ウナギ
| ウナギ | |||||||||||||||||||||||||||
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ヨーロッパ産 Anguilla anguilla
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| 保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||
| 情報不足(DD)(環境省レッドリスト) | |||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Anguilla japonica Temminck & Schlegel, 1847 |
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| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Japanese eel |
| 100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
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| エネルギー | 770 kJ (180 kcal) |
| 炭水化物 | 0 g |
| - 糖分 | 0 g |
| - 食物繊維 | 0 g |
| 脂肪 | 11.66 g |
| - 飽和脂肪酸 | 2.358 g |
| - 一価不飽和脂肪酸 | 7.19 g |
| - 多価不飽和脂肪酸 | 0.947 g |
| タンパク質 | 18.44 g |
| - トリプトファン | 0.207 g |
| - トレオニン | 0.809 g |
| - イソロイシン | 0.85 g |
| - ロイシン | 1.499 g |
| - リシン | 1.694 g |
| - メチオニン | 0.546 g |
| - シスチン | 0.198 g |
| - フェニルアラニン | 0.72 g |
| - チロシン | 0.623 g |
| - バリン | 0.95 g |
| - アルギニン | 1.104 g |
| - ヒスチジン | 0.543 g |
| - アラニン | 1.115 g |
| - アスパラギン酸 | 1.889 g |
| - グルタミン酸 | 2.753 g |
| - グリシン | 0.885 g |
| - プロリン | 0.652 g |
| - セリン | 0.753 g |
| 水分 | 68.26 g |
| ビタミンA相当量 | 1043 μg (116%) |
| - βカロテン | 0 μg (0%) |
| - ルテインおよびゼアキサンチン | 0 μg |
| ビタミンB1 | 0.15 mg (12%) |
| ビタミンB2 | 0.04 mg (3%) |
| ビタミンB3 | 3.5 mg (23%) |
| パントテン酸(ビタミンB5) | 0.24 mg (5%) |
| ビタミンB6 | 0.067 mg (5%) |
| 葉酸(ビタミンB9) | 15 μg (4%) |
| コリン | 65 mg (13%) |
| ビタミンB12 | 3 μg (125%) |
| ビタミンC | 1.8 mg (2%) |
| ビタミンD | 932 IU (233%) |
| ビタミンE | 4 mg (27%) |
| ビタミンK | 0 μg (0%) |
| カルシウム | 20 mg (2%) |
| 鉄分 | 0.5 mg (4%) |
| マグネシウム | 20 mg (5%) |
| マンガン | 0.035 mg (2%) |
| セレン | 6.5 μg (9%) |
| リン | 216 mg (31%) |
| カリウム | 272 mg (6%) |
| 塩分 | 51 mg (2%) |
| 亜鉛 | 1.62 mg (17%) |
