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アンセル・キース
Ancel Keys
生誕 Ancel Benjamin Keys
(1904-01-26) 1904年1月26日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国コロラド州コロラド・スプリングス
死没 2004年11月20日(2004-11-20)(100歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス
市民権 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 人間栄養学、公衆衛生学、疫学
研究機関 ミネソタ大学
出身校 カリフォルニア大学バークリー校
スクリップス海洋研究所
キングス・カレッジ
指導教員 アウグスト・クローグ(August Krogh)
配偶者 マーガレット・キース(Margaret Keys)
プロジェクト:人物伝
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アンセル・ベンジャミン・キース英語: Ancel Benjamin Keys, 1904年1月26日 - 2004年11月20日)は、アメリカ合衆国の生理学者、ミネソタ大学生理学教授。ヒトの普段の食事が健康にどのような影響を及ぼすのかを研究していた。食べ物に含まれる飽和脂肪酸動物性脂肪)が心血管疾患(Cardiovascular Disease)の原因となるので避けるべきではないか、との仮説を立てた。公衆衛生機関[1][2]、体系的批評[3]、各国の国立衛生機関[4][5][6][7][8][9][10][11]が発表し、推奨している食事療法の内容は、キースが立てたこの仮説を裏付けとしている。また、キースは1944年から1945年にかけて実施した『ミネソタ飢餓実験』(The Minnesota Starvation Experiment)で人間の飢餓状態についても研究し、1950年には『ヒトの飢餓の生物学』(『The Biology of Human Starvation』)を出版した。キースは心血管疾患における疫学(Epidemiology)についても観察試験で吟味した。第二次世界大戦のころには兵士たちに向けて作った食事『K-ration』(「ration」は「配給食」の意味)を考案し、妻・マーガレットとともに地中海食(The Mediterranean Diet)を普及させた。

科学、食事、心身の健康は、仕事や私生活を問わず、生涯に亘って彼の研究題材となった。

アンセル・キースの写真

生い立ちと教育

1904年コロラド州コロラド・スプリングスにて、父ベンジャミン・パイアス・キース(Benjamin Pious Keys, 1883 - 1961)と、母キャロリン・エマ・チェイニー(Carolyn Emma Chaney, 1885 - 1960)の息子として生まれた。キャロリンの兄は俳優、ロン・チェイニー(Lon Chaney, 1883 - 1930)である[12]1906年、一家はカリフォルニア州サンフランシスコに移住するが、この年の4月18日の早朝に同地で大地震が発生した[13]。大災害からまもなく、一家はバークリー(Berkeley)に移住し、アンセルはここで育った。スタンフォード=ビネ知能検査(The Stanford-Binet IQ Test)を創案した心理学者のルイス・ターマン(Lewis Terman)は、アンセルを「知的な面で才能がある」と評した[13]。アンセルは高校を辞め、臨時の仕事としてアリゾナ州でバット・グアノ(Bat Guano, コウモリのふん、肥料に用いる)をシャベルで搔き集めたり、コロラド鉱山で「パウダー・モンキー」(Powder Monkey, 「爆発物を運ぶ者」の意味)として働いたり、丸太小屋でも働いていた[14]。中等教育のみを修了したアンセルは、1922年カリフォルニア大学バークリー校(The University of California, Berkeley)に編入した[14]

バークリー校でのキースは当初は化学を学んでいたが、不満を抱いて休暇を取り、アメリカン・プレズィデント・ラインズ(American President Lines)に乗船して操機手として働いた[14]。その後バークリー校に戻ったキースは、専攻を別に切り替え、教養学士を取得して卒業した。1925年には経済学士および政治学士、1928年には動物学修士号を取得した[14]

