すごい科学で守ります!
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『すごい科学で守ります!』(すごいかがくでまもります)は、漫画家兼特撮評論家の長谷川裕一による「スーパー戦隊シリーズ」を中心とした特撮作品におけるSF考証をまとめた解釈書である。『特撮SF解釈講座』という副題が添えられている。
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[編集] 概要
書物製作の発端となったトークショーなどのイベント(後述)では「ウルトラシリーズ」や「ゴジラシリーズ」などに言及する事もあるが、出版物では東映の製作した作品のみを扱っている。時にこの考証に基づく世界観および発刊書籍そのものを指す言葉として「すごかが」という略称が用いられる。
なお、あくまでも「SF考証」のため『空想科学読本』に代表されるような「科学考証」とは趣が異なる。それは著者の「作中における各種超科学・超自然現象はあくまでもその世界の中にある法則で動いているものであり、これを現実世界における基礎物理学をはじめとする従来の科学で解説する事は作品の存在意義そのものを否定する事となるため、ナンセンスであり無意味である 」という考え方にのっとっている。この事が従来の『科学考証本』と異なり「作品に対する愛情」を全面的に打ち出す結果となり、多くの特撮ファンに支持された。
以下の書籍がNHK出版より発行されている。
- 『すごい科学で守ります!』(1998年3月1日初版・ISBN 4-14-080364-9)
- 『もっとすごい科学で守ります!』(2000年8月5日初版・ISBN 4-14-080503-X)
- 『さらにすごい科学でまもります!』(2005年11月30日初版・ISBN 4-14-080801-2)
『もっと~』は第32回(2001年)星雲賞ノンフィクション部門を受賞した。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
[編集] 各作品の公式的な繋がり
どこまでが公式の設定か理解してないファンがいるため特記。作品内で関連性が明確に謳われているのは、以下の通り。
- 『スーパー戦隊シリーズ』では『電子戦隊デンジマン』と『太陽戦隊サンバルカン』のみ(『デンジマン』の敵・へドリアン女王は『サンバルカン』にて復活、レギュラーで登場し、回想で映像も挿入されている。また、デンジ星人の超科学についてはサンバルカン劇中でも言及されている)。
- また、近作のスーパー戦隊シリーズは、Vシネマなどで新旧作主人公が共演しているが、これはあくまでも「ファンサービス」としての製作作品であるため、オフィシャル設定ではあくまでも別の世界とされている(ただし、ファンの嗜好に応えるため、同一の世界観として考えても矛盾が出ないような設定の調整はある程度なされている)。
- 昭和『仮面ライダー』シリーズは『仮面ライダー』から『仮面ライダーZX』まで、及び『仮面ライダーBLACK』と『仮面ライダーBLACK RX』(『仮面ライダーBLACK RX』最終回近く、『仮面ライダー』から『仮面ライダーZX』までのキャラクターが登場。また、『仮面ライダーワールド』では、『仮面ライダーBLACK RX』と『真仮面ライダー』・『仮面ライダーZO』・『仮面ライダーJ』のキャラクターが登場。また、『仮面ライダーZO』の漫画では、『仮面ライダーX』・『仮面ライダーアマゾン』・『仮面ライダーBLACK』のキャラクターが登場)。
- 『すごかが』でもまだ扱っていない平成『仮面ライダー』シリーズでは、応募者全員サービスのOVAの中で、スーパー戦隊Vシネマのような競演はあるものの、独自の世界観が完全に孤立しているためか、それほど多くの競演は見られない。公式的なテレビ内の競演としては、『仮面ライダーカブト』ではワンカットながら、『仮面ライダー THE FIRST』のキャラクターが登場などがある。また、2008年4月には『仮面ライダー電王』と『仮面ライダーキバ』が競演する「劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事」が公開された。2009年1月より平成ライダー総出演となる『仮面ライダーディケイド』が放映となり、ここで平成ライダー各作品の世界がパラレルワールドである事が示され、また従来の放送による平成の各ライダー以外のライダー(TVシリーズに登場した以外の存在であるTVシリーズと同程度の能力と同じ外観を持つライダー)が存在する事も描かれている。
- メタルヒーローシリーズは『宇宙刑事ギャバン』から『宇宙刑事シャイダー』までの『宇宙刑事三部作』、『特警ウインスペクター』から『特捜エクシードラフト』までの『レスキューポリス三部作』、及び『重甲ビーファイター』と『ビーファイターカブト』(『重甲ビーファイター』の最終回近く、『特捜ロボ ジャンパーソン』と『ブルースワット』のまでのキャラクターが登場)
それ以外の各作品及び各シリーズは「それぞれ単独の世界であり、世界観の関連性は(表向きには)存在しない」というのが製作元である東映のオフィシャルな考え方である。
[編集] 間接的なつながり
