カキ (貝)

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カキ
Huitres Cancale.jpg
ヨーロッパヒラガキ
Ostrea edulis Linnaeus, 1758
(背景は本種の名産地・ブロン川河口)
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
: ウグイスガイ目 Pterioida
: イタボガキ科 Ostreidae
イワガキの殻の例
イワガキ(三重県志摩産)非養殖物
殻を開いたところ
フランス名産の緑牡蠣(マガキ)
剥き身に加工するための殻を開ける道具
牡蛎(太平洋、生)
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 339 kJ (81 kcal)
炭水化物 4.95 g
- 食物繊維 0 g
脂肪 2.3 g
- 飽和脂肪酸 0.51 g
- 一価不飽和脂肪酸 0.358 g
- 多価不飽和脂肪酸 0.894 g
タンパク質 9.45 g
- トリプトファン 0.106 g
- トレオニン 0.407 g
- イソロイシン 0.411 g
- ロイシン 0.665 g
- リシン 0.706 g
- メチオニン 0.213 g
- シスチン 0.124 g
- フェニルアラニン 0.339 g
- チロシン 0.302 g
- バリン 0.413 g
- アルギニン 0.689 g
- ヒスチジン 0.181 g
- アラニン 0.572 g
- アスパラギン酸 0.912 g
- グルタミン酸 1.285 g
- グリシン 0.591 g
- プロリン 0.386 g
- セリン 0.423 g
水分 82.06 g
ビタミンA相当量 81 μg (9%)
ビタミンB1 0.067 mg (5%)
ビタミンB2 0.233 mg (16%)
ビタミンB3 2.01 mg (13%)
パントテン酸(ビタミンB5 0.5 mg (10%)
ビタミンB6 0.05 mg (4%)
葉酸(ビタミンB9 10 μg (3%)
ビタミンB12 16 μg (667%)
ビタミンC 8 mg (10%)
カルシウム 8 mg (1%)
鉄分 5.11 mg (41%)
マグネシウム 22 mg (6%)
マンガン 0.643 mg (32%)
セレン 77 μg (110%)
リン 162 mg (23%)
カリウム 168 mg (4%)
塩分 106 mg (5%)
亜鉛 16.62 mg (175%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

カキ(牡蛎、牡蠣、硴、英名:oyster)は、ウグイスガイ目イタボガキ科する二枚貝の総称、あるいはカキ目もしくはカキ上科に属するの総称。から「かきおとす」ことから「カキ」と言う名がついたといわれる。古くから、世界各地の沿岸地域で食用、薬品や化粧品、建材(貝殻)として利用されてきた。

目次

[編集] 特徴

食用にされるマガキイワガキなどの大型種がよく知られるが、食用にされない中型から小型の種も多い。どの種類も岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生するのが普通である。基盤に従って成長するため殻の形が一定せず、波の当たり具合などの環境によっても形が変化するため、外見による分類が難しく、野外では属さえも判別できないこともある。このため、未だに分類が混乱しているものも少なからずあり、外見に惑わされない分子系統などを使った分類がなされつつある。

養殖する方法は、カキの幼生が浮遊し始める夏の初めにホタテの貝殻を海中に吊るすと幼生が貝殻に付着するので、後は餌が豊富な場所に放っておくだけというものである。野生のものは餌が少ない磯などに付着するため、総じて養殖物の方が身が大きくて味も良い。

一旦岩などに付着すると、一生ほとんど動かないため、筋肉が退化し内臓がほとんどを占めている。日本テレビの科学番組『所さんの目がテン!』ではハマグリの内臓を寄せ集めてカキフライもどきを作ったところ、20人中18人が騙されたという結果が出た[1]

干潮時には水が無い場所に住む場合が多く、グリコーゲンを多く蓄えている。これにより、他の貝と違って水が無い所でも1週間は生きていられる。

英語でカキを指す“oyster”は日本語の「カキ」よりも広義に使われ、岩に着生する二枚貝のうち、形がやや不定形で表面が滑らかでないもの一般を指し、アコヤガイ類やウミギク科、あるいはかなり縁遠いキクザルガイ科などもoysterと呼ばれることがある。

