ユーベルブラット

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ユーベルブラット
ジャンル ダーク・ファンタジー
漫画
作者 塩野干支郎次
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 ガンガンYGヤングガンガン
増刊ヤングガンガンビッグ月刊ビッグガンガン
レーベル ヤングガンガンコミックス
発表期間 2004年 - 連載中
巻数 既刊17巻(2014年11月25日時点)
※単行本第0巻を含む
テンプレート - ノート

ユーベルブラット』(Übel Blatt)は、塩野干支郎次ファンタジー漫画作品。タイトルはドイツ語で「邪悪な刃」を意味する。

概要[編集]

「最凶のダーク・ファンタジー」を謳い、復讐のために蘇った主人公ケインツェルの壮大な復讐劇を描く。

2004年スクウェア・エニックスの発行する季刊漫画雑誌ガンガンYG』の壱号から参号までに3話分掲載。同04年12月、『ガンガンYG』の後継誌となる月2回刊誌ヤングガンガン』の創刊号から引き続き連載された。暫く休載が続いていたが、2011年8月には『増刊ヤングガンガンビッグ』 vol.3にて掲載され、同11年12月創刊の後継誌『月刊ビッグガンガン』2012Vol.01にて連載が再開された。

単行本はヤングガンガンコミックスより第0巻から第16巻までの計17冊が刊行されている(2014年11月25日時点)。

2010年までの国内売り上げを海外売り上げが上回っており、国外での人気が高い[1]

ストーリー[編集]

物語の舞台は、妖精や魔物、魔法が存在する世界「サーランディエン」にある、サーラント帝国。

神託暦3968年、結界の向こうから現れる魔物「闇の異邦(ヴィシュテヒ)」の脅威に晒されていた人類は、14名の勇者に聖なる槍を与え、ヴィシュテヒを封じる使命を託した。そのうち旅の途中で倒れた3人は「尊き未帰還者」と呼ばれ、敵に寝返った4人は「裏切りの槍」と呼ばれた。そして3972年、残った7人は封印の使命を果たし、彼ら「七英雄」によって人類は平和を手に入れた。

しかし真実は違っていた。ヴィシュテヒを封じたのは実は「裏切りの槍」であり、「七英雄」は途中で怖気づき使命を放棄しただけでなく、使命を終えて戻った4人を名誉欲のため殺害していた。瀕死の傷を追いながらも生き延びた帝国最強の剣士アシェリートは 自分と仲間をあざ笑いながら切り刻んだ真の裏切り者=七英雄への復讐を誓い、妖精の力を得て亜人となって蘇った。

3992年、ケインツェルと名を変えたアシェリートは、辺境伯領で「裏切りの槍」を名乗って領民を苦しめていた4人を殺害し、辺境の人々を救う。七英雄のグレンに仕える七槍騎士団のロズンは彼を英雄として迎えようとするが、事実を知り苦悩する。さらにケインツェルは過去の大戦時にヴィシュテヒの侵攻を防ぐために築き、今では差別と腐敗の温床となっていた巨大な壁「千の石槍」を破壊し、辺境伯領での混乱を鎮めるためにやってきた七英雄の下へと向かう。

ケインツェルはグレンを強襲するが失敗し、同時に彼に対する民衆の信頼と、七英雄の威光によって国が平和になった現実を見せつけられ愕然とする。しかし、七英雄のシュテムヴェレヒが、その威光の影で悪事を働いていることを知り、彼らの欺瞞を断罪するための旅を続けることを決意。旅の途中で自分を慕うようになったアト達の力を借り、非道な人体実験を行なっていたシュテムヴェレヒを惨殺する。

次の目標であるバレスターが統治する、砲台伯の領内にある自由都市ユラス・アプラスに辿り着いたケインツェル達は、七槍騎士団のエルサリア達によって足止めを食らう。しかし、復讐者の影に怯え心を病んだバレスターが、秘密裏に建造していた浮遊城を使い自由都市への侵攻をはじめる。エルサリア達はその暴挙を止めるためケインツェルに手を貸す。ケインツェルはバレスターを殺し、その直後に現れた「裏切りの槍」のクファーの息子イクフェスと剣を交えた後逃亡する。

皇帝からケインツェル討伐の命を受けたグレンは討伐隊を各領に派遣するが、それをよく思わないレベロントが対立し、内輪揉めを始める。ケインツェルはその混乱に乗じてグレンを討ち逃亡。その後もレベロントはグレンへの対抗心から七槍騎士団のケインツェル捜索を認めず、ケインツェルはその隙に候領内を脱出する。

ケインツェルはクファーの故郷イェブルへとたどり着き、名を貶められたイェブナレス家の安否を確認する。その頃、討伐の命を引き継いだレベロントがイェブルに軍を派遣し、侵攻中止の条件にケインツェルを差し出すことを命じる。ケインツェルは自ら姿を晒し、イクフェスと再び一騎打ちを迫られる。彼がクファーの息子と知ったケインツェルは、一時復讐を忘れ彼に奥義「黒翼」を伝授する。イェブルの人々はイクフェスを称賛するが、ケインツェルはレベロントの突然の砲撃によって行方不明となる。

