「ドン・ジョヴァンニ」の回想

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「ドン・ジョヴァンニ」の回想Réminiscences de Don Juan, サール番号S.418)は、フランツ・リストの作曲(編曲)したピアノ曲。

概要[編集]

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』からいくつかの旋律を抜き出し、再構成したパラフレーズ作品である。1841年に作曲され、1843年に出版、デンマーク王クリスチャン8世に献呈された。

リストのオペラ・パラフレーズの代表作として古くから知られる一方、難曲としても知られており、フェルッチョ・ブゾーニは「ピアニズムの頂点をなすものとして、象徴的な意味を持つ」、ゲンリフ・ネイガウスは「正確に弾きこなすことができるのは、ギンスブルクを除けばピアノラのみだろう」と述べている。また、アレクサンドル・スクリャービンは本曲と《イスラメイ》を練習中に右手を故障している。

リスト自身によって、1877年二台ピアノ用編曲(S.656)が作られている。またブゾーニが1918年に校訂した版には、経過的なパッセージのカットを含む大小の変更が記されており、これが「ブゾーニ版」として演奏される場合もある。

楽曲構成[編集]

グラーヴェ、ニ短調、4/4拍子。オペラの第二幕、墓地にて騎士長がドン・ジョヴァンニに警告する場面の音楽("Di rider finirai pria dell'aurora")から始まる。続いてオペラの終盤、騎士長が食事の席に現れる場面の音楽("non si pasce di cibo mortale")が用いられ、重苦しい雰囲気で音楽は進んでいく。この場面では半音階の急速なパッセージが吹き荒れ、騎士長の復讐心を暗示する。

アンダンティーノ、イ長調、2/4拍子となると、オペラ第一幕の二重唱「お手をどうぞ」("Là ci darem la mano")が穏やかに現れる。カデンツァをはさみつつ、この主題による二つの変奏が続く。第1変奏は6連符を中心に扱い、様々な技巧が披歴される。第2変奏は対位法的な処理から始まるが、騎士長の音楽がふたたび現れる("Tu m'invitasti a cena")と半音階のパッセージが支配するようになり、主題は展開風に扱われる。

主題を予示する間奏を挟んで、プレスト、変ロ長調で第一幕のドン・ジョヴァンニのアリア「シャンパンの歌」("Fin ch'han dal vino")が軽快に現れる。この主題は3回繰り返され、次第に華やかに奏されるようになる。そのまま華麗なコーダに至るが、終結の直前に騎士長の音楽が変ホ短調で三たび現れ、オペラの結末を暗示する(前述のブゾーニ版ではこの部分は省かれている)。

要求される演奏技巧は幅広い跳躍、オクターヴの連続、急速な三度重音アルペジオスケールなど多岐にわたる。

参考文献[編集]

Leslie Howard "The complete music for solo piano, Vol. 6 – Liszt at the Opera I" (Hyperion, CDA66371/2) のCD解説 (Leslie Howard, 1990)

外部リンク[編集]