[編集] 日本での主な食用種

[編集] マガキ属 Crassostrea

マガキ(真牡蠣) Crassostrea gigas(Thunberg,1793)
最も一般的な種で、日本でカキといえば本種。寒い時期に食べる。大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され市場に出ている。広島県宮城県三重県産が有名。韓国からの輸入品も相当量ある。
イワガキ(岩牡蠣) Crassostrea nippona(Seki, 1934)
「夏ガキ」とも言われる。殻の色が茶色っぽく、マガキに比べて大きいものが流通する。天然物と養殖物の両方がある。
スミノエガキ(住之江牡蠣) Crassostrea ariakesis(Fujita, 1913)
有明海沿岸で食用にされるが、他所へはほとんど出回らない。マガキにごく近縁な種で、殻の表面はやや滑らか。

[編集] イタボガキ属 Ostrea

イタボガキ(板甫牡蠣) Ostrea denselamellosa(Lischke, 1869)
かつては多く食用にされ、能登半島淡路島周辺が有名な産地であったが、現在は瀬戸内海地方で僅かに市場に出回る程度で、絶滅危惧種状態。食用のみならず貝殻が最上質の胡粉の原料となる点でも重要であり、本種の復活と養殖技術開発の努力がなされている。
ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis(Linnaeus, 1758)
ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸く平たい貝。別名:ヨーロッパガキ。市場ではフランス牡蠣ブロンフラットなどとも呼ばれる。日本では宮城県唐桑町の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材としてフランス料理店などに卸される。
かつてのヨーロッパ、特にフランスでカキと言えば本種のことであったが、1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要をまかなうために日本産のマガキを輸入して養殖するようになった。それ以来フランスなどで流通するカキの相当部分は日本由来のマガキであるという。

[編集] アメリカで人気の日本原産の牡蠣

クマモト(熊本牡蠣)
1946年熊本県八代市鏡町からアメリカに輸出された牡蠣の子孫が現在アメリカ西海岸でクマモトの名で養殖されている。クマモトは小振りながら味が濃く、クリーミーとしてアメリカ市場で最も人気が高い高級牡蠣。

[編集] 利用

[編集] 食材

グリコーゲンのほか、必須アミノ酸をすべて含むタンパク質カルシウム亜鉛などのミネラル類をはじめ、さまざまな栄養素が多量に含まれるため、「海のミルク」とも呼ばれる[2]カキフライのような揚げものや、鍋物の具にして食べるほか、新鮮なものは網焼きにしたり生食したりする。

食用としての歴史は非常に長く、世界中で食され、最も人類が親しんできた貝の一つである。一般的に肉や魚介の生食を嫌う欧米食文化圏において、カキは例外的に生食文化が発達した食材であり、古代ローマ時代から珍重され、養殖も行われていた。生ガキはフランス料理における定番のオードブルとなっている。また、生ガキをメニューの中心に据える「オイスターバー」と呼ばれるレストランも存在する。ナポレオンバルザックビスマルクなどがカキの愛好家であったことが知られている[2]

日本では縄文時代ごろから食用されていたとされ、多くの貝塚から殻が発見されており、ハマグリに次いで多く食べられていたと考えられている[2]室町時代ごろには養殖も行われるようになったという。大坂では明治時代まで広島から来る「牡蠣船」が土佐堀、堂島、道頓堀などで船上での行商を行い、晩秋の風物詩となっていた。

かつては広島や東北などの産地から消費地まで輸送するのに時間がかかったため、日本ではカキの生食は産地以外では一般化せず、もっぱら酢締めや加熱調理で食された。日本人では武田信玄頼山陽などがカキの愛好家であったことが知られている[2]

日本人がカキを生で食べるようになったのは、欧米の食文化が流入した明治時代以降であり、生食文化が欧米から輸入された珍しい食材である。

[編集] カキと食中毒

古来より食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの食中毒が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。

ちなみに、現代の日本国内にて流通している生食用のカキは、生産・流通段階で対策がとられている。生食用のカキのための原料用のカキには加工基準が設けられ、カキそのものを対象として規格基準が設けられている。さらに、保存基準、表示基準も規定されている。具体的には、加工基準としては、食品衛生法により

  • 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの、または
  • それ以外の海域で採取されたものであって、大腸菌群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、又は殺菌しながら浄化したもの

であることが規定されている[3]。また、規格基準としては、細菌数E.coli(大腸菌)最確数、腸炎ビブリオ最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある [4]。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、紫外線殺菌された海水中や人工海水などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるとされている[5]

食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒細菌腸炎ビブリオ大腸菌)とウイルス(特にノロウイルス)がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、貝の摂餌行動などによって貝内部、消化器官(中腸腺など)に取り込まれ濃縮されるものである。