その暴挙にイェブルに人々は反抗するが、間もなく鎮圧される。それから暫くして、帝都で行われる「十王家の円卓」でエルサリアはレベロント達の暴挙を訴えるも、レベロントの武力に怯える十王家に願いは伝わらず、その不甲斐なさに呆れたエルサリアは七槍騎士団を抜け、ロズンはイシューディーンに望みを託し帝都に残った。

その後、帝国軍総統となったレベロントはヴィシュテヒとの開戦を宣言。その横暴を止め実権を奪うために、選帝候達は新皇帝の選出を決める。それを阻止するためレベロントの息子のグエルードが選帝候の城に攻撃を行うが、エルサリアと生きていたケインツェルが参戦する。

幼い頃から自身の柔弱な性格に劣等感を感じていたグエルードは「英雄殺し」であるケインツェルを討つ事で払拭しようとするが、勢いを巻き返したエルサリアやケインツェルに押されはじめる。後詰めをしていた兄・バラントに後退を命じられるが特攻し戦死した。後継ぎとして期待していたグエルードを失った事で、レベロントは暴走を始める。

選帝候の集結を阻止せんとするレベロントだが、目前に現れたケインツェルに対してイクフェスを従えての直接対決に臨む。その最中、イシューディーン竜伯の領内から巨大な浮遊城「天槍城」が出現、竜伯に伴われて入場する若い騎士は「グレン」と呼ばれた。

イクフェスの間合いに牽制されて苦戦するケインツェルだが、浮上した「天槍城」からグレンによる宣戦布告が下されるが、ガイエラルの先制攻撃によって手痛い反撃を受け、撤退。ここに七英雄同士が対立する「英雄戦争」が開戦した。

3993年、「英雄戦争」開戦から3ヶ月。グレンとレベロントの戦いは各地に飛び火し、人々を恐怖に陥れていた。クローツェン北東部の城に移ったレベロントは自身の窮状を他者に転嫁するほどに追い詰められていく。一方、グレンも自身の復活を認められない配下を粛清し、七槍騎士団を解散させる。

グレンに追い詰められる状況からログズナーとスパズはイクフェスを伴い、和平交渉を装った暗殺を企むが失敗。グレンは戦争を終わらせるための総攻撃を決断する。1ヶ月後、自身が勝利する妄想と疑心暗鬼に捕らわれるレベロントに対してグレンの下に降ったログズナーからの降伏勧告が伝えられる。

(グレンが死んだとされた事実から)レベロントに付いていたギュレングルフとニルゲンフェレトは、脱出に失敗し取り残されたことでレベロントの首と引き換えにした助命を画策するが、城内に潜入していたケインツェルに討たれた。

父であるレベロントを見限り、グレンの下でサーランディエン統一と言う夢を叶えようとするログズナーとスパズに追い詰められ、ガイエラルの時間稼ぎで辛うじて脱出しようとするレベロントだが、先回りしていたケインツェルに討ち取られた。

登場人物[編集]

ケインツェル一行[編集]

ケインツェル
左目を縦断するように大きな傷を顔に持ち、長く緑がかった金髪を三つ編みにした亜人の少年。
凄まじい剣術と体術の使い手であり、右腕から現れる4本の巨大な黒い剣を操る。千の石槍の外、「辺境」において逆賊の集団「黒翼剣軍」を単独で攻め落とした事から「辺境の英雄」「黒い剣の男」の通称で知られているが、シュテムヴェレヒ方伯を殺害してからは「英雄殺しの逆賊」と呼ばれている。
本名:アシェリート。かつて「刃匠(ブラットマイスター)」の称号を戴き、帝国最強と謳われた剣士であったが、現在は裏切りの槍の一人として伝えられている。見た目こそ少年であるが神託歴3952年頃の生まれで実年齢は40歳。苦難の末に使命を果たした自分と仲間3人を斬り刻んだ、真の裏切り者である七英雄への復讐のみを目的に生きる。しかし、本質的には心優しい男であり、復讐の対象である七英雄に対しても、かつて仲間として共に戦い旅した頃の記憶と裏切られた憎しみの間で苦悩する様子もある。
