和歌山電鐵2270系電車
和歌山電鐵2270系電車(わかやまでんてつ2270けいでんしゃ)とは、和歌山電鐵が所有する通勤形電車である。南海電気鉄道が同社の22000系電車を貴志川線向けに改造(車体更新)したものを、2006年の同線経営譲渡時に、ともに引き継いだものである。
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[編集] 概要
本系列は老朽化した1201形を置き換えてワンマン化と冷房化を行うため、貴志川線での運用に対応した改造を施工した。
以下の改造内容から、スタイルは同じ22000系から改造された南海2200系・2230系とは大きく異なるものとなっている。22029・22031・22025・22027・22019・22023編成の順に奇数車がクハ2701形、偶数車がモハ2271形となり、2701-2271 - 2706-2276の6編成12両が改造された。以下、本項では編成については2271F - 2276Fの表記を用いる。
改造内容は下記の通りである。
- 下り方(貴志側)車両(22000系時代は奇数車)のモーターを撤去して制御車(Tc)化され、2M編成から1M1T編成となっている。最高速度も100km/hから80km/h(貴志川線運行時)に変更している。
- 前面の非貫通化。
- 側面の方向幕装置撤去。
- 列車無線を貴志川線用に交換し、周波数が異なるため列車無線アンテナも変更。
- ワンマン運転化改造。
- 扉の一部改造。
- ワンマン運転時の運賃収受の利便性から前扉を運転室直後に移設の上、片開き扉に変更。後扉は両開き扉を存置。
- 車体連結間貫通扉の撤去。連結面間は幌ごと大型化し、扉が無いため後方車両まで広く見渡せるようになっている。
- 貴志川線の架線電圧は600V[1]のため、1500V対応から1500/600Vの複電圧対応化。
- 複電圧仕様にしているのは、南海本線内での自力回送を可能にするためである。
- 架線電圧が600Vの時、モーターの端子電圧が300Vとなり、出力は70kWとなる。また、架線電圧が1500Vの時は、端子電圧が375Vとなり、出力は90kWとなる。
なお、車体の塗装については、経営譲渡以降も後述する「いちご電車」・「おもちゃ電車」・「たま電車」以外の車両は変更は行われず、後扉戸袋の南海CIマークの両備バス・岡山電気軌道と共通の社紋への変更、前扉直後の"NANKAI"ロゴの消去以外は南海時代のまま使用されている。
[編集] 貴志川線の和歌山電鐵譲渡後の変化
貴志川線は2006年4月1日に和歌山電鐵へ経営譲渡され、それに伴い本系列は全車が無償譲渡された。
和歌山電鐵では車両の内装や外装をユニークなものに改装して地元や遠方の乗客の関心を高める方策をとっている。更新のプロデュースは九州旅客鉄道(JR九州)の特急車両を始めとする各車両や、和歌山電鐵の親会社である岡山電気軌道の「MOMO」や「KURO」のデザインを手がけた水戸岡鋭治によるものである。工事は大阪車輌工業の出張工事で施工されている。
第一弾として、2271Fが伊太祈曽車庫でリニューアル工事を実施し、2006年8月6日から「いちご電車」の愛称で運行を開始している。また、2007年7月29日より第二弾として2276Fを改造した「おもちゃ電車」が運行されている。2009年3月21日には第三弾として2275Fが、貴志駅の駅長猫である「たま」をモチーフとした「たま電車」として導入された[2]。
[編集] いちご電車
リニューアル車第一弾「いちご電車」は、貴志駅周辺の特産品であるイチゴをモチーフに、白地に赤をアクセントとしたデザインとなっており、車両の内外にイチゴを車両の正面に見立てたシンボルマークや「苺」の漢字をアレンジしたシンボルマークが描かれている。車内ではシートにイチゴの柄が多数あしらわれており、床などには様々な種類の木材をふんだんに使用している。連結面付近にはカウンターが設けられ、イベント列車として用いる際に接客設備を設けることが出来るようになっている。このカウンターの周囲には、「いちご列車サポーター」としてリニューアル工事に際して支援や寄付を行った個人や団体の名前をプレートに書き込んでいる。この際には2006年7月からの2か月間で、2500件を超す個人や企業・団体から合わせて1100万円近い金額の応募があったというところからも地元の関心と期待の高さが伺える[3]。
車内には地方鉄道再生のモデルケースとなりうる一連の取り組みを評価されて受賞した「第5回日本鉄道賞表彰選考委員会特別賞」の記念プレートが取り付けられている。