食中毒の予防のために留意すべきことは、

  • 貝毒以外は十分に加熱することで食中毒を回避できる
  • カキを含むいずれの二枚貝も、同様の処理で食用にする限り食中毒の危険度に関してはかわらない

という点である。

[編集] 貝毒

貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトンの毒を蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている(参照:マウスユニット)。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている[6]

[編集] 細菌

細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように十分な対策が取られている。むしろ、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境に放置することの方が危険である。

腸炎ビブリオ
20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。
これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるようような時期はやはり食中毒の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
大腸菌
一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射および殺菌海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
赤痢菌
日本国内産についてはまず問題になることはないが、2001年に韓国ではカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として産地偽装され流通されていることが発覚した。
ノロウイルス
2000年頃より特に注目されている。原因として、感染者の排泄物に含まれるウイルスを下水処理場では十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。2009年現在、ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより破壊されると考えられていることから、中心部まで十分に加熱することが重要とされるが、感染する機会は牡蠣の摂取だけではない。また、感染しても症状はおおむね軽症である。
厚生労働省保健所は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。
なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A[7]が用意されているので、こちらも参照されたい。
日本では報道により、「ノロウイルスと言えばカキ」という印象が広まり、特に2006年から2007年にかけてノロウイルス感染報道があるごとにカキの売上が減少した。

[編集] カキの食べられない月

産卵期にはカキは精巣卵巣が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されているマガキの場合は、グリコーゲン含量が増える秋〜冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわちMay, June, July, Augustの5678月は産卵期であり食用には適さないとされている[2]。ただし、春から夏に旬を迎えるイワガキと呼ばれる種類のカキもあり、それぞれ養殖も盛んであることからマガキに限らないならば通年食べることができる。

[編集] 料理

カキの殻の表面は剃刀の刃のように薄いものが重なっており、生食の際には軍手などの手袋を用いないと手のひらに無数の傷がつく。網焼きや生食では身だけでなく汁もともに吸う。多くの人はカキの身にのみ栄養があると考えているが、身が浸されている殻の中の海水を含む汁にも多くの栄養素が含まれていることが知られている。

生食
カキの殻を合わせ目からナイフ状のヘラを差し込み、貝柱を切断してこじ開け、身をつまみ出して食べる。生ガキとも呼ぶ。レモン汁食酢等を使った酸味のある調味ダレを添えることもある。
岩牡蠣の焼き牡蠣
網焼き(焼き牡蠣)
殻のままカキを網の上で焼き、殻が開いてから食べる。焼く際、平らな面をまず焼くことで、貝の汁を残しつつうまく開けることができる。
カキフライ
カツレツの手法によって、生のカキに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてからパン粉をつけて、油で揚げる。
カキの天ぷら
中国広東省などでは、厚めのをつけた天ぷらが好まれている。
牡蠣の土手鍋
土鍋の内側の周囲全体に味噌を厚く塗った中に、カキ、ネギやその他の具材を入れて加熱し、味噌が溶け出してから食べる。
カキご飯
カキの煮汁でご飯を炊き、炊き上がったところでカキを混ぜ数分ほど蒸らして作る。
カキ鍋
季節の具材とともに煮る鍋料理の一つ。
カキカレー
カレーライスの具にカキを使ったもので、広島県などで供されたり、レトルト食品として売られている。
カキオコ
お好み焼きの具にカキを使ったもので、岡山県の備前市日生地区が有名。
カキの燻製
缶詰や真空パックで流通している。
カキ入り卵焼き(蚵仔煎、オーアチエン)
台湾や中国福建省、広東省の一部で一般的な料理で、お好み焼きのように平たく焼いてから、甘い味のタレをかけて食べる。
カキ粥(台湾語:蚵仔粥、オーアティオッ)
台湾、広東省(特に汕頭市香港などで好まれる料理のひとつ。カキのむき身を米のに入れ、揚げたネギ、広東セロリコリアンダーなどを添えたもの。
カキスープ(台湾語:蚵仔湯、オーアトゥン)
台湾などではショウガの味を利かせたカキのすまし汁にも人気がある。

[編集] 調味料

カキ醤油
広島県厚岸町北海道)で水揚げされるカキの出汁を用いて醤油が製造される。
カキ油
カキ油(オイスターソース)は中華料理の重要な調味料。中国マカオのものが著名。
干しガキ
干しガキ(蠔豉蚝豉、ハオチー)は中国広東省で製造、使用されている調味用食材。カキのむき身を塩ゆでしてから日干しにしたもので、うま味を出すのに使われる。

