お家騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
お家騒動(おいえそうどう)とは江戸時代の大名家における内紛のことである。現代では企業や家といった組織における抗争をそうしたお家騒動になぞらえることもある。
目次 |
[編集] 概要
江戸時代の大名家では、藩主やその一族、家老などの一団の領袖となりうる立場の人間が派閥を作りあげて内紛を繰り広げた例が数多くあった。そのような事象が脚色されて、狂言の御家物と呼ばれる様式の題材となって伝わったり、講談を通じて広まったことにより、お家騒動として江戸の庶民に知られるようになる。そのために演目とすることがはばかられた将軍家や、内訌の規模が小さい江戸幕府の旗本や商家、農家におけるもめごとはお家騒動とは認知されていなかった。
抗争の原因として最も多いのは家臣間の対立である。古参ともいうべき譜代の家臣と新参の家臣や出頭人との対立、藩政改革にともなう守旧派と改革派の対立、幕末期における信条の対立など、家臣間には主導権や藩政の方向性をめぐってあらゆる派閥抗争の動機があった。
また、藩主と家臣団の軋轢を要因としてお家騒動を起こした例もあった。有力な家臣を排除することで自身の権力を強化しようする藩主がいる一方で、家臣にとって不利益だったり、無能な主君を隠居や押込などの手段で廃立しようとする家臣も存在した。また、諍いが原因で大名家を出奔した家臣がお家騒動の発端をつくった例もある。
その他では家督相続や養子縁組が事由の抗争も発生した。加賀騒動、黒田騒動、伊達騒動の三大お家騒動などではこれらの原因がいくつも複合していた。
こうした内紛は大名家のなかで解決するのがならわしだが、問題を幕府や本家、親族の大名に訴え出ることで仲介や裁定をたのんだ当事者もいた。特に江戸時代初期の騒動では、求めに応じた幕府が審理にもとづいて大名家に介入し、改易や減封、転封などの処置を下している。しかし、江戸中期の徳川家宣の治世を経て、幕府は政策を改めて関与を徐々に減らし、19世紀はじめの仙石騒動を最後に、お家騒動への介入は行っていない。
[編集] 主なお家騒動
- 1608年(慶長13年):筒井騒動(筒井氏 - 伊賀上野藩)
- 1613年(慶長18年):大久保長安事件(大久保氏)
- 1617年(元和3年):最上騒動(最上氏 - 山形藩)
- 1618年(元和4年):牛方馬方騒動(加藤氏 - 熊本藩)
- 1626年(寛永3年):柳川一件(宗氏 - 対馬藩)
- 1633年(寛永10年):黒田騒動(黒田氏 - 福岡藩)
- 1634年(寛永11年):船橋騒動(津軽氏 - 弘前藩)
- 1635年(寛永12年):津和野騒動(塩治騒動、亀井氏 - 津和野藩)
- 1639年(寛永16年):会津騒動(加藤氏 - 会津藩)
- 1640年(寛永17年):生駒騒動(生駒氏 - 高松藩)
- 1640年(寛永17年):池田騒動(池田氏 - 山崎藩)
- 1640年(寛永17年):お下の乱(相良氏 - 人吉藩)
- 1648年(慶安元年):丹波福知山騒動(稲葉氏 - 福知山藩)
- 1648年(慶安元年):古田騒動(古田氏 - 浜田藩)
- 1648年(慶安元年):喜連川騒動(喜連川氏 - 喜連川藩)
- 1660年(万治3年):伊達騒動(綱宗隠居事件、伊達氏 - 仙台藩)
- 1665年(寛文5年):伊達騒動(寛文事件、伊達氏 - 仙台藩)
- 1679年(延宝7年):越後騒動(高田騒動、松平氏 - 高田藩)
- 1697年(元禄10年):伊達騒動(綱村隠居事件、伊達氏 - 仙台藩)
- 1710年(宝永7年):野村騒動(久松松平氏 - 桑名藩)
- 1748年(寛延元年):加賀騒動(前田氏 - 加賀藩)
- 1751年(宝暦元年):水野騒動(水野氏 - 岡崎藩)
- 1753年(宝暦3年):安藤騒動(安藤氏 - 加納藩)
- 1759年(宝暦9年):竹鉄砲事件(相良氏 - 人吉藩)
- 1808年(文化5年):近思録崩れ(文化朋党事件 / 秩父崩れ、島津氏 - 薩摩藩)
- 1824年(文政7年):仙石騒動(仙石氏 - 出石藩)
- 1849年(嘉永2年):お由羅騒動(嘉永朋党崩れ / 高崎崩れ、島津氏 - 薩摩藩)
[編集] 江戸時代以前のお家騒動
[編集] 現代のお家騒動
- 産経新聞・鹿内家
- 読売ジャイアンツ
- 阪神タイガース
- 第一勧業銀行
- エイベックス
- エニックス・マッグガーデン
- イエローキャブ・サンズエンタテインメント
- 全日本プロレス・プロレスリング・ノア
- 角川書店・メディアワークス
- キミジマ
- キタムラ・キタムラK2
- 一澤帆布工業・一澤信三郎帆布
- 吉本興業
- プレナス(ほっともっと)・ハークスレイ(ほっかほっか亭)
[編集] 参考文献
- 『別冊歴史読本 御家騒動読本』宮崎美友編、 新人物往来社、1991年、446-459頁。
- 福田千鶴 『御家騒動』 中央公論新社 (中公新書)、2005年。

