『それでも世界は美しい』(それでもせかいはうつくしい)は、椎名橙による日本の漫画作品。『花とゆめ』(白泉社)にて3回の読み切りを発表後、2012年2号から集中連載開始。単行本は2011年12月現在、花とゆめコミックス(同)より既刊1巻が刊行されている。
[編集] あらすじ
雨を降らせる能力を持つ「雨の公国」の第四公女・ニケ・ルメルシエ(ニケ)。彼女は嫌々ながらも国のため、「晴れの大国」の太陽王・リヴィウス一世(リビ)に嫁ぐことに! …しかも、即位して3年で世界を征服したと聞いたが、会った相手は、なんとまだ子供! さらに、くだらない理由で、雨を降らせろと要求され、反発するニケ。しかし、共に危機を乗り越え信頼を深め、ニケは、自らの意志でリビのそばに残ることを決意する。互いに愛し合い、支え合いながら、共に歩むニケとリビ。やがて、二人は正式な婚約者となり、運命の輪が回り始めるのだった…。感動×愛×ファンタジー。太陽と雨が一つに合わさる、光と雨のディスティニーロマンス。
注意:以降の記述で「それでも世界は美しい」に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
[編集] 登場人物
[編集] 晴れの大国
[編集] 主要なキャラクター
- ニケ・ルメルシエ (ニケ)
- 主人公。東方にある貧乏な鎖国国家「雨の公国」の第四公女。四人姉妹の末娘。活発で庶民の娘のような感覚を持つ、スタイル抜群の緑眼・茶髪の少女。雨の公国の自治を認めることと引き換えに、太陽王であるリヴィウス一世の元に嫁ぐこととなった。
- ニケを含め、雨の公国の王家一族は天候を操る能力を持ち、特に「アメフラシ」と呼ばれる雨を降らす能力に特化している。ニケは、「ばば様」からアメフラシを習った。また、風を操ったり、水から霧を作ることもできる。
- 当初、雨を見たいという理由で自分を呼んだリヴィウスに反発し反抗的だったため、リヴィウスに気に入られ妻として迎え入れられる。リヴィウスと次第に心を通わせ、お互いを知っていくうちに、惹かれあっていく。そして、敵対派閥による二度にわたる太陽王暗殺を阻止、その後、「わからないなら知っていけばいい」と、自らの意志でリヴィウスの元に留まっている。
- 世界王の妻としてのファーストレディ教育として、マナーレッスンやダンスレッスンをニールから受けている。貴族や同盟国の大使たちからは、「"妖しの業"を使う、途方もなくド田舎のド田舎王家の山猿の様な姫」と言われ蔑まれることが多いが、彼女の魔法は、そのような輩を魅了してしまうほど美しい。普段は活発でまっすぐなおてんば娘だが、式典に出席する際には礼儀正しいおしとやかな女性となる。また、普段は腰ほどまである長い茶髪をストレートにしているが、ダンスを踊る時や式典に出席する際には結っている(その際の髪型はいつも違っている)。
- ニールからは、リヴィウスの「精神安定剤」として頼りにされており、リヴィウスが自分の寝所に潜り込んでくることに辟易しているが、ニケ自身、寝相はかなり悪いらしい。
- ルナが来てからは毎日ルナにいびられる日々を送り、貴族たちからも陰口をたたかれるが、リヴィウスの言葉に勇気づけられ決闘でルナに勝利。その後ルナと和解し、ルナが帰国した後、はじめてリヴィウスのことを「リビ」と愛称で呼ぶようになった。
- 一国の王女であり「世界王の妻」となる身であるが、そのことを鼻にかけない明るく優しい庶民的な性格のため、国民から愛され、また、「リヴィウス王を変えた姫」として慕われている(王であるリヴィウスよりも人気がある)。また、誰とでも同じ目線で話すため、リヴィウスに対しても敬語を使わない。
- リヴィウスとは相思相愛であり婚約式を間近に控えていたが、神官庁の陰謀により、闇返りの儀を受けることになる。しかし、その試練において地下神殿で殺されそうになり、駆け付けたリヴィウスに窮地を救われ、機転を利かせて共に神殿から脱出する。日輪交換の儀において、リヴィウスの指示で太陽にリングをかけ(暈を作り)、アリステスらに動揺を、他の者に歓喜を与える。その後、罪を認めたアリステスを、自分たちの婚約を承認することを条件に助命する。
- 「日輪交換」の後、リヴィウスとは正式な婚約者同士となった。その後、公務やレッスンが増えたらしい。
- リヴィウス一世 (リビ)
- 「晴れの大国」の太陽王。即位して僅か3年で世界征服を果たした世界王だが、まだ少年。黒眼・黒髪。暇を持て余し、雨を見たいという理由で雨の公国に姫を一人寄こすよう要求した。