| %はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース(英語) |
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ウナギ(鰻、うなぎ)は、ウナギ目ウナギ科 Anguillidae に属する魚の総称。その内の一種 Anguilla japonica (英名:Japanese eel)を指し、これをウナギ属 Anguilla に属する他の魚と区別してニホンウナギと呼ぶこともある。
蒲焼や鰻丼などの調理方法が考案され、古くから日本の食文化に深い関わりを持つ魚である。しかし川と海を行き来(回遊)し、ある程度地上を這って移動するなど、その生態は意外と知られていない。また研究者の間でも、近年まで産卵場すら正確には把握されていなかった。詳しい生態に関しては、まだ謎の部分が多い。
目次 |
[編集] 形態
成魚は全長1m、最大で1.3mほどになる。細長い体形で、体の断面は円形である。眼は丸く、口は大きい。体表は粘膜に覆われぬるぬるしているが、皮下に小さな鱗を持つ。腹鰭はなく、背鰭、尾鰭、臀鰭がつながって体の後半部に位置している。体色は背中側が黒く、腹側は白いが、野生個体には背中側が青緑色や灰褐色、腹側が黄色の個体もいる。また、産卵のため海に下った成魚は背中側が黒色、腹側が銀白色になる婚姻色を生じ、胸鰭が大きくなる。
[編集] 分布・生態
日本全国に分布するが、日本以外にも朝鮮半島からベトナムまで東アジアに広く分布する。成魚が生息するのは川の中流から下流、河口、湖などだが、内湾にも生息している。
えらの他に皮膚でも呼吸できるため、体と周囲が濡れてさえいれば陸上でも生きられる。雨の日には生息域を抜け出て他の離れた水場へ移動することもあり、路上に出現して人々を驚かせることもある。濡れていれば切り立った絶壁でも体をくねらせて這い登るため、「うなぎのぼり」という比喩の語源となっている。
細長い体を隠すことができる砂の中や岩の割れ目などを好み、日中はそこに潜んでじっとしている。夜行性で、夜になると餌を求めて活発に動き出し、甲殻類や水生昆虫、カエル、小魚などいろいろな小動物を捕食する。
泳ぎはさほど上手くなく、遊泳速度は遅い。他の魚と異なり、ヘビのように体を横にくねらせて波打たせることで推進力を得る。このような遊泳方法は蛇行型と呼ばれ、ウツボやハモ、アナゴなどウナギと似た体型の魚に見られる。
[編集] 生活史
ウナギは淡水魚として知られているが、海で産卵・孵化を行い、淡水にさかのぼってくる「降河回遊(こうかかいゆう)」という生活形態をとる。
従来、ウナギの産卵場所はフィリピン海溝付近の海域とされたが、外洋域の深海ということもあり長年にわたる謎であった。しかし、2006年2月、東京大学海洋研究所の教授・塚本勝巳をはじめとする研究チームが、ニホンウナギの産卵場所がグアム島やマリアナ諸島の西側沖のマリアナ海嶺のスルガ海山付近であることを、ほぼ突き止めた。これは孵化後2日目の仔魚を多数採集することに成功し、その遺伝子を調べニホンウナギであることが確認されている[1]。冬に産卵するという従来の説は誤りとされ、現在は6-7月の新月の日に一斉に産卵するという説が有力である。
2008年6月および8月には、水産庁と水産総合研究センターによる調査チームが、同じくマリアナ諸島沖の水深200-350メートルの範囲で、成熟したニホンウナギおよびオオウナギの捕獲に世界で初めて成功した。雄には成熟した精巣が、雌には産卵後と推定される収縮した卵巣が認められた。また、水深100-150メートルの範囲で、孵化後2-3日経過したと思われる仔魚(プレレプトケファルス)26匹も採集された。さらに、プレレプトケファルスが生息する層の水温が、摂氏26.5-28度であることを初めて確認した。この結果から、比較的浅いスルガ海山の山頂付近ではなく、もう少し深い中層を遊泳しながら産卵をしているという推定を得ることができた[2]。
