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アラビカコーヒーノキ
分類
: 植物界 Plantae[1]
: 被子植物門 Magnoliophyta[1]
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida[1]
: アカネ目 Rubiales[1]
: アカネ科 Rubiaceae[1]
: コーヒーノキ属 Coffea[1]
: ロブスタコーヒーノキ C. arabica[1]
学名
Coffea arabica
アラビカコーヒーノキの花。
まだ青い豆。
赤く熟した豆。収穫期。

アラビカコーヒーノキ学名:Coffea arabica)は、エチオピアに起源をもつとされるアカネ科植物である[1][2][3]。世界に流通しているコーヒーの中でもアラビカコーヒーノキが最もよく飲まれている品種であり、本種に次いで流通量第2位のロブスタコーヒーノキと合わせると世界全体のコーヒー流通量のおよそ99パーセントを占める[2][3][4][5]

野生種

アラビカコーヒーノキは熱帯地域の高知の植生で育つ[4]。大部分が17~18世紀にエチオピアで採取された少数の原木に祖先をもつと言われている[4]。現在では南スーダンボマ高原英語版ケニアマルサビット山英語版でも見られるが、野生種に関する情報は今なお少なく、これらがもともと野生のものであったのか人間が持ち込んだものなのかはわかっていない[6]。飲料として流通するコーヒーのうち大半は野生種ではなく栽培種であるが[4]、コーヒー農家はアラビカコーヒーノキの遺伝的多様性を維持するために野生種を利用することもある[4]気候変動の影響でこのままではこうした野生種の育成に適した環境の66パーセントが消失し、最悪の場合野生種が絶滅する可能性もあるとする研究結果もある[4][6]

栽培

アラビカコーヒーノキの育成には気候や土壌などの影響が大きく[3][6]、気候の変化や病害にデリケートな品種である[2][7]。質の良いコーヒーを収穫するためには18~21℃の範囲内に年間気温が保たれた環境が最も適している[6]。23℃を超えると果実の発育と熟成が過度に進むためコーヒーの味が落ちる[3][6]。継続的に30℃程度の気温下におくと茎が腫れて葉が黄色くなったりといった異常が見られ、育成も鈍る[3][6]。低温も好ましくなく、17~18℃以下の年間気温では育ちが悪く、たまに霜がかかるだけでも果実に悪影響を及ぼす[3][6]南半球ブラジルコロンビア南部、ザンビアジンバブエパプアニューギニアなどの地域では5~9月が収穫期にあたる[8]。一方で北半球中米諸国やエチオピアでは11月頃からが収穫期である[8]。収穫の約6~8ヶ月前にコーヒー生産地域では雨季を迎え、この時期がアラビカコーヒーノキの開花期にあたり白い花(右記画像を参照)を咲かせる[8]。この開花期に気温が高いとうまく花が咲かない場合もある[9]。花が2~3日咲いた後には緑色の果実が実り、これが赤色に熟すと収穫を迎える[8]

流通

世界で消費されるコーヒー豆のうち、およそ70パーセントから80パーセントをアラビカコーヒーノキが占める[6][10]。前述の通り天候に大きく影響を受けるため生産高は毎年大きく変動する[11]。前述の通り多くの国々で栽培されているが、2012年12月現在世界最大のアラビカコーヒーの豆の輸出国はブラジルで、インドネシアがこれに次ぐ[12]アメリカ農務省によると2012/13年度の全世界のアラビカコーヒーの豆の生産量は60キログラムの袋で88,818,000袋分(532万トン)と推計されている[13]

飲用

一般的にロブスタコーヒーやリベリカコーヒーに比べ風味や香りが優れているとされ、そのため環境の変化や病害への弱さといった栽培上の難点にもかかわらず多種に比べ消費量が多い[7][14]。環境の変化にデリケートなことから同じアラビカコーヒーでも産地の土壌や気候によって風味に明確な個性が現れる[7]。一般には高地で生産された豆のほうが酸味、甘み、コクが強く、高値で取引される[7]。アラビカコーヒーノキの豆から淹れたコーヒーのカフェイン含有量はロブスタコーヒーノキの豆から淹れたコーヒーのおよそ半分程度である[15]

出典

  1. ^ a b c d e f g h Classification for Kingdom Plantae Down to Species Coffea arabica L.” (英語). アメリカ農務省. 2013年2月9日閲覧。
  2. ^ a b c コーヒー豆知識”. アサヒ飲料株式会社. 2013年2月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f M.B.P. Camargo(2010), p.240.
  4. ^ a b c d e f Amanda Fiegl (2012年11月9日). “気候変動でアラビカ種コーヒーが絶滅?”. ナショナルジオグラフィック. 2013年2月9日閲覧。
  5. ^ コーヒーノキ”. 宮城県薬剤師会. 2013年2月9日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h Davis AP, Gole TW, Baena S, Moat J (2012年11月7日). “The Impact of Climate Change on Indigenous Arabica Coffee (Coffea arabica): Predicting Future Trends and Identifying Priorities” (英語). PLoS ONE 7 (11). doi:10.1371/journal.pone.0047981. http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0047981?imageURI=info:doi/10.1371/journal.pone.0047981.t001 2013年2月9日閲覧。. 
  7. ^ a b c d コーヒー豆の種類・基礎知識”. TONEGAWA COFFEE Premiun Beans Shop. 2013年2月9日閲覧。
  8. ^ a b c d コーヒーの栽培”. コーヒー基礎知識. 株式会社ユニカフェ. 2013年2月9日閲覧。
  9. ^ M.B.P. Camargo(2010), p.241.
  10. ^ Arabica and Robusta Coffee Plant” (英語). Coffee Research Institute. 2013年2月9日閲覧。
  11. ^ 東京アラビカコーヒー”. フジフューチャーズ. 2013年2月9日閲覧。
  12. ^ BREAKDOWN OF EXPORTS OF GREEN ARABICA AND GREEN ROBUSTA FOR COUNTRIES EXPORTING SIGNIFICANT VOLUMES OF BOTH TYPES OF COFFEE DECEMBER 2012” (英語). 国際コーヒー機関. 2013年2月9日閲覧。
  13. ^ Coffee: World Markets and Trade” (PDF) (英語). アメリカ農務省. p. 7 (2012年12月13日). 2013年2月9日閲覧。
  14. ^ コーヒーの基礎知識”. 三本コーヒー株式会社. 2013年2月9日閲覧。
  15. ^ Jerry Baldwin (2009年3月14日). “Appreciating Coffee Like Wine” (英語). the Atlantic. 2013年2月9日閲覧。

参考文献

関連項目

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