- 元々は王位に興味のない少年だったが、下層階級出身の母親を暗殺されたことで冷血で無慈悲な太陽王へと変貌する。ニール曰く、欠けた心を埋めたい一心のウサ晴らしで世界征服を果たす。通常の一人称は「俺」。式典や謁見、相手を脅す際の一人称は「余」だが、「私」や「俺」になることもある。
- 当初は、退屈しのぎで反抗的なニケを妻として迎え入れたが、次第に心を通わせ惹かれあっていく。敵対派閥からニケを守るため、いったんはニケを自分から遠ざけるが、その後、自室に放火され炎の中に取り残されたところを戻ってきたニケに救われる。それ以来、ニケを必要とし手放せなくなる。
- 母親死後は薬がなければ眠れなくなっていたが、ニケの寝所に潜り込むようになってからはなくても眠れるようになったらしい。なぜか、眠る際は、上半身は服を脱いでいる。
- 貴族たちから何かと蔑まれるニケを守り、気にかけている。
- ニケとは相思相愛であり婚約式を間近に控えていたが、かつて神官庁に粛清を敷いたことから神官庁に恨まれ結婚を認められず、闇返りの儀を受けることを承諾したニケにシーラの指輪を渡し送り出す。しかし、ニケを失いたくない一心で、掟を破り、ニケのもとへ駆けつけ、暗殺を阻止し、共に神殿を脱出。日輪交換の儀において、ニケに指示しアリステスらに動揺を与え、彼らの悪事を明らかにする。しかし、逆らう者を決して許さない性格だったにも関わらず、ニケによるアリステスの助命に異を唱えなかったため、アリステスに「丸くなった」と言われている。
- ニール
- 太陽王の首席秘書官でリヴィウスの理解者。
- ニケの教育係も務める。ニケのことに関しては、「山猿のような姫」と言っているが、その事でニケを蔑むようなことはなく、リヴィウスの「精神安定剤」として頼りにしている。
- リヴィウスの考えることに関しては、彼にはバレバレであり、ニケに、リヴィウスが太陽王となった経緯やニケを自国へ送り返した意味などを説明した。
- たびたびレッスンをさぼって町へ行ったり、公務逃亡したりするニケを叱っているが、貴族たちから蔑まれることの多いニケを心配し、何かと気にかけている。
[編集] 神官庁
- 小ラニ・テウス
- 第4話登場。「晴れの大国」の神官。法衣に誤って酒をこぼしてしまった下働きの少女を手打ちしようとしたところをニケに阻止され、また、アリステスからも忠告を受ける。
- ラニ・アリステス
- 第4-6話登場。「晴れの大国」の神官。異民族であったシーラやその息子であるリヴィウスに悪意を抱いている。かつてリヴィウスが神官庁に粛清を敷いたことを恨みに思い、リヴィウスとニケの婚約に横やりを入れ、ニケに対し、闇返りの儀を受けるよう迫る。そして、試練に乗じてニケ暗殺を目論み地下神殿に刺客を差し向けるが、リヴィウスの乱入により失敗。日輪交換の儀において自らの罪を認める。この時、死の覚悟をしていたが、リヴィウスとニケの婚約を承認することを条件に、ニケに助命される。
- ランダ
- 第5-6話登場。「晴れの大国」の神官。ニケを暗殺するための刺客として、アリステスに地下神殿に差し向けられるが、リヴィウスに阻まれ負傷する。その後、日輪交換の儀において、ニケが太陽にリングを架けたことに動揺し、リヴィウスが地下神殿に赴きニケを手助けしていたことを暴露してしまい、アリステスに平手打ちされる。
- ラニ・レアータ
- 第6話登場。「晴れの大国」の神官。病中の大神官に代わり、リヴィウスとニケの日輪交換の儀を務めた。その後、二人の婚約を直接大神官に取り合う。
[編集] その他のキャラクター
- シーラ
- 故人。「晴れの大国」の先王の側室でリヴィウスの母親。元は少数部族の娘で、下層階級の出身。三年前に暗殺された。バルドから好意を寄せられていたため、暗殺される前にリヴィウスを彼に託した。リヴィウスに守りの指輪を遺していった(後、この指輪は、ニケに伝えられるが、刺客により真っ二つに壊される)。
- フェーラー公
- 第2話登場。「晴れの大国」の国務大臣。ニケのことを、「"妖しの業"を使う、途方もなくド田舎のド田舎王家の山猿の様な姫」と言い蔑むが、リヴィウスに叱責され、また、披露宴でのニケの姿に目を見張る。
- バルドウィン・シシル・イフリキア (バルド)
- 「晴れの大国」の先王の末の実弟であり、リヴィウスの叔父。片思いをしていたシーラが暗殺された後、彼女の遺言でリヴィウスを守るため彼を王位につけ、自分は宰相を務めていた。しかし、リヴィウスが心をなくしてしまったことに心を痛め、自ら彼の元を離れ吟遊詩人となった。