この推定を基に、塚本らの研究チームが周辺海域をさらに調査したところ、2009年5月22日未明、マリアナ海嶺の南端近くの水深約160メートル、水温が摂氏約26度の海域で、直径約1.6ミリメートルの受精卵とみられるものを発見。遺伝子解析の結果、天然卵31個を確認した。天然卵の採集は世界初である。同時に、卵は水深約200メートルで産まれ、約30時間かけてこの深さまで上がりながら孵化することも判明した[3]。 さらに同チームでは、2011年6月29日学術研究船白鳳丸に搭載したプランクトンネットを用いて、産卵直後から2日程度経過した147個の受精卵の採取に成功した。新月の2-4日程度前の日没から23時の間、水深150-180メートルで産卵されたと推定される。
卵から2-3日で孵化した仔魚はレプトケファルス(葉形幼生、Leptocephalus)と呼ばれ、成魚とは異なり柳の葉のような形をしている。この体型はまだ遊泳力のない仔魚が、海流に乗って移動するための浮遊適応であると考えられている。レプトケファルスは成長して稚魚になる段階で変態を行い、扁平な体から円筒形の体へと形を変え「シラスウナギ」となる。シラスウナギは体型こそ成魚に近くなっているが体はほぼ透明で、全長もまだ5センチほどしかない。
シラスウナギは黒潮に乗って生息域の東南アジア沿岸にたどり着き、川をさかのぼる。流れの激しいところは川岸に上陸し、水際を這ってさかのぼる。川で小動物を捕食して成長し、5年から十数年ほどかけて成熟する。その後ウナギは川を下り、産卵場へと向かうが、その経路に関してはまだよく分かっていない。海に注ぐ河口付近に棲息するものは、淡水・汽水・海水に常時適応できるため、自由に行き来して生活するが、琵琶湖や猪苗代湖等の大型湖沼では、産卵期に降海するまで棲息湖沼と周辺の河川の淡水域のみで生活することが多い。また、近年の琵琶湖等、いくつかの湖沼では外洋へ注ぐ河川に堰が造られたり、大規模な河川改修によって外洋とを往来できなくなり、湖内のウナギが激減したため、稚魚の放流が行われている。
[編集] 分類
ウナギ科 Anguillidae はウナギ属 Anguilla のみからなり、世界中の熱帯から温帯にかけて18種(内3亜種)が生息する。
- ウナギ Anguilla japonica
- オオウナギ Anguilla marmorata
- 暖流に面した本州・四国・九州に分布しており、南西諸島ではウナギよりも多い。日本以外にも太平洋、インド洋熱帯域に広く分布する。
- ヨーロッパウナギ Anguilla anguilla
- 大西洋、ヨーロッパに分布。
- アメリカウナギ Anguilla rostrata
- 北アメリカ大陸の大西洋岸に分布。
以下の魚は名前の通り、外見は細長い体型をしていてウナギに似ているが、別の仲間に分類される。
- フウセンウナギ
- フウセンウナギ目という分類で、ウナギ目と比較的近い。
- デンキウナギ
- デンキウナギ目という分類で、ウナギよりもナマズやカラシンに近縁である。
- タウナギ
- タウナギ目に分類される。
- ヤツメウナギ、ヌタウナギ
- ウナギの名はつけれられているがウナギとは関係なく、硬骨魚類ではなく原始的な無顎魚類に分類される。
[編集] 名称
属名 anguilla はラテン語でウナギの意。
日本では奈良時代の『万葉集』に「武奈伎(むなぎ)」として見えるのが初出で、これがウナギの古称である。院政期頃になって「ウナギ」という語形が登場し、その後定着した。そもそものムナギの語源には
- 家屋の「棟木(むなぎ)」のように丸くて細長いから
- 胸が黄色い「胸黄(むなぎ)」から
- 料理の際に胸を開く「むなびらき」から
など、いくつかの説があるが、いずれも民間語源の域を出ない。前二者については、「武奈伎」の「伎」が上代特殊仮名遣ではキ甲類の仮名であるのに対して、「木」「黄」はキ乙類なので一致しないという問題があるし、「ムナビラキ」説については「大半の魚は胸側を開くのになぜ?」という特筆性の問題がある上、ムナビラキ→ムナギのような転訛(または省略)は通常では起こり難い変化だからである。この他に、「ナギ」の部分に着目して
- 「ナギ」は「ナガ(長)」に通じ「ム(身)ナギ(長)」の意である
- 「ナギ」は蛇類の総称であり、蛇・虹の意の沖縄方言ナギ・ノーガと同源の語である → 参考: 天叢雲剣#「蛇の剣」