元々は普通の人間であったと思われるが、死の森にて七英雄に裏切られ瀕死の重傷を負った際、高位妖精(ホッホ・エルフェ)を喰らい融合したことで亜人となり生き延びた。高位妖精と融合した事から「妖精の声が聞こえる」「月の光を浴びることで本来の力を発揮する(力が回復する)」などの高位妖精の特性が身に付いており、月光の下では「黒い剣」を操る事ができる。又、肉体が成長や老化などの変化を見せていないのも高位妖精の力によるものと思われる。しかし同時に、人間の身体のときよりも脆弱であり、剣技が以前の身体で習得したものであることの問題や、黒翼を使うと今の身体では耐えられないなどの問題を抱えている。実際に問題があるかは不明だが、その全身には七英雄に斬り刻まれた傷跡が残っている。
捨て子であり、刀鍛冶のもとで育ったが、刀の鍛錬や剣の型を見よう見まねでほぼ完璧に行えるなど特異な才能があり、剣では教えを受けた師以上の達人となっている。
アト
“僕”という一人称を使い、髪型や喋り方もボーイッシュなため、登場時は少年と思われていたがクシャールンド首領家第三王女。男勝りな性格の少女で、兄のクラトを慕い、傍にいたいがために戦士となる決意を固める。当初はクラトの命を奪ったケインツェルを仇とみなし、「復讐の黒装束」に身を包んで命を狙うも、実際は彼に非の無いことを認めて謝罪。以来ケインツェルに強く惹かれ、アルテアやピーピと共に旅に同行する。ケインツェルの正体と目的を知っており、彼の復讐を肯定し、また、彼が「逆賊」と呼ばれることを嫌い「裏切りの槍」の真実を明らかにすべきであると考えている。
大剣や二刀流を駆使し、剣術は未熟なものの大きな素質を感じさせる部分がある。自由都市ユラス・アプラスでの戦いで重傷を負い生死の境をさまようが、ケインツェルから「妖精の血」を傷口に注ぎ込まれたことで一命を取り留める。また、血の影響によって毛髪が変色し、背中や傷跡にケインツェルと同じ小さな羽根のようなものが生えた。
イェブルではぐれたケインツェルと再会した際に贈られた連結式の特殊な双頭剣を使う様になる。
ピーピ
辺境の亜人種ミルエル・ミラエル族の少女。
本名は不明で、ピーピという名前はケインツェルが咄嗟につけたもの。国境を超えるためケインツェル達に同行。後にケインツェルの正体と目的を知ってからも同行を続ける。ユラス・アプラスの争乱後、再び離れてしまったケインツェルと再会するために、エルサリアと同行し、イェブルにて再会を果たす。
彼女の属するミルエル・ミラエル族は濃い「妖精の血」を引いており、精霊との親和性も高くエルサリアの仲間・エルツェンから簡単なレクチャーを受けただけでかなり強力な精霊魔法を使えるようになった。
アルテア
国境の町リエルデ・フェレムで密航屋を営む女主人。ケインツェルと昔の恋人の面影が重なるため、彼に好意を抱いている。やはりケインツェルの正体と目的を知ってからも同行している。
自由都市ユラス・アプラスでの戦い以降、都市に残り自衛団のリーダーを任される事になる。
ヴィド
眼帯をつけた黒髪長髪の男。紐のついたチャクラムの投擲を得意とする。元々は盗賊であったが、2年前に猛獣に襲われたところをクシャールンド首領家のクラトに救われて以来、臣下として仕えている。方伯軍によって捕らえられた第二王女のシャーレンを救うためにケインツェルと共に行動し、彼女の救出に成功する。その後はアトの事をケインツェルに託し、シャーレンと共に国へ戻った。