[編集] 薬用

貝殻は牡蠣(ボレイ)といい、焼成してから粉砕した粉は『日本薬局方』に「ボレイ」および「ボレイ末」として記載の生薬である[8]。ボレイの歴史は古く陶弘景が『神農本草経』を修訂した『神農本草経集注』に収載されている。現在市販されているものはマガキの左殻が普通である。

「ボレイ末」は炭酸カルシウム(CaCO3)が主成分で、リン酸塩、他マグネシウム、アルミニウム、ケイ酸塩、酸化鉄などを含有する。

処方例として、安中散、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯などに使われる。また、農薬として、長期的に使用すると除草効果(雑草の根張りが悪くなる)があるとされる。

薬理作用として、かき肉には血糖低下(カキ身エキス)、免疫増強作用(中性多糖類)、牡蠣制酸などの作用があるとされる。

薬用以外には天然炭酸カルシウムとして、あるいは1000℃程度に焼成すると牡蠣灰などとも呼ばれる酸化カルシウム(CaO)が主成分のものとなるので、消しゴムの添加剤などの工業用や食品添加物砂糖精製用助剤などに利用することも行われている。

[編集] その他

養殖
海苔の養殖などにおいて、海苔の糸状体が蛎殻に付着することを利用し、採苗に貝殻が利用される場合もある。
海水の浄化
二枚貝は水中の懸濁態物質やプランクトンを取り込むため、カキを収穫することで、水中の栄養塩の回収につながる。特にカキは濾過量が他の2枚貝に比べて多い。米国チェサピーク湾では、オイスターガーデニングと呼ばれる水質浄化活動も行われている。カキの擬糞はゴカイなどの底生生物の餌となり、底生生物は魚類の餌となる。しかし、過剰なカキ養殖などにより底生生物による分解能力を超えて擬糞が発生すると、低層が貧酸素化し、底泥もヘドロ化することがある。
胡粉
日本画によく使われる白色の顔料。岩絵具の一つにも分類される。

[編集] 流通に係わる法制度

東京都では食品として安全に流通させるために、生食用かきを取り扱う場合、保健所長への届出を必要とさせている。届け出を行うと『生食用かき取扱い届済』ステッカーが交付される[9]

同時に、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌O157、ノロウイルス、貝毒等の項目の検査と履歴の保存を指導している。また、生食用カキが原因となる食中毒が発生した際に、速やかな調査と食中毒事故の拡大を防止する目的で、採取海域の表示を義務付けている。

[編集] 産地

日本の2009年における牡蠣水揚げ量は209200トン。内訳は広島県が105900トンでシェア約50%、宮城県が48100トンでシェア約23%、岡山県が18300トンでシェア約8%、以下岩手県兵庫県三重県北海道石川県福岡県長崎県香川県新潟県愛媛県京都府…と続いている。広島県は大規模業者が多いのに対し、宮城県は個人での生産が多く、牡蠣生産に携わる漁業関係者は宮城県が一番多い。また、同年の輸入量は14,892トンであり、輸入量の93%を韓国からのものが占めていた。

日本全国の主な産地は次の通り。これらの産地ではシーズンを迎えると、観光客向けの大規模なツアーやイベントを企画したりして、観光振興に一役買っている。

北海道(サロマ湖畔、厚岸町知内町
岩手県(山田湾大船渡湾
宮城県(牡鹿半島松島沿岸)
新潟県(加茂湖真野湾
石川県(能登半島
三重県(鳥羽市志摩市
京都府(久美浜湾
兵庫県(播磨灘沿岸)
岡山県(備前市日生諸島瀬戸内市虫明湾浅口市寄島町
広島県(広島湾一帯)
香川県(高松市牟礼町さぬき市
愛媛県(宇和島市
福岡県(糸島半島
長崎県(九十九島有明海大村湾

北海道厚岸町のシングルシード(蛎殻を砕いたものに各一匹の幼生を付着させて育てたもの)のカキ「カキえもん」、三重県の「的矢かき」・「浦村かき」、広島県の3倍体のカキ「カキ小町」、北海道寿都町の「寿(ことぶき)カキ」など、各産地ごとにブランド化した牡蠣を売り出すなど、新しい動きもみられる。特に三重県の的矢かきは生食かき養殖技術発祥の牡蠣である[10]