- 「nag-」は「水中の細長い生き物(長魚<ながうお>)」を意味する。この語根はアナゴやイカナゴ(水中で巨大な(往々にして細長い)魚群を作る)にも含まれている
などとする説もある。いずれにしても、定説と呼べるものは存在しない。
なお、近畿地方ではウナギのことを「マムシ」と呼ぶが、これはニホンマムシとは関係なく鰻飯(まんめし)が『まむし』と訛り、それが材料のウナギに転用されたものである[要出典]。他に、関西での調理法(正確には浜名湖・諏訪湖以西)の特色である、蒸さずに蒲焼にして、飯の上に乗せた上に更に飯を乗せて蒸らす「飯蒸し」(ままむし)から来たという説、同じく料理法から飯と飯の間で蒸すという意味で「間蒸し」とする説、飯の上にウナギやたれをまぶすものとして「まぶし」が転じたとの説もある。
「薬缶」と題する江戸小咄では、「鵜が飲み込むのに難儀したから鵜難儀、うなんぎ、うなぎ」といった地口が語られている。
[編集] 漁業におけるウナギ
[編集] 漁法
日本ではウナギは重要な食用魚の一つで、年間11万トンものウナギが消費されている。20世紀後半頃には養殖技術が確立され、輸入も行われるようになったとはいえ、野生のウナギ(天然もの)の人気は根強く、釣りや延縄などで漁獲されている。 さらにウナギに的を絞った伝統漁法も各地にある。
- うなぎ掻き
- 棒の先に鉤をつけたものを巧みに操り、ウナギを引っ掛ける
- うなぎ塚
- ウナギの生息域に石を積み上げておき、石の隙間に潜んだウナギを捕る
- うなぎ筒
- 竹筒などをウナギの生息域に仕掛けておき、ウナギが筒の中で休んでいる時に筒を引き揚げて捕る
遊漁としての釣りにおいてはミミズ等を餌にした釣り方が一般的。ウナギは匂いで餌を探すので疑似餌では釣れない。時合いは日没から一時間まで。餌釣りでの方法としては、ブッコミ釣り(鯉などのブッコミ仕掛けの変形、一本針が基本)、置き釣り(ウナギが通りそうな場所に針と糸が付いた竹杭を刺してしばらく置く)、穴釣り(昼間ウナギがいそうな穴に小魚等をつけるための先端にまっすぐな針をつけた竹の棒と、針と糸を持ち、直接入れて釣る)等があり、特に置き釣りと穴釣りはウナギ以外には見られない釣り方である。ただ、簡単に釣れる魚ではない。
[編集] 陸揚げ漁港
[編集] 養殖
日本のウナギ養殖(養鰻)は、1879年(明治12年)に東京深川で試みられたが、太平洋戦争によって一時衰退する。後に養鰻の中心地は浜名湖周辺へ移った。1891年(明治24年)に、原田仙右エ門という人物が7ヘクタールの池を造り、日本で初めて人工池での養鰻を試みたのが、浜名湖の養殖ウナギのルーツである。温暖な気候や地下水などウナギの生育に適した環境に加え、浜名湖や天竜川河口でシラスウナギが多く獲れたことが、この地で養鰻業が盛んになった理由とされている。現在、国内での都道府県別の養殖ウナギ収穫量は鹿児島県が最も多く、次いで愛知県、宮崎県、静岡県、高知県の順となっている。日本全体の活鰻は2005年度で約2万トン養殖されている。
輸入品は台湾が20年以上の歴史を持っているが、現在はヨーロッパウナギのシラスウナギを中国に輸入し養殖したウナギが主流である。台湾の活鰻は2005年度で約2万トン、中国は約5万トンと言われる。種類は、日本と台湾ではニホンウナギ Anguilla japonica のみで、中国ではニホンウナギ Anguilla japonica とヨーロッパウナギ Anguilla anguilla が8 : 2くらいである。門司税関博多税関支署によると土用の丑の日がある7月が、年間を通して輸入量はピークになる。2005年は6月の輸入量に比べて、7月は2倍近くの139トンに増加していた。2006年は検査の強化や中国側が輸出を控えているため、台湾産が増えている。
ウナギの養殖はまず、天然のシラスウナギを捕ることから始まる。黒潮に乗って日本沿岸にたどり着いたウナギの子供、シラスウナギを大量に漁獲してこれを育てるのである。養殖方法は、台湾と中国南部の広東省では池を掘っただけの露地養殖、日本と中国の福建省ではビニールハウスを利用した養殖が主流である。ハウス養殖は、ボイラーを焚いて水温を約30℃に保っており、成長を早めることができる。