七英雄[編集]

グレン
侯爵。七英雄のリーダー格。イェブルの領主を務める。元より貴族出身だが、ヴィシュテヒ封印の功によって確固たる地位と名声を得る。ケインツェルの左目の傷は、アシェリートを殺すときに彼がつけた傷である。上からも下からも人望が厚く、七英雄の中でもっとも民衆に人気がある。帝国最強の戦力・七槍騎士団を部下に従える。
皇帝に“英雄殺しの逆賊”討伐の指揮権を与えられ、ケインツェル討伐に乗り出す。クローツェンにてケインツェルたちを囲い込むことに成功するが、対抗意識を燃やしたレベロントの横槍でケインツェルを逃し、さらに本陣に斬り込んできたケインツェルによって討たれた。だが数ヶ月後、イシューディーン竜伯が準備していた「天槍城」に若返った姿で現れる。その身にはケインツェルの手で逆袈裟に斬られた傷跡が残っており、肉体を乗り換えたと言う類の物ではない。
レベロントの暴走を諌めるが、自らは「グレン王」を名乗り竜伯軍と新たに組織した「天槍騎士団」を率いて戦争を始める。自身の若返りと復活を含めて、かなり高度な魔導技術を手に入れ、従属を誓った者たちに「力」を与えている。
剣の館を訪れた際にグーリェに対して「(帝国を裏切った)アシェリートたちを殺したことは自分(たち)の犯した罪だった」と語ったり、「その罪をあがなうためにも帝国を守る」として善政を行ったりして反省や後悔の色を覗かせた。だが、過去の真実(本当の裏切り者は誰だったのか)を公表していない以上、保身と自己正当化のために嘘をつく男という人物像を変えるには至っていない。しかし、七人の中では最も後ろめたさを抱いていたのもまた事実であり、手にかけた四人の立派な慰霊碑を建てさせた。
実は現皇帝の息子であった。自分たちも封印の旅に選ばれた英雄でありながらアシェリートがさらに飛びぬけて優れていることに強い劣等感を抱いており、それがアシェリートたちを裏切るきっかけになった。
シュテムヴェレヒ
方伯。モランの領主を務める。元は山賊。投げナイフと二刀流の剣術が得意。石工の技術ももつ。
かつては国と民のために戦った勇士であったが、堕落した。不老不死となることで永遠に英雄として崇められるという野望を抱き、辺境から亜人種の娘を略奪し、自らの肉体に移植することで妖精の不老の力を手に入れようとしていた。実際、幾人もの亜人の娘によって四肢を強化、常人離れした身体能力を獲得しており、不老不死に対する執着はケインツェルの正体に気付いても、その若さを称賛し「最高の研究材料だ」と言い放つほど。
ケインツェルと壮絶な戦いを繰り広げたが、妖精の悲鳴によって姿が豹変したケインツェルに討たれた。
バレスター
砲台伯。レムダの領主を務める。元はレムダの商人の息子で大商人になるのが夢だったが、商人の才能が無いと言われ、旅の中で多くのことを学んで欲しいと願った父の命令で闇の異邦封印の使命の旅に参加した。
ケインツェルによってシュテムヴェレヒが討たれて以降、自らを狙っているであろう刺客の影に怯える。また、力を付けていくグレンへの嫉妬もあって精神を病み、ついに自由都市ユラス・アプラスを襲撃するという暴挙に出た。その戦闘の混乱の中で記憶の退行を起こし、ケインツェルに討たれた。
レベロント
侯爵。クローツェンの領主を務める。昔からグレンとは反りが合わなかったためか、皇帝より逆賊討伐の指揮権を与えられたグレンに対抗意識を燃やし、強引に配下を討伐戦に参加させ、それがグレンの1度目の死の原因となった。グレンの死後はイクフェスを配下に迎え、グレンの仇を討つと言って皇帝陛下より指揮権を与えられる。イクフェスとケインツェルの戦いに勝負がついた時魔道兵器による砲撃を行い、激昂したイェブルの豪族を壊滅させた。
十数人の子供がいて、それぞれに父の冷酷さや残酷さを継承している。
領主としては強引なやり口で知られ、冷酷非道と恐れられている。
闇の異邦封印の旅の時から皇帝になる野望を持っており、アシェリートに自身の身を守ることを依頼していた。ケインツェルを討つと“英雄殺しの逆賊”を討った功績と軍事力を背景にモラン、レムダ、イェブルを手に入れる。さらに帝国軍総統として闇の異邦との開戦を宣言する。闇の異邦への開戦は単なる野心だけでなく、アシェリートへの劣等感の克服(封印しただけの彼を闇の異邦を討つことで超える)を目的としている節がある。
後継者として将来を期待していた息子(正妻の子)をケインツェルに討たれたことで怒り狂い、自らケインツェルに挑むが死んだはずのグレンの横槍が入って水入りとなった。グレンに追い詰められるうちに正気を失って自身の勝利を妄信し始め、息子たちにも見限られて追い詰められた先で遭遇したケインツェルに討ちとられる。
イシューディーン
竜伯。竜伯の名の通り大飛竜軍団を保有しているらしく、グレンの逆賊討伐軍に飛竜部隊を派遣、自らもグレンを補佐する。
七英雄の中ではグレンに近い考えを持っている様子がみられる。逆賊討伐によって帝国軍の実権を握ったレべロントには距離を置き、七槍騎士団を配下に迎え入れている。
領内で極秘に浮遊城塞「天槍城」を建造していた。
ニルゲンフェレト
城伯。ツィクヒートの領主を務める。逆賊ケインツェルに対しては逃げ腰で、逆賊討伐戦の際にはレベロントの領地クローツェンに逗留と言う形で半ば避難している。
追い詰められたレベロントの首を取ることで自分たちの助命を画策するが、ケインツェルと遭遇。脚をやられたところをギュレングルフに見捨てられ、互いに足を引っ張り合い討ち取られた。
ギュレングルフ
月読伯。ロゴの領主を務める。逆賊討伐戦ではニルゲンフェレトと共にクローツェンに逗留している。
追い詰められたレベロントの首を取ることで自分たちの助命を画策するが、ケインツェルと遭遇。助けを求めるニルゲンフェレトを見捨てて逃げようとしたが、互いに足を引っ張り合い討ち取られた。

尊き未帰還者達[編集]

エルグナッハ
最初の尊き未帰還者。軍師。「刃匠」ルディフトの弟子で、アシェリートの兄弟子。闇の異邦から帝国への侵入を食い止めるため、帝国国境の町リエルデ・フェレムに石壁「千の石槍」を作る術式陣を発動させた。しかしその際、術式陣に取り込まれてしまい、自らも石と化してしまった。
七英雄の時代では彼を含めて旅の途上で果てた3人は聖人として崇められているが、「従者」であったとされ、七英雄よりも位が下である。

裏切りの槍[編集]

アシェリート
ケインツェルを参照。
クファー
剣の名門イェブナレス家当主の長子だった。封印の森で七英雄に討たれた。
怖気づいた七英雄たちに、アシェリートやギュスタフ、クレンテルとは違い継ぐべき家があると説得されるが、グレンが「刃匠」であるアシェリートの出自を引き合いに出したことに激昂した。使命のために三人と共に進み、その際に三人の技術は帝国に持って帰る価値があるものであると語り、アシェリートに「生きて帰ったら、息子に剣を教えてくれ」と頼んだ。
ギュスタフ
右目のそばに痣がある褐色の肌をした女性。辺境の生まれで戦技に優れていた。
クレンテル
アシェリートよりも小柄な少年。ギュスタフと同じように辺境の生まれであり、目元に痣がある。魔導の知識に秀でていた。

七槍騎士団[編集]