ほんのわずかな期間、キースは小売企業として知られるウールワース(Woolworth)の管理職研修生として働いていたが、その後、ラ・ホーヤ(La Jolla)にあるスクリップス海洋研究所(The Scripps Institution of Oceanography)にて特別研究評議員として働くようになり、研究者の道に戻った。バークリー校にて海洋学生物学を専攻し、1930年には博士号を取得した[14]。その後、全米研究評議会(The National Research Council)の特別研究評議員の資格を授与されたキースは、デンマークコペンハーゲンにある動物生理学研究所にて、アウグスト・クローグ(August Krogh)のもとで2年間学んだ[14][15]。キースはこの2年間で魚の生理学について研究し、これを題材とした論文を多数寄稿している[15]。特別研究評議員としての仕事を終えたキースはすぐにケンブリッジ大学(キングス・カレッジ)に向かうことになるが、ハーヴァード大学で教鞭を執るにあたって休暇を取った。その後ケンブリッジに向かったキースは1936年に生理学の博士号を取得した[14]

学術研究

初期の生理学研究

スクリップス海洋研究所で特別研究評議員として働いていたキースは、統計回帰分析(Statistical Regression Analysis)を用いることで魚の体長から体重を推定していた。当時、生物統計学(Biostatistics)においてこの方法を採用したキースはそれの草分け的な存在であった[16]。アウグスト・クローグのもとで学んでいたキースは魚の生理学について研究し、魚が(えら)を通して塩化化合物の排泄作用を制御し、それによって体内のナトリウム(Sodium)の量を調節する証拠を示した灌流(「かんりゅう」, 血管を経由して器官や組織に液体を注入する)の技術を開発した[15][17][18]。キースはこの灌流法を用いて、アドレナリン(Adrenaline)とヴァソプレッスィン(Vasopressin)が鰓液の流れ[19]と魚の体内における浸透圧の調節に及ぼす影響について研究した[20]。また、キースは機能が向上したケルダール法(Kjeldahl Method)の装置も考案した。クローグによる以前の設計を改良し、生物学の標本内部の窒素の含有量の迅速な測定を可能にした[21]。これはバッタ類の卵のタンパク質の含有量[22]や、ヒトにおける貧血といったさまざまな活量を測定するのに役立つことが分かっている[23]。ハーヴァード大学疲労研究所(The Harvard Fatigue Laboratory)にいたころ、キースはケンブリッジ大学の生理学者で自身の指導教官、ジョゼフ・バークロフト(Joseph Barcroft)が、テネリフェ島(Tenerife, スペイン領カナリア諸島にある島)にある最高峰・テイデ山(Pico del Teide)に登頂したこと、その後の彼の報告に感化された。キースはアンデス山脈への遠征についての草案をまとめ、この研究は高地で働いているチリ人の鉱山労働者に有意義であるかもしれない、と奨めた[14]。その許可を与えられたキースは1935年に一団を結成し、高血圧の人体への影響[12]、高地が人体に与える影響について研究した[13]。キースは9500フィート(約2900メートル)の高地で2~3ヶ月過ごし、その後、15000~20000フィート(4572~6096メートル)の高度で5週間過ごした[14]。キースは「ヒトは中高度には適応できたとしても、高度にどれだけうまく適応するか、を予測できる方法は見出せなかった」と記録している。これは圧力制御が実用化される前の時代の操縦士候補生にとっては障害となる可能性がある[24]。キースはこれらの研究を通して、概要で「環境変化に対する人間の生理学的適応は事前予測が可能な現象だ」と述べた。血圧や安静時の心拍数といった要因が「人間一人一人に見られる永劫不変の特質である」と考えられていた時代において、これは斬新な考え方であった[25][26]

