探偵物語/すこしだけやさしく

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
すこしだけやさしくから転送)
探偵物語/すこしだけやさしく
薬師丸ひろ子シングル
初出アルバム『探偵物語 オリジナル・サウンドトラック』
古今集
A面 探偵物語
すこしだけやさしく
リリース
規格 7インチ・レコード
ジャンル ポップス
バラード
レーベル EASTWORLD / 東芝EMI
EP:WTP-17555
作詞 松本隆
作曲 大瀧詠一
チャート最高順位
薬師丸ひろ子 シングル 年表
セーラー服と機関銃
1981年
探偵物語/すこしだけやさしく
1983年
メイン・テーマ
1984年
古今集 収録曲
  1. 元気を出して
  2. つぶやきの音符
  3. トライアングル
  4. カーメルの画廊にて
  5. 眠りの坂道
  6. 白い散歩道
  7. ジャンヌ・ダルクになれそう
  8. 月のオペラ
  9. アドレサンス(十代後期)
  10. 探偵物語
  11. すこしだけやさしく
  12. セーラー服と機関銃
  13. 探偵物語(ストリングス・ヴァージョン)
テンプレートを表示

探偵物語/すこしだけやさしく」(たんていものがたり/すこしだけやさしく)は、薬師丸ひろ子通算2枚目のシングル1983年5月25日東芝EMIより発売された。「探偵物語」は、薬師丸自身が出演した同タイトルの角川映画探偵物語』の主題歌。ジャケット写真は2種類存在している。

背景[編集]

映画『探偵物語』の主題歌と、TBSTVバラエティわくわく動物ランド』のエンディング・テーマ曲が収録された両A面シングル。両曲とも作詞が松本隆、作曲は大瀧詠一によるもの。

当初は「すこしだけやさしく」が「探偵物語」として同映画の主題歌に、「探偵物語」がカップリング曲「海辺のスケッチ」となる予定だったが、薬師丸本人が前者〔「探偵物語」を改題して「すこしだけやさしく」〕の曲調が気に入らず、〔「海辺のスケッチ」から「探偵物語」に〕曲名を変更した上で主題歌にした[5][6]。薬師丸が熱心だった「探偵物語」の録音は15テイクにも及び、歌が良くなっていくと作曲の大瀧詠一も興奮した[5]

映画を製作した角川春樹は、南佳孝のファーストアルバム『摩天楼のヒロイン』の歌詞を気に入り、アルバムをプロデュースした松本隆に作詞を依頼した[7]

作詞の松本隆はバイク事故で入院し、足にギプスをはめた状態で2曲の歌詞を書いた[8]。そのため、歌詞には、まるで日記のように怪我けがの要素が入っている[8]。「探偵物語」には、「身動きもできない」・「昨日からはみ出した……」、「すこしだけやさしく」には、怪我と包帯[8]

小学4、5年生だった松本隆が多摩川へ遠足に行った際に、同級生が川底のビンか何かの破片で足を切り、ザックリと切れた傷から大量の出血[9]。松本は川底に硝子ガラスの破片があるとは思えなかったこと、先生から「気を付けなさい」と注意されたこと、それらの記憶が「探偵物語」の歌詞となった[9]

レコーディングに使用した東芝EMIの広い第3スタジオに居場所がなくて、薬師丸は部屋の隅に行ってしまう[10]。そんな薬師丸をリラックスさせようと、大瀧はピアノで発声練習を指導した[8]

2016年3月、大瀧を追悼する『SONGS』に出演し、再現されたナイアガラ・サウンドをバックに「探偵物語」を歌唱した[11][12]

音楽雑誌『レコード・コレクターズ』(2014年11月号)の特集「80年代女性アイドル・ソング・ベスト100」で13位になった[13]。大瀧詠一の『EACH TIME』と同じ演奏陣による本曲を「雨のウェンズデイ」の姉妹曲とも指摘している[13]

セカンド・シングル「探偵物語」で松本隆と大瀧詠一に出会ったことで、薬師丸は歌うことやアルバム作りの楽しさを知り、「今後も俳優と並行しながら歌手として歌い続けたいと思った」との事[14]。さらに薬師丸は「もし二人に出会っていなかったら、歌手との両立など考えずに、女優だけをしていたかもしれない」と話している[14]