ロズン
七槍騎士団の騎士。実直な性格で、剣の腕前も一流。ケインツェルの正体と七英雄の真実を知り、ケインツェルの復讐に対する共感と帝国への忠誠心との間で苦悩する。ケインツェルによってグレンが討ち取られてからイシューディーン竜伯の下に身を寄せていたが、レベロント軍の動向調査に出ている間に七槍騎士団が解散、「天槍騎士団」として再編されており、騎士団の元同僚が得た力と敵方と言うだけで非戦闘員まで皆殺しにしようとする振る舞いに驚愕する。
シェムリェ
ロズンと共に行動する騎士の一人。眼鏡をかけた少々トロくさげな女性。弓使いで魔導紋を刻んだ矢をつかう。
クレンツ
ロズンと共に行動する騎士の一人。ロズンより大柄な青年だが、現時点では活躍の場が無い。シェムリエが弩を使う際には装填を補佐する。
エルサリア・ラハンクレーブ
選帝侯の娘にして七槍騎士団の精鋭。17歳。2年ほど前、仲間と共にたった4人で貴族の反乱を鎮圧した。ロズンの頼みにより3人の仲間を率いてケインツェルを追う。しかし暴走したバレスターがユラス・アプラスを襲撃した折、民を守るために砲台伯軍と戦う。バレスターが討たれた後、七槍騎士団の使者に砲台伯への反逆に加担した疑いで軟禁されるが脱出、バレスターの暴挙を告発するために帝都に向かうことを決意する。
ケインツェルとの再会を望むピーピと行動をともにし、ケインツェルの正体と「七英雄」の真実を知る。七槍騎士団の人間であるが、七英雄の欺瞞と堕落を知り、「十王家の円卓」にて直訴するが黙殺される。それを切っ掛けに自身の意思で帝国を救うために行動する事を決意。現在は帝都を離れて活動している。
風呂は機会があれば可能な限り入浴する信条を持っていて、ユラス・アプラスで手に入れた飛竜艇(元々はグレンが発注した物)にも風呂を増設した。
エルツェン
エルサリアと共に行動する騎士の一人。眼鏡の優男だが、術式を良く使いこなすチームの知恵袋。妖精の力、存在に興味があってそれらの事がらに出くわすと先走る傾向がある。
ダリステ
エルサリアと共に行動する騎士の一人。いかつい男だが、正攻法のみならず搦め手もこなす。
カルクリス
エルサリアと共に行動する騎士の一人。四人の中では軽口をたたく事も多いが、相手の心理も含めた「読み」に長けている。
イクフェス
グレンに仕える若き奴隷騎士。その腕前は帝国最強クラス。グレンにより逆賊討伐を命じられ、ケインツェルと剣を交えることとなる。
グレンに襲いかかるふりをしてみたり、ケインツェルについて「(七英雄を)一人より二人殺してくれていたほうがより箔がつくので倒しがいがある」とロズンの前で言ってのけるほど大胆不敵な性格。ケインツェルと戦って敗れたものの、「今の僕では黒翼なしで君に勝てない」と言わしめた。
グレンがケインツェルに討たれた後、ケインツェルとの再戦のためだけに七槍騎士団を抜け、レベロントの配下となる。
実は裏切りの槍の一人、クファーの息子である。自身の故郷であるイェブルにて、かつてアシェリートが鍛えた「妖精鉱の剣」を持ってケインツェルと一騎打ちで再戦。剣戟の全てとまではいかなかったものの、黒翼を捌ききる。戦いの最中、ケインツェルの助言によって黒翼を習得し、彼を倒すがとどめをささず手を差し伸べた。ケインツェルとの戦いののち、功績を認められアシェリートから長らく空席が続いていた「刃匠」の称号を受け継いだ。
正式な騎士となり、軍の旗頭的立場に据えられるが、戦場においてかつての刃匠・アシェリートの様に仲間を勝利に導く事が出来ない自身の未熟さに苦悩する。

黒翼剣軍[編集]

偽クファー
巨大な棍棒を武器に愛馬「ザイラス」を駆る大男。配下の百人隊を全滅させた片目に傷のある男(ケインツェル)を部下に探させ、ケインツェルが滞在する村を襲う。死に際にケインツェルの正体を聞かされ涙を流して命乞いするが惨殺された。
偽ギュスタフ
電撃の技を操る女。捕らえた者を妖精と融合させるなどの実験を行い、アトの兄クラトを人質にしてアトにケインツェルを襲わせる。好色で、捕虜となったケインツェルと交配するが、脱走される。怒ると体が膨れ上がって化け物じみた姿に変化する。ケインツェルに討たれた。
アルバヌング
辺境伯。黒翼剣軍に密かに協力していたが、偽クレンテルに巨大な化け物に変えられて操られ、ロズンたちに討たれた。滅びる間際に意識を取り戻し、部下のリグレスに「私は力を欲して選び間違えた」と語った。
偽クレンテル
ケインツェルたちの襲撃に際し、アルバヌングを巨大な化け物に変えて操ったが、意識を取り戻したアルバヌングに殺された。
偽アシェリート
黒翼剣軍の指導者。黒い長髪の男で、二刀流に魔導の力で背中から生やした二つの刀を加えた四つの刀を奥義「黒翼」と称するが、ケインツェルの放った真の「黒翼」には全くかなわなかった。ケインツェルが本物のアシェリートと知ると反乱を起こした理由を話してケインツェルに反乱の指導者になってほしいと願うが、ケインツェルは自分達の名を騙って汚名を上塗りした彼らを許さず、断罪した。

イェブル[編集]