香港郊外の流浮山は牡蠣の焼き物などの料理が有名な養殖地であったが、近くのの工業化によって、海水の汚染が酷くなり、衰退している。

[編集] 言語

[編集] 語源

古来からの和名は「おかきのかい」あるいは「かき」であり、密集している貝を掻き取ることが語源と考えられている[11]

[編集] 派生義

  • 英語のoysterは寡黙さの代名詞[2]
  • 広東語で「蠔豉 / 蚝豉」(干しガキ)は「ホウシー(拼音: háoshì )」といい、「好市」(拼音: hǎoshì 、良い市況)と似た発音なので、旧正月に好んで食べられる。

[編集] 日本語のアクセント

植物のカキ(柿)とは同音だが、共通語ではアクセントの位置が異なる。カキ(貝)の場合はキであり、これは「夏季」「夏期」「下記」「火気」「花器」「火器」「花卉」等の熟語などとも同じ。他方、カキ(柿)はカである(それぞれ太字にアクセント)。

[編集] 漢字

「蠣」だけで牡蠣の意味を表す。しかし実際には「牡」の文字も用いて「牡蠣」と表記する。これは一般に貝は雌雄で色の異なる部分[12]があり、白い物が雄と考えられていたのに対し、牡蠣は全身が白い[13]ことから「牡しかいない貝」と誤解されたことに由来する。

実際に牡蠣の生殖巣においては精巣と卵巣が入り混じっていることもあり、その区別は肉眼では不可能で、顕微鏡を使用しなければならない。

中国語では「牡蠣」(ムーリー、拼音: mǔ lì [14])も使われるが、専門用語的であり、口語では「」、簡体字で「」(ハオ、拼音: háo )が用いられる。

閩南語台湾語では「オーアー、台湾語仮名 オヲTaiwanese kana normal tone 5.pngアアTaiwanese kana normal tone 2.png」と別の語が使われる。中国では「蚝仔蠔仔拼音: háozǐ )」と表記し、台湾では同音の旁を使った「蚵仔拼音: hézǐ )」という漢字表記が作成された。

[編集]

カキの身のような色として、生牡蠣色がある。

[編集] 脚注

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  1. ^ 驚き○○で カキフライ”. 所さんの目がテン!. 日本テレビ放送網 (2004年11月7日). 2008年12月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 林輝明「薬になる動植物:第37回:牡蛎」、『漢方医薬新聞』第465号2009年11月25日、 p.p.3。
  3. ^ http://www.pref.hiroshima.lg.jp/page/1291003977219/index.html
  4. ^ 三重県について、http://www.pref.mie.lg.jp/NHOKEN/kaki/riyuu.htm
  5. ^ 食品表示のおいしい読み方:/11 カキの「生食用」は新鮮なわけじゃない!? - 毎日jp(毎日新聞)
  6. ^ 高田久美代、高辻英之、妹尾正登「麻痺性貝毒により毒化したマガキのろ過海水中での蓄養による減毒」、『日本水産学会誌』第74巻第1号、公益社団法人日本水産学会、2008年1月15日、 78-80頁、 doi:10.2331/suisan.74.78NAID 110006595212
  7. ^ ノロウイルスに関するQ&A”. 食中毒に関する情報. 厚生労働省 (2007年12月20日). 2008年12月30日閲覧。
  8. ^ 厚生労働省 『第十五改正日本薬局方』(PDF) 厚生労働省、2006年3月31日、p.p.1271-1272。2009年12月16日閲覧。
  9. ^ 生かきの取扱いと届出制度”. 百貝万魚 東京市場の水産物安全情報. 東京都市場衛生検査所. 2008年12月30日閲覧。
  10. ^ 的矢かき”. 三重ブランド. 三重県. 2008年12月30日閲覧。
  11. ^ 小曽戸洋「『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源」、『生薬学雑誌』第61巻第2号、2007年、 p.p.76、 ISSN 00374377NAID 40015616633
  12. ^ サザエであれば「ふんどし」と呼ばれる部分が相当する
  13. ^ 緑色をした牡蠣もあるがこれは餌の違いによるもので、あまり一般的ではない
  14. ^ 宮原桂 『漢方ポケット図鑑』 源草社、2008年、p.p.194。ISBN 4-906668-62-5

[編集] 参考画像

[編集] 外部リンク

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