- 本作で扱われる作品の多くは、東映の作品(例外として、「アメリカにジュウレンジャーが現れた」ことが記述されている)。
- 上記のように、石ノ森作品には、数多くのクロスオーバーが見られる。
- 製作面での共通点として、先に上げた二つの共通点により、各作品内でオマージュとも呼べるネタの流用がなされている。
[編集] 『すごかが』成立と思考法
[編集] 『すごかが』のあけぼの
長谷川は元々、スーパー戦隊シリーズのマニア間における取り扱いの「軽さ」が気になっていた。それはシリーズそのものが「(製作された時代の)子どものためのもの」という製作姿勢を固く貫き、マニア(特撮おたく)が好むメソッド(重厚な裏設定や作品の関連性など)をあえて除外して作られているためであった。
日本を代表する特撮シリーズでありながら、マニアに冷遇されるスーパー戦隊の現況にいたく不満を持った彼は「ならばこういう考え方もできるぞ」と具体例を挙げて行く事で、スーパー戦隊シリーズのマニア仲間間における作品評価の向上を図ろうと考えた。このように元々「マニア向け」を意識して詰めていった内容なので、当初は商用書籍としての発行は全く念頭に無く同人誌として仲間内に密かに広めようと考えていただけだった。
その初段階として、各地のSFイベントなどでトークショーのテーマとして、これを取り上げた。すると当時、NHK出版において長谷川が著作を務めたコミック版『飛べ!イサミ』の担当編集者・高原敦がこのトークショーの商用書籍化を進言。長谷川自身は単なる冗談と考えていたが、担当編集は出版社内にて企画を通し、スーパー戦隊シリーズの製作版権元である東映他に版権使用の許諾を得て、出版の段取りを一気に整えてしまった。そのため、書籍版の奥付にはしっかりと東映ならびにテレビ朝日のコピーライトが記されている。
なお、ここで語られている設定の内容はオフィシャル設定ではなく長谷川ならびに協力者の「考え方の一例」である。ちなみに書籍名『すごい科学で守ります!』は前述したトークショーにおいてSFイベントのスタッフがつけたイベントタイトルであるが、長谷川自身が気に入っているため、書籍名にも使われている。
[編集] 『すごかが』の大発展
最初の書籍が出版された後も、長谷川らは新たに製作されるスーパー戦隊シリーズ作品の考証を続けた。一方で書籍第一弾である「すごかが」の若年層読者より「スーパー戦隊を扱っているのに『秘密戦隊ゴレンジャー』と『ジャッカー電撃隊』を扱わないのはおかしいじゃないか!」との要望が来るようになる。しかし、これは長谷川らの手落ちではない。
理由は『ゴレンジャー』『ジャッカー』が石森章太郎(石ノ森章太郎)原作作品であったことである(それ以外の戦隊シリーズ作品はすべて八手三郎原作、つまり東映オリジナル)。これを扱うということは、他ならぬ「仮面ライダーシリーズ」に代表される石ノ森章太郎ワールドに足を踏み入れることを意味していた。なぜなら石ノ森は生前、自作の全てを統一された世界観の上に作り上げていた(これは現在では「ハイパーリンク」と呼ばれる創作手法である)事で有名な漫画家だったからである。彼が原作を務めた特撮作品でもそれは同様だった。スーパー戦隊の時系列に一つでも石ノ森作品を認めるということは、すなわち「仮面ライダーなどに代表される他の石ノ森系特撮シリーズでの出来事も全スーパー戦隊と同じ世界での出来事である」と認める事になるのである(映画『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』では、彼らと同一の世界に仮面ライダーやキカイダーなどの石ノ森ヒーローがいる事がしっかりと描かれている)。
東映のオフィシャルな立場としても、この2作品はスーパー戦隊シリーズに含まれるか含まれないか、非常にあいまいな状態に長らく置かれ続けてきたが(スーパー戦隊シリーズも参照のこと)、当時はシリーズに加える方向に傾いていた。一方で往年の特撮ファン側の読者からは「ぜひとも宇宙刑事(もしくは仮面ライダー)シリーズですごかがをやってくれ!」との要望が出ていた。そこで長谷川らはこれらの要望に応える為『「すごかが」で扱わなかった(前述2作および書籍刊行後に発表された)スーパー戦隊』『宇宙刑事シリーズ』そして『仮面ライダーシリーズ』をまとめて取り扱う、書籍第2弾『もっとすごい科学で守ります!』を発表。「すごかが」の地平を石ノ森章太郎ワールドに広げる決意をする。そして、これは『石ノ森作品と八手作品の世界観の連結』という、様々な意味で凄まじい理論展開を引き起こした。
このため『もっとすごい科学で守ります!』以降の書籍のコピーライトは、前述の東映、テレビ朝日の2社に加えて石森プロのそれが登場する。
[編集] シリーズ独自の設定考証
『すごい科学で守ります!』シリーズにおいて、長谷川は次のような基準で考証を行っている。
「映像に確実に記されている事象>映像から読取って確実に推測ができる事象>オフィシャル設定>一般的にファン内で事実とされる設定」
ここから導き出された考証結果や設定は、公式設定ではない。また、東映側はこの書籍で解説されている設定について公式な声明は行っていない。
[編集] 技術に関する考証
本シリーズでは、魔法的バイオテクノロジー、遺伝子操作、機械技術など、さまざまな技術・テクノロジーの融合が背景にあると定義している。
- S.U.P.