記録[編集]

予約枚数だけで50万枚以上を記録した[15]

前作の「セーラー服と機関銃」に続いて1位を記録。ソロでのデビューシングルからの2作連続首位は清水健太郎の「失恋レストラン」「帰らない/恋人よ」に続いて史上2人目の快挙である(後に沢尻エリカも達成する)。

オリコン週間ヒット・チャートで7週にわたって連続1位を記録した。これは、1982年あみんが「待つわ」で、また1983年に中森明菜が「12の神話」でそれぞれ連続6週1位を獲得して以来の好記録であった。次いで1989年工藤静香が「黄砂に吹かれて」で6週連続1位を獲得しているが、これ以降女性ソロ・アーティストの6週を超えるシングル・チャート連続1位記録は更新されていない(2008年現在)。オリコンチャートの登場週数は21週、累計84.1万枚のセールスを記録した[1]

1983年のオリコン年間ヒットチャートでは、第4位にランクインした。前年の1982年には「セーラー服と機関銃」が年間第2位にランクインしたため、2年連続でベスト10入りを果たしたことになる。ほか、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』では番組出演こそ1回のみ[16]だったが、最高1位(4週連続)を記録し、13週連続でベストテンにランクインした。

収録曲[編集]

全曲作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一/編曲:井上鑑

  1. 探偵物語 
    • 角川映画『探偵物語』主題歌
  2. すこしだけやさしく 

関連作品[編集]

カバー[編集]

探偵物語[編集]

すこしだけやさしく[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 『オリコン・シングル・チャートブック(完全版):1968 - 2010』オリコン・エンタテインメント、2012年2月、801頁。ISBN 978-4-87131-088-8 
  2. ^ 「首位獲得曲の推移 シングル」『オリコン年鑑 2007年版』オリコン・エンタテインメント、2007年3月、560頁。ISBN 978-4-87131-082-6 
  3. ^ 別冊宝島2611『80年代アイドルcollection』p.38.
  4. ^ 山田修爾『ザ・ベストテン』ソニー・マガジンズ、2008年、311頁。ISBN 978-4-78-973372-4 
  5. ^ a b 田家 2020, p. 75.
  6. ^ 『大瀧詠一作品集Vol.2』での大瀧の解説より。
  7. ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P191
  8. ^ a b c d 田家 2020, p. 76.
  9. ^ a b 田家 2020, p. 74.
  10. ^ 田家 2020, pp. 75–76.
  11. ^ "NHK「SONGS」大滝詠一特集でナイアガラサウンドを再現". ナターシャ. 7 March 2016. 2017年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月7日閲覧
  12. ^ "SONGS 第374回 大滝詠一". NHK. 19 March 2016. 2020年7月4日閲覧
  13. ^ a b 除川哲朗「80年代女性アイドル・ソング・ベスト100」『レコード・コレクターズ2014年平成26年)11月号、ミュージックマガジン、2014年、42頁。 
  14. ^ a b 【薬師丸ひろ子】薬師丸ひろ子「35年も歌を聴いてもらっていること自体が奇跡です」 映画と音楽をテーマに『シネマソングス』…(6/7ページ)”. 産経ニュース (2016年12月23日). 2016年12月23日閲覧。
  15. ^ 「“便乗ソング”流行(文化往来)」『日本経済新聞』1983年6月3日付朝刊、28頁。
  16. ^ 1983年7月7日放送、試写会会場(渋谷東急)からの中継。
  17. ^ 松本隆トリビュートに細野晴臣、YUKI、マサムネ、小山田壮平ら参加”. 音楽ナタリー (2015年5月4日). 2015年5月26日閲覧。
  18. ^ a b 大滝詠一が「快盗ルビイ」「風立ちぬ」など提供曲を歌うアルバム3月発売”. 音楽ナタリー (2016年1月8日). 2016年1月8日閲覧。
  19. ^ “安藤裕子が薬師丸ひろ子のヒット曲をカバー、ドラマ「探偵物語」の主題歌に”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2018年3月23日). https://natalie.mu/music/news/274860 2018年3月23日閲覧。 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]