あさこ・ゆうこ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

あさこ・ゆうこ』は、長野県に伝わるとされる民話を隔てて位置する2に分かれて暮らす2人の知恵を出し合い、2村間にあった確執を解消へと導く頓智話である。

あらすじ[編集]

「あさこ・ゆうこ」の民話は、1957年昭和32年)発行の『信濃の民話』に下高井郡の話として収録されている[1]。長野県下高井郡山ノ内町菅(北緯36度43分17.6秒 東経138度24分1.5秒 / 北緯36.721556度 東経138.400417度 / 36.721556; 138.400417)の池田利治の話を、『信濃の民話』編集委員長野県中野実業高等学校の児玉信久が採集し、同じく『信濃の民話』編集委員で作家松谷みよ子が再話したものである[1]。内容を要約して以下に記す[1]

山の東西のふもとに小さな村があった。50年前の紛争以来、2村間での交易はなく、道は荒廃していた。東の村にはあさこという利口な娘がおり、村人たちは彼女を利用して西の村を頓智合戦で負かし、征服しようと考えた。一方、西の村にもゆうこという利口な娘がおり、東の村からの挑戦を受けることにした。
頓智合戦の当日、あさことゆうこは各村の代表として山に登った。頂上で顔を合わせた2人は、互いの年頃や容姿が似ているだけでなく、誕生日まで同じであったことに驚いた。打ち解けた2人は2村間の確執を改めて疑問に思い、これを解消すべく知恵を出し合った。
夕方になって話がまとまると、2人はそれぞれの村に帰った。頓智合戦は引き分けに終わったことにして、次の勝負を提案する。互いの村から道を造り始めて、早く山の頂上に着いた方の勝ち、というものである。あさことゆうこが2村間で工事の進み具合に差が出ないよう調整に努めた結果、道は同じ日に完成した。頂上で顔を合わせた2村の村人たちは互いの戦果を認め合い、和解した。

なお、あさこは朝に産まれたことから、ゆうこは夕方に産まれたことから、それぞれ名付けられたとされる[2]

映像化[編集]

「あさこ・ゆうこ」の民話はテレビアニメまんが日本昔ばなし』で放送され、同作のDVD第26巻に収録されている[3]演出作画樋口雅一、文芸は久貴千賀子、美術は田中静恵が担当した[3]

朗読[編集]

製パン業者のフジパンは、自社ウェブサイトコンテンツ「民話の部屋」にて、「あさこ・ゆうこ」の民話を『あさこ、ゆうこ』の題で紹介している[2]。六渡邦昭が再話した文章に加え、声優井上瑤による朗読も併せて公開している[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『信濃の民話』33 - 37ページ。
  2. ^ a b c あさこ、ゆうこ』より(2014年8月22日閲覧)。
  3. ^ a b 「あさこ・ゆうこ」『まんが日本昔ばなし DVD第26巻』(NCID BB08185771)より。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]