クヴェリア
ゼフォーレア家の当主であるラヴァーンの妹。イェブナレス家の跡地を訪れたケインツェルたちと出会い、イェブナレス家の行方を知りたがるケインツェルを客として招き入れる。
幼い頃に没落した後のイェブレナスの嫡子と会っており、イェブルはイェブナレス家が治めるべきと考え、現在のイェブルの状況を憂いていた。
エルサリアの古い友人でもあり、彼女に会いに来たところで、たまたま彼女とケインツェルの話を聞いてしまい、ケインツェルの正体と「裏切りの槍」の真実を知ってしまう。グレンを断罪したケインツェルの行いを肯定した[2]。ケインツェルとイクフェスの戦いに最も心を痛めていた。
ラヴァーン
ゼフォーレア家の当主。顔に傷や痣があり、左腕を失っている。
もともと好戦的で知られた軍閥のゼフォーレアの中でも勇猛果敢な戦いぶりで知られていたが、現在は争いを嫌っており、ケインツェルを領主であるグレンを殺しイェブルを不安定にした元凶の逆賊であると知っていながら客として招き入れた。
クヴェリアに対し、イェブレナス家の名前を出すことも許していなかったが、実はクファーの無実を信じ主家であるイェブナレス家をイェブルに呼びもどすために今まで戦ってきた。実際、軍閥もその多くは「自らがイェブルを統一しイェブナレス家を呼び戻す」ために戦っていた。クヴェリアから「裏切りの槍」の真実を知り、イェブルを変えることを決意する。
ケインツェルを撃ったレべロントに対しナバルド達と共に戦いを挑むが、鎮圧された。
ナバルド
ゼフォーレア家と争っていた軍閥の一つであるゾナレリ家の将軍で、鬼神と呼ばれる。エルサリアの説得を聞き、ゼフォーレア家に武装をせずに単身で和平を申し込み来た。
逆賊を期日までに捕えることのできなかったイェブルを守るためにレベロントに首を差し出そうと進み出たラヴァーンに付き合う。
ミリエダ
クファーの妻にしてイクフェスの母。クファーの裏切りによってイェブレナス家が没落した後は、グレンの作った「裏切りの槍」の墓碑にて、もともとイェブレナス家の重臣であった墓守のものと暮らしている。クファーの無実を信じていると言う(むしろ信じるに値しない男と結婚した覚えはないと断言した)彼女の姿にケインツェルは涙を流した。
長男であるイクフェスの他にも二人目の夫(既に故人)との間にも二人目の息子・エリオがおり、現在帝都の学校に通っている。イェブレナス家に嫁いだものだけあって帯剣し、佇まいを見ただけでケインツェルの技量を見抜いた。

その他[編集]