K-ration』の開発

K-ration』の一例。一つ一つの食べ物が収納できる箱形に設計され、兵士たちが携帯できるように作られた(1943年1月1日、アメリカ陸軍通信部隊による撮影)。

1936年ミネソタ州ロチェスター(Rochester, Minnesota)にあるメイヨー財団(The Mayo foundation)で働かないか、との申し出を受けたキースは、ここで生理学の研究を続けた[24]。1年後、キースは「ここでの学術研究は、臨床的な『医療行為』の二の次であり、ブリッジ遊びに耽っている『知力の面で窮屈な環境』である」と言い残してメイヨー財団を去った[14]。メイヨー財団を去ったのち、1937年ミネソタ大学(The University of Minnesota)で生理学を教える[27]にあたり、同大学にて生理学衛生研究所(The Laboratory of Physiological Hygiene)を設立した。人類生物学(Human Physiology)における初期の研究では、キースはアメリカ陸軍需品科(The Army Quartermaster Corps)での軍務に服した。最長2週間に亘り、携帯が可能で、必要なだけの摂取エネルギーを提供し、腐敗が起こりにくい配給食の開発に取り組んだ[28]。この配給食の開発には動揺が起こった。キースの同僚であるエルスワース・バスカーク(Elsworth Buskirk)は以下のように述べた。

アメリカが第二次世界大戦に突入するかと思われたとき、キースはシカゴにある需品食品容器研究所(The Quartermaster Food and Container Institute)に向かい、非常用糧食(Emergency Rations)について尋ねた。「そんなことは専門家に任せておけばいい」と言われた、との話だ。だが、キースはその忠告を無視してウィリアム・リグリー・ジュニア(William Wrigley Jr.)の事務所に向かい、非常用糧食の開発資金として10000ドルを獲得した。その後、キースはスナック菓子会社のクラッカー・ジャック社(Cracker Jack Company)に向かった。彼らは資金は提供してくれなかったが、防水性能のある小箱の構想をキースに教えた。その結果、密封状態のクラッカー・ジャック・ボックスに収納された配給食ができあがった[28]

配給食の基本設計が完成した直後、アメリカ海軍は、間に合わせのもので携帯可能な食料源たり得るどうかを決定するため、全米研究評議会を通じて水兵向けのK-rationの試験に資金を提供した。ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)にある食料雑貨店から、堅パン、ドライソーセージ、ハード・キャンディー、チョコレートを調達した[13]。最終的な配給食はキースが考えていたものとは異なっていたが、収納される食料の多くはキースが最初に考案したものが採用された[14]。配給量は28オンス(約794グラム)であり、1日につき、3200kcalの摂取エネルギーを摂取できる[27]。『K-ration』の名前はキースとは無関係である、と主張する情報源もあるが[29]、多くの歴史文献は「『K-ration』はキースの名に因んで付けられた」とする主張を支持している[14][28][30]。この配給食は好結果を示し、一時的な栄養補給以上の目的で使用されることが多くなり、軍事栄養における重要な食料品となった[14][28]

ミネソタ飢餓実験

第二次世界大戦中、キースは別の研究と並行する形で、テストステロン(Testosterone, 男性ホルモンの一種)が筋肉の機能に及ぼす影響[31]や、十分な栄養を与えられた兵士の技能向上剤としてのビタミン補給[32][33]といった、軍隊が興味を示しやすい人間の身体能力に関するさまざまな分野の研究に従事していた。キースが仲間の研究者とともに、広汎に及ぶ飢餓を適切に治療する方法を知ることの重要性について認識したのは戦時中のことであった。単なる過剰供給は誤りであり、再補給は失敗に終わる可能性があるからである[28]。飢餓の生理学についての見識を深めるため、キースは36人の良心的兵役拒否者(Conscientious Objector)を対象とした飢餓実験を実施した。当時、良心的兵役拒否者は強制収容所に収容されており、公務員と同じような存在であったことから、一般市民から志願兵を募集するよりも簡単であった[25][28]。当初の選抜徴兵応召者は400人であったのが36人に減らされ、そのうちの32人が実験を完了させた[34]

