水族(マーメイド)。氷の結界術を自在に操り、弓の名手でもある。ベルとは相容れないように思われたが、ある戦での出来事がその距離を急激に縮めた。また、その時の戦果により演出者(エディター)としての評価も高まった。
キティ=ザ・オール
声 - 花江夏樹[4]
 旅の長耳族。外見は10代前半の少年だが、老成した雰囲気と成熟した言葉を使う。
〈硬貨の国〉の流浪王子。シアンの弟子でもある。圧倒的な演算魔法と式を使い、ベルの窮地を救い、時に彼女に助言を与え、導く。
キティ=ザ・ナッシング
シェリー
声 - 早見沙織[4]
城の筆頭歌士。
キール=ロワール
ティツィアーノ
 水族(マーメイド)の雌性。ガフやアドニスらと同じ4剣士の一人。ある事件以来、行方不明となっている。剣にはLEGNA(使わす者)という刻印が刻まれている。
ミスト
クラウド
ドランブイ
剣作家。飢餓同盟の一員であり、シアン・ベル・アドニスの剣を鍛えた。
ローハイド

既刊一覧[編集]

小説[編集]

  • 冲方丁(著)・天野喜孝(イラスト)『ばいばい、アース』角川書店〈単行本〉、全2巻
    1. 上巻 2000年12月25日発売[5]ISBN 4-04-873245-5
    2. 下巻 2000年12月25日発売[6]ISBN 4-04-873246-3
  • 冲方丁(著)・キム・ヒョンテ(イラスト)『ばいばい、アース』角川書店〈角川文庫〉、全4巻
    1. I 理由の少女、2007年9月25日初版発行(9月22日発売[7])、ISBN 978-4-04-472903-5
    2. II 懐疑者と鍵、2007年10月25日初版発行(同日発売[8])、ISBN 978-4-04-472904-2
    3. III 爪先立ちて望みしは、2007年11月22日初版発行(同日発売[9])、ISBN 978-4-04-472906-6
    4. IV 今ここに在る者、2008年2月25日初版発行(2月23日発売[10])、ISBN 978-4-04-472907-3

漫画[編集]

テレビアニメ[編集]

2022年11月、WOWOWソニー・ピクチャーズ エンタテインメントCrunchyrollによる三社共同オリジナルアニメ製作プロジェクト第一弾として制作が発表された[16]。2024年7月よりWOWOWにて放送・配信予定[4]

スタッフ[編集]

  • 原作 - 冲方丁[3]
  • 監督 - 西片康人[3]
  • 助監督 - 横手颯太[3]
  • シリーズ構成 - 吉野弘幸[3]
  • キャラクターデザイン - 日野優希[3]
  • モンスターデザイン - ツブキケン、原由知[3]
  • 美術監督 - 岡本穂高[3]
  • 色彩設計 - 篠原愛子[3]
  • 撮影監督 - 室塚勇伎[3]
  • 編集 - 山田聖実[3]
  • 音楽 - Kevin Penkin[3]
  • 音響監督 - 久保宗一郎[3]
  • アニメーション制作 - ライデンフィルム[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b “冲方丁「ばいばい、アース」のコミカライズ連載がアワーズで始動”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年1月30日). https://natalie.mu/comic/news/365178 2021年9月30日閲覧。 
  2. ^ a b 冲方サミット (2022年7月28日). “【最終回】コミック「ばいばい、アース」最終話〈終曲〉掲載のヤングキングアワーズ9月号は明日7月29日発売です!”. note. note株式会社. 2023年10月14日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『ばいばい、アース』WOWOWオリジナルアニメとして2024年放送・配信決定! 主人公・ラブラック=ベル役にファイルーズあいさん、コメント到着”. アニメイトタイムズ. アニメイト (2023年10月14日). 2023年10月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 「ばいばい、アース」WOWOWで7月より放送!内山昂輝、諏訪部順一らキャスト一挙解禁”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年3月15日). 2024年3月15日閲覧。
  5. ^ 「ばいばい、アース(上)」冲方丁 文芸書”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  6. ^ 「ばいばい、アース(下)」冲方丁 文芸書”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  7. ^ 「ばいばい、アースI 理由の少女」冲方丁 角川文庫”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  8. ^ 「ばいばい、アースII 懐疑者と鍵」冲方丁 角川文庫”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  9. ^ 「ばいばい、アースIII 爪先立ちて望みしは」冲方丁 角川文庫”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  10. ^ 「ばいばい、アースIV 今ここに在る者」冲方丁 角川文庫”. KADOKAWA. 2021年9月30日閲覧。
  11. ^ a b “「ばいばい、アース」コミカライズ1、2巻同時発売、冲方丁書き下ろし小説も収録”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年1月16日). https://natalie.mu/comic/news/412710 2021年9月30日閲覧。 
  12. ^ ばいばい、アース 第1巻(作 冲方丁 画 麻日隆)”. 少年画報社. 2021年9月30日閲覧。
  13. ^ ばいばい、アース 第2巻(作 冲方丁 画 麻日隆)”. 少年画報社. 2021年9月30日閲覧。
  14. ^ ばいばい、アース 第3巻(作 冲方丁 画 麻日隆)”. 少年画報社. 2021年9月30日閲覧。
  15. ^ ばいばい、アース 第4巻(作 冲方丁 画 麻日隆)”. 少年画報社. 2022年9月30日閲覧。
  16. ^ “冲方丁「ばいばい、アース」アニメ化、WOWOWなど3社共同のアニメ企画第1弾”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年11月17日). https://natalie.mu/comic/news/501631 2022年11月22日閲覧。 

外部リンク[編集]