- 地球文明技術、異星系技術、異世界技術の関連についても考察されている。異星系技術を持つ戦隊から技術供与を得る国際組織「S.U.P.(Scientific Universal Protection)」が発足し、地球内発展技術が発展したと長谷川らは考える。もちろん「S.U.P.」は「すごかが」独自の考えであり、オフィシャル設定ではない。
[編集] 歴史考証
スーパー戦隊シリーズでは『オーレンジャー』と『ゴーゴーファイブ』が共に1999年という設定になっており、ひとつの時間の流れで説明を続けることが困難になっている。そのために「ネジレジア混乱」という同じ年代が繰り返された理由を本シリーズ独自に設定し、矛盾を回避する試みを行っている。「ネジレジア」とは『メガレンジャー』に登場する敵組織の名称で、異次元からやってきた。このときの影響で地球全体が巨大な時空の歪みに巻き込まれ、宇宙の他の領域に対して4年分過去に戻ってしまったと定義した。
- 超古代文明
- いくつかの作品では有史以前の地球に高度な文明が存在していた事になっているが、すごかが世界ではもちろんそれらの文明すべてが実在する。
- 6000年前のダイ族/ダオス帝国(『五星戦隊ダイレンジャー』)
- 1万2千年前のムー帝国(『宇宙刑事シャイダー』)
- 1億7000万年前の古代人類文明(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)
- 6億年前の超古代文明(『超力戦隊オーレンジャー』)
[編集] 人物に関する考証
「すごかが」では、「同じ顔の者(同じ役者が演じた者)は同一人物」という考察が、しばしば見られる。 同一人物と目された彼らは、複数の作品に登場した理由を想像することで、本来、異なる世界観を持つ個別作品間のつながりがあると定義する。また、作品間の技術的な橋渡し役としても考察される場合がある。その中でも、最も多くの作品でその活動が確認できるのが宮内洋が演 じた登場人物である。
- 宮内洋が演じた登場人物
- 改造人間となって悪に立ち向かった「彼」は、自分と同じ志を持つ者たちが生身のまま戦えるよう、幾つもの偽名を使いながら強化服の実戦テストを繰り返した。また、みずから宇宙刑事として働きつつバード星系の強化服に関する技術を学び、それを地球に持ち帰った。やがて「彼」は司令官として戦いの指揮を執るようになったのである、という経歴が考察された。
- 一族・血縁
- 劇中において同一人物ではないと明言されていても役者が同じであれば親族として扱われる場合がある。例として「ヘドリアン女王と魔女バンドーラ」(演:曽我町子)や「サー・カウラーと大教授ビアス」(演:中田譲治)が挙げられる。
- 「似た苗字のキャラクターは血縁関係にある(親族にあたる)」という考察もある。そのうちの一つに「星一族」が存在する。
- 星一族
- 彼らはその名前ゆえに宇宙に強い憧憬を抱いており、時折宇宙開発や発明にその力を注いでいる。一族からはスーパー戦隊のメンバーを数多く輩出したり、S.U.P.の所持する学術・研究機関の博士となった者もおり、歴代のスーパー戦隊に一族総出で深く関わったと、いう事にされている。
- 科学戦隊ダイナマン(星川龍)
- 超獣戦隊ライブマン(星博士)
- 地球戦隊ファイブマン(星川一家)
- 超力戦隊オーレンジャー(星野吾郎)
[編集] 取り扱い作品一覧
各作品の詳細については、それぞれの項目ないしはシリーズ名の項目を参照。
斜体 で表示された作品は個別の節を設けず、他作品に絡めて語られたのみ。
- すごい科学で守ります!
- もっとすごい科学で守ります!
その他の石ノ森作品
- さらにすごい科学で守ります!
その他の作品
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- SF考証
- 空想科学読本
- HAND MAID メイ - 2000年に放送されたテレビアニメ。この作品のファンブックに「すごい科学で働きます!」という長谷川裕一の寄稿がある。
- コンパチSKM - 本書を原作としたゲームソフト。2007年4月1日のエイプリルフールネタ。
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