研究の主な焦点は3つあった。代謝における指針を3ヶ月間設定し、飢餓が志願兵の身体に及ぼす身体的および精神的影響について半年間研究し、異なる再補給の実施要綱が志願兵の身体に及ぼす身体的および精神的影響、これらを3ヶ月かけて研究した[25]。志願兵たちは、最初の3ヶ月で3200kcal分の食事を取り続け、次にウォーキングのような身体活動に従事して消費エネルギーを増やし、1日の摂取エネルギーを1800kcalに減らした。最後の3ヶ月間は再補給期間であり、志願兵たちは4つの班に分けられ、それぞれで摂取エネルギーが異なっていた[25]。実験の最終結果が公表される前に第二次世界大戦は終結したが、キースは自身が発見した事柄についてヨーロッパ中の国際救援機関に送付し[14]、全2巻、1385ページにおよぶ『ヒトの飢餓の生物学』(『The Biology of Human Starvation』)を1950年に出版した[25][28]

七ヶ国共同研究

一見直感に反する事実が、食事療法と心血管疾患(Cardiovascular Disease, CVD)に対するキースの関心を幾分か刺激した。沢山食べる人は心臓病の罹患率が高く、戦後のヨーロッパでは食料の供給が減少したのが原因で心血管疾患の罹患率が急激に低下した、と見られた。キースはコレステロールと心血管疾患の相関関係について仮定し、ミネソタ州に住むビジネスマンについて研究を始めた(心血管疾患についての未来を見据えた研究は初である)[35]1955年ジュネーヴにある世界保健機関で開催された専門家会議の場で、キースは「食べ物に含まれる脂肪が心臓病の原因である」とする自身の仮説を「普段どおりの厚かましさと無遠慮な態度」とともに提示した[36][37]。キースは心臓病による死亡と、ある6つの国での食事に含まれる脂肪の多さとの相関関係を提示した[38]。キースの理論的根拠と結論は、2人の疫学者から強く批判された[39]。キースの立てた仮説を補強するかと思われた最初の事例研究がナポリでの研究であった[40]。100歳以上の高齢者が南イタリアに集中している点に気付いたキースは、動物性脂肪(Animal Fat)の摂取量が少ない地中海食(Mediterranean Diet)は心臓病を予防し、それを多く含む食事は心臓病の原因となる、と仮定した。これはのちに「七ヶ国共同研究」(The Seven Countries Study)と呼ばれる長期観察研究を開始するのに役立った。これは「血清コレステロールが個人・集団を問わず、冠状動脈性心臓病(Coronary Heart Disease)による死亡率に強く関係していることを示す」と思われている[41][42]。キースは、「肉や牛乳に含まれる飽和脂肪酸は有害であり、植物油に含まれる不飽和脂肪酸には有益な効果がある」と結論付けた。キースによるこの言葉は、「飽和か不飽和かを問わず、全ての脂肪は有害である」と見なされるようになった1985年頃から20年秘匿され続けてきた。これは「肥満を惹き起こす原因は食べ物に含まれる脂肪である」とする仮説によって推し進められてきた[43]根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)を推進するコクラン共同計画(Cochrane Collaboration)が2015年に発表した体系的批評と展望研究(Meta-Analysis)では、飽和脂肪酸の摂取量を減らすと心血管疾患を起こす危険性が低下する、としたうえで、「心血管疾患の危険のある人とそうでない人への心添えとして、飽和脂肪酸の摂取を半永久的に減らし、不飽和脂肪酸に置き換えて食べる必要がある」と結論付けた[3]

キースは1972年にミネソタ大学を退職した。彼の教え子で医学博士のヘンリー・ブラックバーン(Henry Blackburn)は生理学衛生研究所の所長に就任した[44]。ブラックバーンは心臓病の原因と予防のための食事療法や生活習慣が果たす役割についての研究を続けた。この研究部門は、1970年代から1980年にかけての多機関共同試験(Multicenter Trial)や、ミネソタ州での追跡調査(Surveillance)と予防的介入(Preventive Intervention)における集団戦略(Population Strategy)において主体的な役割を果たした。