[編集] おもちゃ電車
リニューアル車第二弾「おもちゃ電車」、略して「OMODEN(おもでん)」は、おもちゃ箱や子供部屋をモチーフとしたようなデザインとなっており、車体全体を赤く塗った上に「OMODEN」などのロゴを大胆に配置している。座席は一般的なロングシートの他に、木の座席にカラフルな座布団を固定した部分があったり、木馬のような部品が取り付けられた座席があったり、さらにはベビーサークルも置かれているなど非常にユニークである。連結面付近にはギャラリーが設けられ、子供向けからマニア向けまで様々な種類の玩具やフィギュア、プラモデルなどが飾られている。さらにはカプセルトイ自販機のコーナーも設置され、和歌山電鐵オリジナルグッズが販売されていることもある。おもちゃ電車のサポーターとなったのは、当時玩具通販サイトT.J GrosNetを運営していた海南市の企業「T.Jホールディングカンパニー」である。同社の社長が貴志川線沿線育ちという縁からのものである。同社が最初に提案していたのはガンダムシリーズをモチーフとした「ガンダム電車」で5年間広告支援するというものであったが、「いちご電車」の弟としてよりふさわしいように「おもちゃ電車」として思い切ったリニューアルをすることとなった[4]。
T.J社は2008年4月15日に民事再生法適用を申請し営業を休止、のち破産となったが、和歌山電鐵ではおもちゃ電車の運行や社内でのカプセルトイの販売には影響はないとしている[5][6]。
[編集] たま電車
外観は「いちご電車」に続く白基調となった。全体に101匹の猫の駅長たまのマスコットキャラクターがシールで貼られており[7]、他に肉球の足跡模様や「たま電車」「TAMA」のロゴが入っている。前面中央にはたまのイラスト入り真鍮プレートが配され、左右に猫のヒゲをモチーフにした線が入っている[8]。なお、2705の北側連結面寄りに動物の本を開架する「たま文庫」の本棚が設置されているため、後扉から連結面寄りの客用窓が埋め込まれている[9]。 座席の仕様は「おもちゃ電車」と同様に様々な形状の座席が並ぶものとなっており、ベビーサークルや、たまが乗車する時のための専用ケージも備えている。ベンチは背もたれが猫のシルエットに切り抜かれた木板であったりアンティーク家具のような猫足を採り入れるなど猫のモチーフが多用され、車内の色調が白・黒・オレンジを基本としている点も、三毛猫のたまを意識してのことである。
[編集] 運用
日中は6編成のうち3 - 4編成が使用されている。「いちご電車」・「おもちゃ電車」・「たま電車」については、和歌山電鐵のサイトに運行時刻表が掲載されている。
2009年、和歌山電鐵は変電所の改修・集約を発表、将来的にはJR西日本や南海との乗り入れを視野に入れた貴志川線の昇圧を行う予定であると報じた。実際に2012年2月に昇圧が行われ、2270系が複電圧対応車であるため、昇圧後もそのまま使用が継続されている。
[編集] 脚注
- ^ なお、和歌山電鐵に譲渡後の2012年2月1日から1500Vに昇圧された
- ^ 両備グループ|代表メッセージ「たまスーパー駅長の夏帽子載帽式あいさつ」、2008年7月20日。
- ^ わかやま新報2006年10月3日
- ^ 両備グループ|代表メッセージ「おもろい「OMODEN」」。
- ^ 帝国データバンク大型倒産速報、2008年4月16日掲載分、2008年4月18日閲覧。
- ^ 産経新聞2008年4月17日。
- ^ 101匹のたま駅長 和歌山電鉄が車両公開 産経新聞 2009年2月20日
- ^ 駅長マント姿で出席 「たま電車」デビュー式典 産経新聞 2009年3月21日
- ^ スーパー駅長「たま電車」が試運転 和歌山電鉄 産経新聞 2009年3月2日
[編集] 関連項目
- 熊本電気鉄道200系電車 (3代) - 本系列と同じ南海22000系の改造・譲渡車。ただし改造内容と譲渡経緯は大幅に異なる。
- 南海2200系「天空」 - 南海時代に別改造を加えられた2200系の、再改造車。
[編集] 外部リンク
- ■■ わかやま電鉄 貴志川線 >> 時刻表 - 「いちご電車」・「おもちゃ電車」・「たま電車」の時刻はPDFファイルでリンクされている。
- 大阪車輌工業株式会社 - おもちゃ電車 車両改造・いちご電車 車両改造
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