なお、ウナギの人工孵化は1973年に北海道大学において初めて成功し、2003年には三重県の水産総合研究センター養殖研究所が完全養殖に世界で初めて成功したと発表した。しかし人工孵化と孵化直後養殖技術はいまだ莫大な費用がかかり、成功率も低いため研究中で、養殖種苗となるシラスウナギを海岸で捕獲し、成魚になるまで養殖する方法しか商業的には実現していない。自然界における個体数の減少、稚魚の減少にも直接つながっており、養殖産業自身も打撃を受けつつある。そうした中での2010年、水産総合研究センターが人工孵化したウナギを親ウナギに成長させ、さらに次の世代の稚魚を誕生させるという「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表。25万個余りの卵が生まれ、このうち75%が孵化したと報じており、先に述べた稚魚の漁獲高減少もあって、期待を集めている。
また、養殖ウナギと天然ウナギの見分け方は胴回りの太さと腹の部分の色で見分けられる。一般的に天然ウナギの方が養殖ウナギよりも胴回りが太く、腹の色が黄色がかっている。
[編集] 輸出規制問題
2007年、EUがヨーロッパウナギの絶滅が危惧されシラスウナギの輸出を規制する方針を発表し、ワシントン条約締約国会議でEU案が可決、規制が確定した。これにより中国経由の輸出規制が始まる。また、台湾も日本への過大な輸出に対して現地の養殖業者などが輸出規制を要望している。日本側も国産シラスウナギで成り立っている業者と輸入物に頼る業者の対立があり、一致した意見表明ができない状況になっている。その為、全般的にウナギ価格の高騰は避けられないとされる。
[編集] 食材としてのウナギ
ウナギは高タンパクで消化も良く、日本料理の食材としても重要で、鰻屋と呼ばれるウナギ料理の専門店も多い。皮に生息地の水の臭いやエサの臭いが残っているため、天然、養殖を問わずきれいな水に1日~2日入れて、臭みを抜いたものを料理する。泥抜き・臭み抜きと呼ばれる。 夏バテを防ぐためにウナギを食べる習慣は、日本では大変古く、『万葉集』にまでその痕跡をさかのぼる。以下の歌は大伴家持による(括弧内は国歌大観番号)。「むなぎ」はウナギの古形。
痩人(やせひと)をあざける歌二首
石麻呂に吾(あれ)もの申す夏やせによしといふ物そむなぎ取り食せ(めせ)(3853)
痩す痩すも生けらば在らむをはたやはたむなぎを捕ると川に流るな(3854)
徳川家康の時代に江戸を開発した際、干拓によって多くの泥炭湿地が出来、そこに鰻が住み着くようになったため鰻は労働者の食べ物となったが、当時は蒲焼の文字通り、蒲の穂のようにぶつ切りにした鰻を串に刺して焼いただけ、という食べ方で、雑魚扱いだった。鰻が現在のような形で一般に食べられるようになったのは江戸時代後期からで、特に蒲焼は江戸発祥の料理であることから、江戸の代表的食物とされる。蕎麦ほど徹底した美学はないものの、「鰻屋でせかすのは野暮」(注文があってから一つひとつ裂いて焼くために時間がかかる)、「蒲焼が出てくるまでは新香で酒を飲む」(白焼きなどを取って間をつなぐのは邪道。したがって鰻屋は新香に気を遣うものとされた)など、江戸っ子にとっては一家言ある食べ物である。
なおウナギの血液にはイクシオトキシンという毒が含まれるため、生で食べることはできない。ただし熱を加えると変性し毒性が消えるので、加熱調理した分には危険はない。生でも血液を完全に抜いて酢でしめれば刺身で食べることもできる。
ちなみに土用の丑の日や夏バテ予防に食べられるが、ウナギの旬は冬眠に備えて身に養分を貯える晩秋から初冬にかけての時期で、秋から春に比べても夏のものは味が落ちる。
また古くから、鰻と梅干は食い合わせが悪いとされる。これは食禁の代表的な例として挙げられることが多いが、貝原益軒の『養生訓』にも記載がなく、江戸時代中期以降に広まった日本固有の俗信と考えられる。医科学的な根拠は(少なくとも現時点では)見出せない。
[編集] ウナギを使った料理
ウナギを食材とする料理には次のようなものがある。
- 白焼