キース方程式

キースは飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸が血清コレステロールの濃度に及ぼす影響を予測した。キースは、飽和脂肪酸を摂取したときの総コレステロール値は、多価不飽和脂肪酸を摂取したときの2倍になり、LDLコレステロール値も増加させることを発見した[45]

血清コレステロール濃度の変化
(mmol/l) = 0.031(2Dsf − Dpuf) + 1.5Dch
Dsfは、飽和脂肪酸の摂取で得られるエネルギーの割合の変化、Dpufは多価不飽和脂肪酸の摂取で得られるエネルギーの割合の変化、Dchは食べ物から摂取するコレステロールの摂取量の変化を示している[46]

砂糖・脂肪論争

クイーン・エリザベス大学(Queen Elizabeth College)の栄養学教授、ジョン・ユドキン(John Yudkin)は、1972年に『Pure, White and Deadly』を出版した。ユドキンはこの本の中で、冠状動脈血栓症(Coronary Thrombosis)、虫歯肥満糖尿病肝臓病痛風・・・これらの疾患に砂糖が関与していることを示す証拠を提示している。ユドキンはこの本の第一章を以下の結びの言葉で終えている。

I hope that when you have read this book I shall have convinced you that sugar is really dangerous.」(「この本を読み終えたとき、読者の皆さんの中で『砂糖は間違いなく危険である』との確信が強まりますように」)

砂糖業界や加工食品の製造業者たちにとって、この本は到底受け入れがたいものであった。

キースは以下のように述べ、ユドキンをこき下ろした。

冠状動脈性心臓病(Coronary Heart Disease, CHD)を惹き起こす原因は砂糖にあるとし、その重大な影響について主張するユドキンには、理論的根拠も、実験に基づく証拠による裏付けも無いことは明白である。冠状動脈性心臓病を患っている人は砂糖を過剰摂取している、とする彼の主張はどこにも見当たらず、本人の主張よりも遥かに上質な方法論もしくは大規模な研究で反証されている。そして、ユドキンが提示した「証拠」は人口統計学(Population Statistics)と年次推移に基づいており、最も初歩的な批判的考察にも耐えきれないだろう。だが、宣伝活動は繰り返され続ける・・・[47]。残念なことに、ユドキンによる見解は、とある商業的利益に訴えかけるものであり、信用を失っているこの主張の宣伝は、多くの国に住む一般大衆に向けて、周期的に何度も吹聴され続けるのだ[48]

ユドキンによる砂糖有害論に不信感を抱かせるキースの試みは奏功した。砂糖に対する警告は、1995年にユドキンが亡くなるまで真剣に受け止められることは無かった。ユドキンが示した砂糖の危険性とその証拠は、2013年1月に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』(The British Medical Journal)で発表され、集中的に取り上げられた[49]

カリフォルニア大学の教授で神経内分泌学者、ロバート・ラスティグ(Robert Lustig)は、2009年に『Sugar:The BitterTruth』(『砂糖:受け入れがたい真実』)と題した講演を行った。この講演はカリフォルニア大学が動画にして公開している。ラスティグはユドキンによる主張を再確認し、キースによる冠状動脈性心疾患に対する砂糖と脂肪の回帰分析に対して「USSコールに生じた穴」(※2000年10月12日アメリカ海軍ミサイル駆逐艦USS Cole』が自爆攻撃を受けた際に船体に開いた穴)と表現し、会場に向けて「(アンセル・キースの主張が虚偽であることを)私はすっぱ抜こうとしているのか?」と問うた[50]

キースの影響力

1972年に発表されたある記事の中で、キースは共著者とともにアドルフ・ケトレー(Adolphe Quetelet)が考案した「体格指数」(Body Mass Index, BMI)を、肥満に関するさまざまな指標の中で最も優れたものである、と宣伝した[51]。その後、アメリカ国立衛生研究所(The National Institutes of Health)が1985年にこの指数を踏まえて肥満を定義するようになった[52][53]