クラト
クシャールンド首領家の王子で、アトの兄。黒翼剣軍の反乱の際に偽ギュスタフに捕らえられ、妖精との強引な融合を施された傀儡となる。最後は偽ギュスタフの死の影響で移植された部位が成長・暴走したため、ケインツェルによって命を絶たれた。
シャーレン
クシャールンド首領家第二王女。アトとクラトの姉。強い「妖精の血」の力を宿し、亜人のように長い耳を持つ。近隣の豪族と同盟を結ぶべく交渉に出向いた所をシュテムヴェレヒ方伯の軍に連れ去られ、不老不死のための実験台にされていた。ケインツェルたちによって救出され、ヴィドと共に故郷に戻る。
ラシェブ
辺境伯領と七英雄領を隔てる国境の町リエルデ・フェレムを支配する「僧院」の僧兵長。密航者に対する無慈悲な処刑を執り行う一方で、越境のための「徳」と称した賄賂を要求する卑劣漢。処罰する際の口癖は「遺憾だ」。危険に対しては他人を盾にした上で真っ先に逃げを撃つタイプで作中では数少ないギャグキャラに落ち着いた。
現在はユラス・アプラスで知り合った小悪党、ヴァルゲとポレヴィークらと共に行動しており、レペロントに取り入ろうとイシューディーンの領地に潜入。天槍城を発見するが捕らえられる。自身は大僧正、他の二人を正・副の僧兵長とした教団を自称している。
大僧上
僧院の最上位に位置する人物。元は一介の商人であったが、23年前の「千の石槍」の出現を間近で目撃し「真理を悟った」として信者を集め僧院を築き上げる。真の目的は通行税の徴収によって私腹を肥やすことにあったと思われる。ケインツェルによって「千の石槍」が崩壊した際、ラシェブの盾にされて崩れ落ちる僧院の瓦礫に潰された。
ラングザッツ
妖精を封じた「魔剣」を操る剣士。フリーの用心棒をしているが、金額分以上の仕事はしない。アルテアと面識があるようだが…。
「僧院」ではラシェブに雇われてケインツェルたちと戦った。そして英雄戦争以降は蘇ったグレンに雇われている。
ゼフィ
ピーピがモランで出会ったミルエル・ミラエル族の少年。家族と共にアルテアの伝手で密航し辺境から逃げてきた。ファーゴに両親を殺され天涯孤独となってしまうが、彼はその事実を知らずにいる。
ファーゴ
方伯軍千人隊長。シュテムヴェレヒの下で、悪漢を使い若い亜人種の娘を集めていた。右腕から伸びる触手によって死体を操るという能力を持つ。かつては正しく志ある若者であったが、方伯に植えつけられた「肉の呪い」のため逆らうことができない。その為に次第に人格が歪んでしまった。
ゲランペン
方伯軍百人隊長。義兄弟の間柄であるファーゴを「お兄ちゃん」と呼び慕う。大柄で髭面、スキンヘッドの強面であるが心は純情乙女で正義感が強い。信頼していたファーゴの本性に絶望し、ケインツェルたちに手を貸した。
自称「神護りの戦妖精」。ファーゴにとりついていた触手に取り付かれたために生き延び、生きながらえた命を罪滅ぼしに使うことを心に決める。その後はピーピたちに同行する。
ルディフト
アシュリートの育ての親である刀鍛冶の馴染。「剣の館」師匠であり、黒翼を編み出した達人。アシュリートの前の「刀匠」。
グーリェ
「剣の館」師範の女性。少年時代のアシェリートに剣術を教えた人物であり、アシェリートからも慕われていた。アシェリートの才能を高く評価し、彼のことを「剣の館」を継ぐべき人物として闇の異邦封印の使命からの帰還を待っていた。刃匠の名を継いだアシェリート逆臣として討たれたことで流派は潰えかけていたが、師範となった彼女の尽力で立て直す。
アシェリートに対しては弟子以上の感情を抱いていたようで、今でもアシェリートの無実を信じ、彼を想い続けている。そのため、七英雄となったグレンを敬愛している一方、内心ではアシェリートを討った彼のことを殺したいほど憎んでいる。
ベッツエガルム
“無敗”のふたつ名を持つ傭兵で攻城戦を得意とし、個人の武勇より傭兵団全体を活用する用兵の妙をわきまえた“城攻め屋”。レベロント軍に雇われて選帝侯のいる城を攻めるが、アトたちに妨害される。かつての大戦時に「槍の勇者たち」に命を救われ、その時に心服したアシェリートに仕える事を誓っており、ケインツェルの正体に気付いた際には涙を流して「遅かったじゃねえか」と文句を言いつつも投降、攻めていた選帝侯側に付いた。
エギム
帝国軍の古参兵。かつての大戦を経験しており、“闇の異邦”から受けた毒を魔導紋で押さえることで辛うじて延命している。レベロントの策が無謀だとわかっているが一兵士としての立場から従いつつも味方の犠牲を増やさぬように戦っている。
グエルード
レベロントの正妻の子(末っ子、六男)。兄弟の中では柔弱な性格だが父や兄たちからは将来を嘱望されている。だが本人は自身の性格にコンプレックスを感じていた。選帝侯のいる城を攻めるが、ケインツェルたちの活躍による自身の敗北を認められず特攻して散った。
ガイエラル、ログズナー、バラント、スパズ
レベロントの子供たち。父親に従って厳しい支配と弾圧を行っていた。
長男・ガイエラルは最後まで父に従った。裏切ったログズナーたちから父・レベロントを守ろうと魔導で自身を怪物化して戦うが、スパズに殺された。
三男・ログズナーは過去の負い目からくる妄執に捕らわれ、強行すぎる策を進める父に批判的だったが、敗北を認めず妄想に捕らわれた父親を見限ってグレンに従う道を選ぶ。
四男・バラントは自分たち兄姉と違い、平和な時代を担える者としてグエルードに期待していたが、彼のコンプレックスを察する事は出来ず、死を選んだ弟を「最後まで軟弱だった」と語りながら涙した。レベロントが死んでからは残存した軍の主力として戦っている。
五女・スパズはログズナーと共に父親を見限ってグレンに従う道を選ぶ。かなり太めの中年女性だったが、魔導による改造を施されて筋肉質ながら妙齢の美女と大幅に姿が変わる。右腕に強靭な爪と鱗を持つようになり、その力を以て戦う事に喜びを見出している風もある。
ラルゴールIII世
サーラント帝国157代皇帝。
アシェリートの実力を買っており、20年前の使命の旅に出る時には実の息子であるグレンの事を頼んでいる。アシェリートも彼を敬愛していた。
現在でも「たとえ七英雄でも罪を犯したならば裁かねばならん」と発言する、グレンに“英雄殺しの逆賊”討伐を厳命するなど果断な所を見せていた。
しかしグレンがケインツェルに討たれたためにすっかり無気力となってしまい、レべロントの専横を許してしまう。
月読の巫女(つきよみ の みこ)
帝国において「天律」と呼ばれる流れを読み、予知を行う巫女。彼女が帝国に訪れる「災厄」と「新たなる英雄」を予知した事から物語は始まる。

用語解説[編集]