- たれをつけずに炭火で焼く。ワサビ、大根おろしまたはショウガ醤油などをつけて食べる。
- 鰻飯
- 御飯の上に蒲焼を乗せたもの。用いる食器によって鰻丼と鰻重に分けられる。食べる前にタレをかけ、山椒の粉を振りかけるのが一般的である。
- 蒲焼
- 日本で最も一般的な料理法。開いて頭と骨を取り去った身に串を打ち、東西共通して甘辛いタレをつけて焼く。東西の作り方で最も違う点は蒸しの工程が入るか如何か。関西では直焼きすることで程好い歯応えが楽しめ、関東では蒸してから焼くことで、ふっくらとした食感が楽しめる。開き方の違いとしては関西は腹開きで関東は背開きになる。開き方の東西の境界線は天竜川から浜名湖にかけての地域にあるとされている。町人の町の大坂では、腹開きは「腹を割って話す」と言う意味を持ち、武士の町の江戸では、腹開きは「切腹」を連想させるので背開きになったと言われる。実際は腹開きにすると、蒸す過程で「身が崩れるから」と言う説が有力。九州では背開きで蒸さずに深めに焼くものが主流。当初は筒切りにしたウナギに縦に串を打ち、焼いたものに山椒味噌などを塗って屋台などで供されていた。その形が「蒲の穂」に似ていたことから蒲焼の名がついた。油が強い為、労働者などには喜ばれたが下賎な食べ物と看做されていた。一般に広まったのは、開いて焼いたり蒸したりして油を落とすようになってからである。開いて串にさす調理法は元々筏焼きと呼ばれ、従来の蒲焼と区別していたが、筏焼きが好評を博すにつれ従来の蒲焼は急速に廃れ、専ら筏焼きのみが作られるようになるとそれも蒲焼と称されるようになった。日本で土用の丑の日に、ウナギの蒲焼を食べる習慣が始まったのは、一説によれば江戸時代末期。蘭学者の平賀源内に相談したウナギ店から頼まれ、「本日、土用丑の日」と言う広告を考案したことがきっかけで、それ以来、江戸で起こった流行が全国に広まったとされているが、そもそもウナギの蒲焼が何処で生まれ、現在のような形状で食べられるようになったかは定かではない。近年では寒の土用の丑の日も広まりつつある。
- 肝吸い
- 胃を中心とした内臓部分を吸い物にする。
- 肝焼き
- 数匹分の胃などを串に刺してたれに浸け焼く。
- レバー
- 本来「肝」と呼ばれるべき肝臓。串焼きで供されることが多い。
- ひれ巻
- 背びれの部分を串に巻いて焼いたもの。
- かぶと焼き
- 数匹分のウナギの頭部を串に刺してたれに浸け焼く。
- ウナギの握り
- ウナギの握り寿司。
- フライ
- ウナギを一般的な白身魚のようにフライにし、胡椒のソースなどをかけて食べる。日本ではあまり見られないが、ヨーロッパなどで供される。
- 半助(はんすけ)
- ウナギの頭部のことで、つまみにしたり豆腐と一緒に煮込んだりする(半助豆腐)。
- 鰻の飯蒸し(うなぎのいいむし)
- 味付けした鰻と餅米を竹の皮で包んだもの。主に蒸してから食べる。
- うざく
- 焼いたウナギの切り身とキュウリ、ミョウガなどを使った酢の物。
- う巻き
- 鰻巻き。ウナギの白焼きまたは蒲焼を芯にして巻いた卵焼きのこと。溶き卵に出汁を入れ、出汁巻き卵を作る要領でウナギを巻く。小口切りにして切り口が見えるように器に盛り、木の芽などを添えて供する。「う巻き卵」とも。稀に「ウナギのゴボウ巻き」(京都料理の八幡巻)をう巻きと呼ぶこともある。
- うなぎボーン
- ウナギの骨を揚げた菓子。
- うなぎパイ(郷土菓子:静岡県)
- 日本でうなぎパイと言えば、浜松市の春華堂の「ウナギパウダー」入りの菓子パイが有名であり、そちらを指す場合が多い。
- うなぎパイ(eel pie、イギリス南部の郷土料理)
- イギリスの伝統料理。パイ生地にぶつ切りにしたウナギを入れて焼き上げた物。これにマッシュポテトを添え、リカーと呼ばれる緑色のソースをかけ回した一皿であるパイ・アンド・マッシュが、フィッシュ・アンド・チップスと並ぶロンドン庶民の味として親しまれてきたが、テムズ川産ウナギが希少化し、より安価な牛肉を用いたミート・パイで代用されるようになっている。
- ウナギのゼリー寄せ(郷土料理:イギリスの主にロンドン・イーストエンド)