- リヴィウスが婚約したことを知り、ニケを見定めるために「晴れの大国」に帰ってくる。後、ニケの計らいによりリヴィウスと和解し、再び宰相に任じられる。
[編集] 湖(ウミ)の王国
- 湖の王国の大使
- 第2話登場。ニケのお披露目会のため「晴れの大国」に招かれていたが、ニケのことを「陛下のお暇つぶし、「"妖しの業"を使う、途方もなくド田舎のド田舎王家の山猿の様な姫」と言って蔑み、リヴィウスに叱責される。そして、お披露目会当日、ニケに魅了され、これがルナの嫉妬の元となる。
- アマルナ・ルイラサエル (ルナ)
- 第3話登場。「湖の王国」の第一王女。リヴィウスの幼馴染で自称婚約者。幼い頃からリヴィウスに片思いをしていたが、リヴィウスが太陽王になってからはしばらく距離を置いていた。
- リヴィウスとニケの婚約を知り、再びリヴィウスに会いにやって来る。自国の大使がニケに魅了されたこととニケがリヴィウスの婚約者であることに嫉妬し、ニケと「雨の公国」を蔑み、ニケに対し何かと嫌がらせをする。しかし、決闘でニケに敗れ、ニケとリヴィウスのお互いを思い合う強い思いを知り、負けを認め、身を引く。その後、一応はニケと和解した模様。また、決闘の際、崖から落ちたところをニケに助けられている。
- アクニ
- 第3話登場。「湖の王国」の下働きの女性。ルナに従って晴れの大国にやってくる。ルナが、昔からリヴィウスのことが好きだったことを知っている。後、ルナと共に湖の王国ニ帰った。
[編集] 設定および用語
[編集] 地名・勢力関連
- 世界
- 太陽王・リヴィウス一世が統一しているが、それぞれの国は併合されておらず、雨の公国のように自治を認められている国や、湖(ウミ)の王国のような晴れの大国の同盟国もある様子。
- 晴れの大国
- 太陽王・リヴィウス一世が統治する国。名の通り年中晴れており、雨が降ることはない。最新技術で生活用水等の確保に問題はないらしい。
- ニケ曰く、朝日はとても強烈。
- 雨の公国
- この物語の主人公・ニケの母国。東方にある貧乏な鎖国国家。ニケの父親が王として統治している。姫は四人いるが、末娘のニケ以外は未婚。太陽王に自治を認められている。
- ニケを含め、この国の王家一族は天候を操る能力を持ち、特に「アメフラシ」と呼ばれる雨を降らす能力に特化している。
- 湖の王国
- ルナ曰く、「晴れの大国」の一番古い同盟国。
[編集] 儀式・機関
- アメフラシ
- 君主が臣民のために施す神聖な儀式。雨を呼ぶには歌を調合する必要があり、それを求める人間の想いと術者の想いが呼応し、術者に世界の美しさを実感させなければならない。歌を調合するには、その土地ドチの気候、風土、景色などを自分の中に入れ、基本のメロディにアレンジを加えライムを乗せなければならず、術者が世界に感応しないと雨はおりない。
- また、アメフラシで潤すのは大地だけではなく、真に滴を届けるべくは聖域と呼ばれる場所である。
- 聖域
- 抱えた重荷、帰らぬ人などをしまっておく最も脆く渇きやすい心の神殿。人の心の奥、そのまた奥にある。
- 神官庁
- 晴れの大国の主神太陽神他、神々の祭事を取り仕切る最高機関。
- 晴れの大国では、王族の結婚にはここの承認が不可欠である。
- 日輪交換の儀
- 晴れの大国の婚約式のこと。
- 男女がそれぞれ持ち寄った指輪を交換することで婚約が成立する。リングが太陽を表す。
- 闇返りの儀
- 日輪交換の儀で使う特別な指輪を奉納されている地下神殿まで取りに行く、というもの。これを達成した者は太陽神に王家に入ることを許されるとされている。しかし、その地下神殿は瘴気の谷深くにあり、そこで命を落とした姫は数知れないため、先々王の代から廃れた風習になっていた。
- この試練を「受ける」ということは、姫の「異端」を認めることになる。
- 実際には、神官たちに都合のいい姫だけを王妃にするための暗殺用として使われていた。
[編集] その他
- 太陽王
- この世界の支配者・世界王のこと。現・太陽王は、リヴィウス一世。
- チキチキ馬で崖までデスレース
- ルナ曰く、湖の王国の由緒正しい決闘。ルールは、崖まで馬で駆けていき、先に馬を止めたほうが負け、というもの。
- 暈
- 雨が降る前兆現象で太陽にリングが架かる。白虹ともいう。
- 太陽からの光が雲を形成する水晶を通り抜ける際、屈折することでできる。雲の濃度、プリズムの調合、どれも微妙なバランスが必要。
- ニケが日輪交換の儀で作った。
[編集] 単行本
[編集] 関連項目