キースは「介入主義者」と見なされていた。キースは普段から一時的な流行食(Food Fads)とは距離を置いており、「ほどよい低脂肪食」の推定利益を精力的に宣伝していた[54]

食事療法の科学に大きな影響を与えたキースは、1961年1月13日に発行されたタイム誌の表紙を飾っている。

晩年と死

キースがメイヨー財団で働いていたころ、のちの妻となる女性、マーガレット・ヘイニー(Margaret Haney, 1909 - 2006)と出会い、彼女を臨床検査技師として採用した[28]1939年に2人は結婚し、キャリー・ド・アンドレア(Carrie D'Andrea)、ヘンリー・キース(Henry Keys)、マーサ・マクレイン(Martha McLain)を儲けた[55]。キャリーは臨床心理士に、ヘンリーは癌を研究する内科医となった。マーサは1991年に盗人に射殺された[56]

キースは妻とともに3冊の著書を執筆し、そのうちの2冊はベストセラーとなった[57]。彼らはナポリから南へ100マイル離れた場所に別荘「ミネレア」(Minnelea)を建てるだけの印税収入を獲得した[58]。夫婦は世界各国を旅して回り、日本南アフリカにも訪れ、自身の七ヶ国共同研究における研究資料の一環として記録に残した[14]

1961年3月、キースはアメリカのテレビ難組『To Tell The Truth』に『K-Ration』の開発者として出演した。番組に出演した4人の回答者のうちの2人は、本物のキースを見抜けなかった[59]

キースは1963年に『Commander, Order of the Lion of Finland』(『フィンランド獅子勲章』)、1967年に『The McCollum Award from the American Society of Clinical Nutrition』(『アメリカ臨床栄養学会マルコム賞』)、2001年にはミネソタ大学名誉理学博士号の称号を授与された[60]

101歳の誕生日を迎える2か月前の2004年11月20日、キースは亡くなった[57]。死の1年前、キースはイタリア南西海岸のチレント(Cilento)地方にある村、ピオッピ(Pioppi)を去った。ここはキースが28年間暮らしていた場所でもあった[61]

キースは無神論者(Atheist)でもあった[62]

キースに対する批判

キースに対して批判的な医師や栄養士もいる[63]。キースによる「七ヶ国共同研究」は、コレステロール(Cholesterol)、脂肪、これらを豊富に含む食べ物がいかに危険であるか」との医学的見解へとつながったが、高脂肪な食事を取っている国(フランスデンマークノルウェー)では心臓病を患う国民の数が少ない点、チリのように低脂肪食を取っていて心臓病を患う国民の数が多い国の事例を無視している、と批判されている[64][65]。しかしながら、アメリカ心臓病学会(The American College of Cardiology)とアメリカ心臓協会(The American Heart Association)は「心臓病を予防するために飽和脂肪酸(Saturated Fat)を一価不飽和脂肪酸(Monounsaturated Fat)および多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated Fat)に置き換えて食べるように」との指針を発表し、推奨している(2019年度)[66]

2017年8月1日、『The True Health Initiative』(『本物の健康構想』)は、『Ancel Keys and the Seven Countries Study: An Evidence-based Response to Revisionist Histories』(『アンセル・キースと七ヶ国共同研究:歴史に対する、歴史再審論者による証拠に基づく返答』)と題した65ページに亘る白書を公開し、そこでは、炭水化物を制限する食事法の支持者たちが「杜撰」「思い違い」と感じ続けてきたものを正している[67]。この中では4つの欺瞞を論駁している。「研究者たちに都合の良い結果を踏まえたうえで選ばれたり、除外された」「フランスはわざと除外されている」「四旬節の最中のギリシアでの食事の資料は歪曲されている」「砂糖は冠状動脈性心臓病の原因であるとは見なされていない」。