- 現地ではjellied eelsと表記される。ぶつ切りにしたウナギをスープストックで煮込み、ゼラチンで冷やし固めた料理。チリビネガーをかけて食べるのが一般的である。イタリアではチリビネガーの代わりにバルサミコ酢を使用する。
- せいろ蒸し(郷土料理:九州北部の主に福岡県柳川地方)
- 当地では有名な鰻飯で、コンビニやデパート地下の食品売り場でも見かける。柳川の城主が冷えた鰻重を暖め直す方法として始めた、とされる。ウナギの蒲焼きと、タレを混ぜ込んだご飯を蒸篭で一緒に蒸すことで、ウナギやタレのうまみが芯まで染み込み、独特の香ばしさと風味を引き出す。通常は錦糸卵を乗せ、店によってはご飯の間にも蒲焼きを挟んでいることがある。
- ひつまぶし(郷土料理:中部地方の主に愛知県)
- ルーツは大阪や三重など各種の説があるが、愛知名物として有名なウナギ飯の一種。ウナギの蒲焼を5ミリ~8ミリ幅に細切りにしたものをおひつのご飯の上に載せて供される。食べ方は
- 一杯目は、おひつのご飯とウナギを混ぜ、茶碗によそって食べる。
- 二杯目は、わけぎと海苔の薬味を入れて食べる。
- 三杯目は、出汁とワサビでウナ茶漬けで食べる。この食べ方では、ウナギは蒸していない関西風を使う。四分割しておいて最後に自分の一番好きな方法で食べることを推奨する店もある。
ウナギは中国の広東料理、福建料理、上海料理などでも使われ、韓国でも食べる。ヨーロッパウナギやアメリカウナギなどの他のウナギもイタリア、スペイン、フランスなど南欧を中心に、主に煮凝り料理として各地で食用にされている。スペインには高価なウナギの稚魚の代わりに、すり身で作ったウナギの稚魚もどきまで販売されている。
一方、ユダヤやイスラームでは「鱗の無い魚は食べてはいけない」という戒律から、近年まで鱗が目立たない鰻を食べることはタブーとされていた。
[編集] 輸入ウナギの安全性問題
2003年に台湾産鰻から合成抗菌剤スルファジミジンが検出され残留農薬に関する調査が厳重化され始める。2005年にはらでぃっしゅぼーやが台湾産を国産と偽って販売し、しかもその蒲焼から合成抗菌剤エンロフロキサシンが検出された。
2007年6月29日、アメリカのFDAは中国産のウナギ、エビ、ナマズの1/4に発ガン物質が検出されたとして輸入方法を変更した。今までは検査なく輸入可能であったが、第三者機関の証明書の添付を義務付けた[4]。中国政府は自国の検査証明書で通関可能とするよう交渉中である。
検出された物質のうちニトロフランとマラカイトグリーンは動物実験で発ガン性が確認され、中国でも魚介類への使用が禁止されている物質であった。マラカイトグリーンは以前に中国産のウナギから日本でも検出されたことがある。ウナギの日本国内消費量10万トンのうち6万トンは中国産であり、これをきっかけに日本国内でのウナギの売れ行きは激減した。
これに関して日本鰻輸入組合森山喬司理事長は、アメリカに輸入されたウナギから上記の物質が検出されたものの、「日本に輸入されている中国産ウナギは中国政府による検査・各工場の自主検査、日本での命令検査をパスしており安全だ」「ウナギが危ないと連日報道されて消費者の不安があおられ、ウナギの売れ行きは激減している。いかに努力して安全なものにしているか実態を理解してほしい」とコメントしている[5](中国産食品の安全性も参照のこと)。
中国側の検査の実情として、中国の国家品質監督検査検疫総局は2007年7月11日、中国の食品会社41社の安全管理に問題があったとして、輸出差し止めとした。このうち11社は、日本向けに水産食品を輸出、そのうち5社はウナギのかば焼きであった。これらの工場は日本の通関時に違反事例を起こしており、既に日本への輸入は止められている。また15社は中国側の検疫手続きを免れていたことが判明している[6]。また日本側検査の信頼性については、厚生労働省名古屋検疫所は同日(2007年7月10日)基準値の勘違いなどのミスで殺虫剤ベンゼンヘキサクロリドが残留する中国産ショウガ25トンが流通してしまったことを発表している[7]。また森山喬司理事長の所属する佳成食品株式会社は、2007年7月に細菌多数につき食品衛生法違反でウナギ廃棄を命じられている[8]。そんな事もあり、2007年の土用の丑の日の各コンビニやスーパーマーケットは前年に比べ値段は高くなったものの、国産ウナギ使用のうな重等をアピールしていた。