神託暦
ユーベルブラットの世界で使われるの名称。「偉大なる始祖が神々から大地を託されし時」を紀元としたことが、その名の由来となっている。
七英雄
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、闇の異邦(ヴィシュテヒ)を封印し帝都に凱旋した7人の若者のこと。英雄として崇められ、帝国各地に領地を与えられ、にらみを利かせている。彼らの存在が「帝国全体の平和」に貢献している事は事実だが、裏では辺境の亜人を不老不死を目的とした実験材料としてさらったり、度を越した恐怖政治を行う者もおり、帝国の末端や当事者にとっては見過ごせない問題も起こしている。
Barestar バレスター砲台伯
Güllengurv ギュレングルフ月読伯
Nirgenfeled ニルゲンフェレト城伯
Glenn グレン侯
Lebellond レベロント侯
Ischüdien イシューディーン竜伯
Schtemwölch シュレムヴェレヒ方伯
裏切りの槍
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、敵に寝返り他の7人に討たれたとされている4人。実際には怖じ気づいた7人を置いて封印に成功した者達であり、帰還途中に出会った7人に裏切られて惨殺された。
Ascheriit アシェリート
Kfer クファー
Güsstav ギュスタフ
Krentel クレンテル
尊き未帰還者達
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、途中で命を落とした3人。
Ergnach エルグナッハ
Ediem エディエム
Lanbard ランバルト
闇の異邦(ヴィシュテヒ)
かつて帝国に対し侵略をくりかえした闇の軍勢。現在は死の森の門が封印されているが、辺境地などに生き残りがいる。
黒衣の者たち
帝国の影で七英雄をはじめとした諸侯に魔導技術を売りつけている謎の集団。
七槍騎士団
七英雄グレン侯直属の戦士集団。正式な騎士団ではないものの、帝国最強の呼び声も高い。大部分はグレンの復活と共に「天槍騎士団」に移ったが、ロズンやエルサリアなど、独自の行動をとる者たちもいる。
千の石槍
辺境伯領と七英雄領の境にある巨大な壁。闇の異邦からの侵攻から防ぐために、尊き未帰還者達の一人、エルグナッハの命を懸けた術式陣によって作られた。大戦後は辺境と帝国中央との自由な通行を妨げる障壁となり、リエルデ・フェレムの僧院が私腹を肥やす元となっていた。ケインツェルによって破壊された。
黒翼剣軍
辺境を荒らしていた反逆者たち。指導者の4人は元々辺境の小領主だったが、「闇の異邦」との大戦後に勃発した内戦において皇帝と七英雄が内戦の責任を自分達に押し付けて追放したのを恨み、「闇の異邦」の魔導の業に手を染め、「裏切りの槍」の名を騙って反乱を起こす。帰還したケインツェルに討たれた。
刃匠(ブラットマイスター)
帝国での当代最強の剣士に与えられる称号。ルディフトの後継者となったアシェリートが討たれてから、長らく空位の状態が続いていた。イェブルでの騒動の後、元奴隷騎士のイクフェスが正式に新たな後継者となった。なお、作中に登場する刃匠は全員ルディフト流剣術「剣の館」出身である。
黒翼
ルディフト流剣術の奥義。歴代の刃匠がルディフト流の剣士であるためか刃匠のみが使うことのできる奥義と称されている。
膨大な殺気を解き放つことで黒い幻影(破壊の黒風)を生み出し、怯んだ相手に必殺の一撃を見舞うという、いわゆるフェイント系の技である。「八の基本型」を極め、肉体と精神の枷を外した(純粋な心を持つ)者でなければ会得することはできない。実際には「八の基本型」のすべてを相手に叩き込むもので、純粋に強力な一撃というわけではなく、対人戦においてその真価を発揮する。
ケインツェルにとって「黒い剣」と並ぶ切り札であるが、同時に妖精と融合したまだ不安定な身体に多大な負担をかける両刃の剣でもある。また、彼の黒翼は師であるルディフトのものとは違い、動きの中にクファーから習ったイェブル流剣術を取り入れ、独自のアレンジが加えられている。
後にイクフェスもケインツェルとの一騎打ちの際に黒翼を会得した。イェブル流剣術も習得していることから、彼の黒翼もケインツェルと同じ型であると考えられる。
黒い剣
その名の通り、ケインツェルの右腕から生み出される巨大な黒い剣。四本まで生み出すことができる。これをどのようにして手に入れたかは明かされておらず、その禍々しい造詣や刻まれた文字は、闇の異邦の魔導兵器に通じるものがある。使用には多大な負荷が伴うらしく、月の光の無い場所では数回しか使えない。劇中では、物量で圧された際の状況打破や雷の吐息を防ぐなど、汎用性が高い。ちなみに、黒い剣で破壊できなかった物は未だ登場していない。
妖精鉱の剣
かつて刃匠・アシェリートが用いた剣。現在はイクフェスが所有している。持つ者の感覚を砥ぎ澄まし、技の冴えを高める。
元々はアシェリートが拾われた際に携えていた「妖精鉱」で、養父である鍛冶屋がどうやっても加工出来なかった代物を幼いアシェリートが養父の鍛冶仕事を「見よう見まね」でなぞり作り上げた剣。
竜の口
方伯の城に配備された魔導兵器。吸い込んだ大量の湖水を陣核で超過熱・超圧縮し“妖精黒体”として撃ち出す(雷の吐息)。元は「闇の異邦」から鹵獲したものでアシェリートとシュテムヴェレヒによって修理された後、「闇の異邦」や方伯への反乱分子など数多くの敵を撃破した。
選帝侯
皇帝を選出する権限を持つ諸侯。新皇帝を選出することで、現皇帝を廃立する権限をも持っているようである。

単行本[編集]

出典[編集]

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  1. ^ 『朝日新聞 グローブ第57日号』2011年2月7日刊行 [1] 2012年9月27日閲覧。
  2. ^ グレンは帝国各地の内乱などの平定に尽力したが、イェブルに関してはクファーになすりつけた罪状を理由にイェブナレス家を追放し軍閥同士の対立の原因となっていた。

外部リンク[編集]