脂肪の摂取

「心臓病を惹き起こすのは何か?」について、ユドキンは「砂糖が原因である」と主張し、キースは「食べ物に含まれる脂肪が原因である」と主張し、両者は激しく対立した。この論争では、「脂肪が原因である」というキースの主張が通り、「砂糖が原因であるというユドキンの主張は通らなかった。のちにアメリカ合衆国政府は「脂肪の摂取を減らし、炭水化物の摂取を増やせ」とする食事の指針を発表し、国民に呼びかけるが、肥満・糖尿病・心臓病を患う国民の数は増加の一途を辿るようになった。

5大陸、18か国に住む135335人を対象に行われた大規模な疫学コホート研究(Epidemiological Cohort Study)の結果が、2017年に『The Lancet』にて発表された。これは炭水化物の摂取量および脂肪の摂取量と、心血管疾患に罹る危険性およびその死亡率との関係についての調査であった。これによると、炭水化物の摂取を増やせば増やすほど死亡率は上昇し、脂肪の摂取を増やせば増やすほど死亡率は低下するという結果が示された。とくに、飽和脂肪酸の摂取量が多ければ多いほど、脳卒中に罹る危険性は低下した。また、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸を問わず、脂肪の摂取は死亡率を低下させ、心筋梗塞および心血管疾患の発症とは何の関係も無かった[68][69]

飽和脂肪酸の摂取は、冠状動脈性心臓病脳卒中心血管疾患の発症とは何の関係も無く、飽和脂肪酸がこれらの病気と明確に関係していることを示す証拠は無い[70]

また、多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やし、飽和脂肪酸の摂取量を減らしても、心血管疾患の発症の危険性は減らせない[71]

1960年代以降、「動物性脂肪を豊富に含む動物性食品は、健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と言われるようになると、栄養学者たちは、「動物の肉には、生命維持に欠かせない全ての必須アミノ酸(Essential Amino Acids)、全ての必須脂肪酸(Essential Fatty Acids)、13種類ある必須ビタミンのうちの12種類がたくさん含まれている」という栄養学上の事実の指摘を控えるようになった[72]ビタミンDビタミンB12の両方を含む食べ物は「動物性食品だけ」である[72][73]

ユドキンは「肥満や糖尿病、心臓病を惹き起こす犯人は砂糖であり、食べ物に含まれる脂肪はこれらの疾患とは何の関係も無い」と断じており、体重を減らしたい人に向けて、炭水化物が少ない食事療法を奨めている。

著書

  • Keys, A.; Brozek, J.; Henschel, A.; Mickelsen, O.; Taylor, H. L. (1950). The Biology of Human Starvation (2 volumes). University of Minnesota Press. ISBN 978-0816672349 
  • ; Keys, Margaret (1959). Eat Well and Stay Well. Doubleday. LCCN 59--6361 
  • ; Keys, Margaret (1967). The Benevolent Bean. Doubleday. LCCN 67--12853. https://archive.org/details/benevolentbean00keys 
  • ; Keys, Margaret (1975). How to Eat Well and Stay Well the Mediterranean Way. Doubleday. ISBN 978-0385009065 
  • (1980). Seven Countries: A Multivariate Analysis of Death and Coronary Heart Disease. Harvard University Press. ISBN 9780674497887. https://archive.org/details/sevencountriesmu0000keys 
  • (1999). Adventures of a Medical Scientist: Sixty Years of Research in Thirteen Countries. memoir, privately published. ISBN 9780967207209 [60]

参考

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  2. ^ Global Nutrition Policy Review 2016–2017”. World Health Organization. p. 55. 2019年9月23日閲覧。
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  9. ^ Health Diet”. India's Ministry of Health and Family Welfare. 2019年9月23日閲覧。
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外部リンク