コープさっぽろは2007年の土用の丑の日の翌日になって、2007年7月31日に日本水産の子会社に委託していた中国産鰻から発ガン性のある抗菌剤を検出したと発表、回収を開始した[9]。このウナギはweb上では「抗生物質などの薬品をほとんど使用していません」と宣伝され、店頭では「コープ札幌で取り扱っているウナギは報道等で取り上げられているウナギとは別の商品なので安全です」と広告されていた。
一方、国内産ウナギと称して販売されているウナギの中にも、実際には外国産と表示すべきものがあり(産地偽装)、台湾から輸入したウナギに「愛知三河 一色産ウナギ」ブランドを付して流通させていたという事例があった[10][11]。これを受け2008年6月18日、農水省はそのようなウナギがJAS法に違反しているとして業界団体等に適正な表示を依頼する文書を発出した[12]。
[編集] 文化の中のウナギ
[編集] 信仰・伝承
- 鰻食物禁忌 - うなぎを虚空蔵菩薩の使いとして、またはうなぎに災害から救われたので食べることを忌避するという伝承を持つ地域がある。[13]
- ある池のほとりで村人たちが池に毒を流して魚を獲る相談をしていたところ、見慣れぬ黒衣の老僧が現れ、毒流しは池の魚族を根こそぎにする漁法であるから行ってはならぬと村人たちに説いた。村人たちは恐縮して僧に団子を振舞ったが、その翌日やはり毒流しをすることに一決した。獲れた池の魚の中に池の主らしき大鰻がおり、腹を割いたところ昨日老僧に食べさせた団子が入っていたという[14]
- 鰻は幼魚や卵が見つからず繁殖の過程が謎であったことから、古来山芋が変じて鰻になるのだという俗説があった。そのため、つまらぬ者が立派になることを指す「山芋鰻になる」という表現があった。[15]
[編集] 慣用句
- うなぎの寝床
- うなぎのぼり
- 山芋変じて鰻と化す
[編集] 脚注
- ^ 読売新聞夕刊2008年8月18日。
- ^ 報道発表資料「水産庁漁業調査船開洋丸によるニホンウナギの産卵生態調査の結果について」
- ^ Oceanic spawning ecology of freshwater eels in the western North Pacific(英文) ネイチャー・コミュニケーションズ電子版 2011年2月1日付、同日閲覧
- ^ 読売新聞2007年6月29日
- ^ 秋田魁新報 2007年7月10日
- ^ 日経新聞2007年07月11日 および 共同通信2007年07月11日
- ^ 朝日新聞2007年07月11日
- ^ 厚生労働省 輸入食品等の食品衛生法違反事例(平成19年7月分)
- ^ 北海道新聞2007年8月1日
- ^ 垣田達哉「食にメス ブランドうなぎの真実 漁協ぐるみの“確信犯”」産経新聞2008年6月20日付朝刊19面。
- ^ 一色うなぎ漁業協同組合「お詫び」、2008年6月17日付、2008年6月20日閲覧。
- ^ 養殖うなぎの原産地表示の適正化について、2008年6月20日閲覧。
- ^ 佐野賢治編『虚空蔵信仰』雄山閣出版(民衆宗教史叢書) 、1991年、ISBN 4639010222
- ^ 柳田國男の記録による。TBS系アニメ「まんが日本昔ばなし」1991年8月10日放送の「鰻沢」はこの伝承を土台に翻案したもの。
- ^ 「されど山の芋鰻にならず、相かわらずの貧乏」(東海道中膝栗毛・発端)
[編集] 関連項目(ウナギ)
- 著名なウナギ棲息地
- 沼之内弁財天(福島県いわき市) - 境内の賢沼は古くより禁漁池とされ、大ウナギの棲息により天然記念物に指定されている。
- 淡水魚として
[編集] 関連項目(食品としての鰻)
- 鰻を使った食品
[編集] 関連書
- 『ウナギ 地球環境を語る魚』岩波新書 新赤版 1090 井田徹治 岩波書店 2007年 ISBN 978-4-00-431090-7
- 『アフリカにょろり旅』 講談社 青山潤 2007年 ISBN 978-4-06-213868-0
